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弘岡秀明 院長の独自取材記事

弘岡歯科医院 スウェーデン・デンタルセンター

(千代田区/東京駅)

最終更新日:2020/04/01

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都営三田線・内幸町駅A6番出口から徒歩1分。日比谷国際ビル3Fの一室に「スウェーデン・デンタルセンター」はある。院内のデザインは北欧風で、シンプルだが優しい雰囲気で安らぎを覚える。設立は1996年。スウェーデン型歯科医療を日本に導入したパイオニア的存在のクリニックである。診療メニューは歯周病治療、歯周組織再生治療、インプラント治療。各メニューともにしっかりと研鑽を積んだドクターの治療を受けることができ、都内はもとより全国から患者が来院すると聞く。院長を務めるのは弘岡秀明先生。スウェーデン歯科医療の最重要機関であるイエテボリ大学歯学部大学院で歯周病学やインプラント治療を学び、学位を取得した日本人で最初の歯科医師だ。東北大学大学院では歯学研究科臨床教授を務め、患者はもちろん歯科医師からも絶大なる信頼を寄せられている。確かな診療技術を持ちながらも気さくな人柄が魅力的な弘岡院長にクリニックの特徴やこだわり、これまでの歩み、開催しているセミナーなどについてじっくりとお話を聞いた。
(取材日2013年1月28日)

スウェーデン型歯科医療を世に広めたクリニック

クリニックの特色をお聞かせください。

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歯科医療先進国スウェーデンから学んだ治療・予防、そしてデンタルケアへのアプローチを行っているクリニックであることです。スウェーデン歯科医療を代表するイエテボリ大学出身のドクターと、トレーニングを積んだ歯科衛生士が診療を担当しています。近年、予防歯科の普及から、スウェーデン型歯科診療がクローズアップされていますが、1996年より開院している当センターはその先駆けと言えると思います。

具体的にはどのような治療を行うのでしょうか?

「歯周病治療」、「歯周組織再生治療」、「インプラント治療」です。まず、歯周病は虫歯と並び、歯を失う二大歯科疾患の一つです。成人の85%が歯周病を患っていると言われていますが、痛みなどの自覚症状が生じにくく、気がついたときには深刻な状態に陥ってしまっていることが多々あります。歯周病の原因は、歯の周りに付着したプラークと呼ばれる細菌の塊。このプラークから引き起こされるのが歯肉炎と歯周炎です。これらを総じて歯周病と呼ぶわけですが、歯茎が腫れ出血する歯肉炎が進行すると、歯周ポケットといわれる歯と歯茎の間の隙間が生まれ、最終的には歯が抜けてしまう歯周炎に至ります。歯肉炎の段階であれば、患者さん自身のブラッシングや歯科衛生士によるプラーク除去で、また、軽度から中程度の歯周炎であればドクターや衛生士が行うスケーリングで健康な状態に回復していきます。しかし、歯周ポケットがある程度深くなると、スケーリングでは適切な処置ができず、歯茎を切開し歯根の状態を確認して清掃する、外科的な処置が必要となります。ただし、治療によって歯周組織が健康な状態になっても、歯肉炎に罹患する以前の歯周組織に戻ることはありません。そこで、破壊された歯周組織の再生を促す治療が「歯周組織再生治療」です。当センターでは「GTR法」と「エムドゲイン®療法」の2種の方法を用いて治療を行っています。「インプラント治療」については、すでに広く認知されていますが、失った歯の代わりに人工歯根を埋入する治療法です。実績と適用性が高いことから当センターでは、スウェーデンで開発された「ブローネマルクシステム」とイエテボリ大学に在籍中開発に参加した「アストラテックインプラントシステム」を採用しています。歯周病治療や歯周組織再生治療は、スウェーデンで長年研究が行われてきた治療法ですが、インプラント治療も同様で、かつ発祥の地でもあるんです。

診療のこだわりを教えてください。

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患者さんにとってベストな治療を行うだけでなく、口腔内の健康に対する意識向上にも寄与していくことです。歯科治療においては、患者さんの意識が非常に重要な役割を担います。歯周病にしても歯を失うことにしても、そうなるには理由があります。しかし、それをご自身が理解していなければ、治療しても、いずれ同じ結果を招いてしまいます。また、歯周病治療もインプラント治療も、治療以上にその後のメンテナンスが大切です。単純なことに思われるかもしれませんが、患者さんの訴えに耳を傾け、症状をしっかりと説明し、アドバイスを行うことがこだわりであり、本当の治療への第一歩だと考えています。

「歯を残す治療」と「歯を補填する治療」、対極の歯科治療の道を究めるべくスウェーデンへ

これまでの歩みをお聞かせください。

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概略すると、歯科大学を卒業して歯科医師になり、最初の歯科医院を千葉に開業。その後渡航し、スウェーデンのイエテボリ大学で学位を取得。帰国後に当センターを開院しました。最初の歯科医院を開業したのが1980年。九州歯科大学を卒業して2年後のことでした。ありがたいことに多くの患者さんが来院してくださり、しばらくして分院も構えました。すべてが順調で、歯科医師として大志を抱きながら日々の診療にあたっていたのですが、一方で「このままで良いのだろうか?」という漠然とした不安を感じるようになっていきました。というのは、診療技術に対する自負はあったものの、大学を卒業してまだ日も浅いなかで、多種多様な歯科疾患に悩む患者さんにはたして本当に最善の治療を提供できるのだろうか、と思うようになったのです。さまざまな先生方が主催するセミナーに参加して勉強していたのですが、もやもやとした気持ちは日増しに強くなり、歯科医療を突き詰めて学ぶのであれば、やはり先進の歯科医療を本場で学ぶ必要性があると考えるに至りました。

先進の歯科医療を学ぶべく海外へ渡ったのですね。

当時の私は、補綴医になることが歯科医師の使命と感じていて、補綴学を極めるべくアメリカの各大学や研究機関を見学して歩きました。しかし、たまたま1986年にペンシルバニア大学歯周病科で日本人向けのコースがあることを知り受講したことで、めざす方向性は変わり、歯科医師としての大きな転機となりました。歯周病学の世界的権威ヤン・リンデ教授(Dr.J. Lindhe)とステーレ・ニーマン助教授(Dr.S.Nyman)との出会いです。両教授ともにスウェーデンにあるイエテボリ大学の教授でしたが、ペンシルバニア大学歯学部のレベルアップのために要請を受け、訪米していたんですね。講義内容は、それまで私が習得してきたものをはるかに超えるものでした。一つは、「歯を抜かないで良い治療」であり、さらには「患者利益を優先したエビデンスあるもの医療」だったことです。これが、先ほどお話ししたGTR法です。リンデ教授、ニーマン助教授らが確立したこの歯周組織再生治療を知った時のショックは相当なものでした。

インプラント治療と出会ったのもこの時期だったとか。

きっかけは、講義の傍らボストンで出席した歯周病学会です。当時はまだ世界に広まり始めたばかりの時代でしたから、学会の後に早速、ブローネマルクシステムを導入していたミネソタ洲にあるメイヨー・クリニックで講義を受けました。それから私は一時帰国し、再度アメリカで「歯周病治療」と「歯周組織再生治療」、「インプラント治療」を徹底して学ぶための体制を整えました。リンデ教授とコンタクトを取りながらペンシルバニア大学大学院への留学に向けて準備を進めていたのですが、ある時、リンデ教授からイエテボリ大学へ戻ることになったことを聞かされます。それと同時に、「イエテボリ大学に来ないか?」とのお誘いもいただきました。そして、リンデ教授に師事していたことと、ブローネマルクシステムの開発者であるペル・イングヴァール・ブローネマルク博士(Dr.P.i.Branemark)がイエテボリ大学で研究を行い大学内にクリニックを設立していたこともあり、1988年にスウェーデンへと渡ることにしたのです。

スウェーデンでの研鑽の日々はどのようなものだったのでしょうか?

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スウェーデン語の勉強には随分苦労しました(笑)。けれども、歯科医師として研鑽を積むべくイエテボリ大学の門を叩いたわけですから、見るもの聞くものすべてを自分の糧にしたい一心でしたね。当初は歯周病治療とインプラント治療、両方をとにかく学びたいと思っていたので、歯周病学を学ぶ傍ら、大学内にブローネマルク教授が設置したブローネマルク・クリニックを訪ね、インプラント治療を学ばせて欲しいと直訴。すると、ボスであるレクホルム教授に「歯科医師ならば、まず最初に歯を補うことではなく、歯を残すことを学びなさい」と諭されました。今では笑い話の一つですが、「歯を残す治療法」を身につけた歯科医師だからこそ「歯を補う治療法」も行えるというのは正論だと感じます。留学して半年が経った頃、リンデ教授は私のために大学院を設置してくれて、その第一期生として2年間、歯周病学の研鑽を積み、歯周病専門医のコースを修了しました。その後は、後輩の指導にあたりながらインプラント治療も学びました。また、大学在学当初からリンデ教授の下で疫学の研究や臨床でのリサーチも続けていたのですが、その成果が認められ1993年に学位を授与されたのを期に、イエテボリ大学での学業を終えました。今でもこの時代のことはありありと思い出すことができます。5年に及ぶスウェーデン滞在で得たものなくして現在の私はないと確信しています。

海外から日本へ、日本から海外へ。世界水準の歯科医療を発信する基地として

歯科医師の育成にも熱心に取り組んでいると聞きました。

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スウェーデン、ひいてはスカンジナビアの歯科医療と、私がイエテボリ大学で体験した日本とは異なる教育観をベースに、エビデンスに基づいた歯周病治療の実践を主とした勉強会、「歯周病学コース」を定期的に開催しています。また、「Journal Club」というスタディーグループでは、コース修了生が以後も学習を続けられるように、海外の各歯科治療分野の権威を招聘し講義を開催するなどの活動を行っています。私がこれまで培ってきた診療技術と知識、そして体験を、後進の歯科医師に発信し、世界の歯科医療に貢献し得る優秀な人材を育てるのが目的ですが、一方で若い先生たちから刺激を受けますし、各国の先生とも交流ができますので、私も楽しんで行っています。また、歯科医師に限ったことではないですが、医療従事者は生涯学習が使命だと感じています。しかし、日本に充実した勉強の場があるとは言い難いですから、コースやスタディーグループは和気あいあいと切磋琢磨できる非常に意義のあるものだと思っています。また、このような勉強会だけではなく、当センターのドクターや歯科衛生士が世界の歯科医療を学べるよう、スウェーデン留学のバックアップも行っています。

休日はどのようなリフレッシュをしていますか?

あまり休日らしい休日はありませんが、リフレッシュというと、たまに行く家族旅行ぐらいでしょうか。しかし、ついつい仕事のことばかりを考えてしまうのですが。以前行ったグアム旅行では、現地で海にも行かず、ただ論文を読んで過ごしたということもありました(笑)。天職なんでしょうね。

最後にドクターズ・ファイルの読者にメッセージをお願いします。

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人それぞれ“良い”の基準は分かれると思いますが、私が思う良いクリニックの基準は、「病気を教えてくれる」クリニックであること。例えば虫歯にしてみても、治療するのはたやすい。しかし、いくら治療しても虫歯になる要因、歯磨き不足などの悪習慣が是正されなければ根本的な治療にはなりません。つまり、なぜ病気になるのか? ということを患者さんにまず教えてくれて、健康への意識を高めてくれるのが良いクリニックなのだと思います。さらに、人と人とのコミュニケーションを大切にしてくれるドクターがいれば、なお良いでしょう。現代はさまざまな情報があふれる時代ですが、このようなことを基準にして信頼の置けるホームドクターを探してみてください。

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