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柳生邦良 院長の独自取材記事

紀尾井町クリニック

(千代田区/麹町駅)

最終更新日:2019/08/28

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人間のコンプレックスの代表格である薄毛。その頭皮に自分の髪の毛が再びよみがえるとしたら……。そんな夢を現実のものに変える最先端の自毛植毛治療で実績を重ねる『紀尾井町クリニック』を訪ねた。院長の柳生邦良先生はかつて日赤医療センターの心臓血管外科部長を務めた経歴を持つ、心臓外科のスペシャリスト。生死にかかわる心臓の難手術を数多く手がけた実績と経験のもと、今度は医療の中でも開拓途上にある自毛植毛という新たな領域で挑戦を続けている。薄毛治療でのこれまでの臨床実績や研究の成果が認められ、国際毛髪外科学会(ISHRS)の理事にも就任されており、今やクリニックは世界的にも注目を集める存在になりつつあるという。そうした華々しいキャリアに満足することなく、より高いクオリティーを求めて地道に研究を重ね、 柔和な笑顔で患者のコンプレックスと向き合う柳生先生。インタビューで、まだ広く知られてはいない自毛植毛技術の最新事情や植毛を通じて患者の人生を変えた心温まるエピソードなどをお聞きし、自然な仕上がりとボリュームを備えた理想の頭髪を生み出すゴッドハンドの秘密に迫った。

(取材日2012年11月8日)

手術から一年後、自然なボリュームでヘアスタイルを楽しめるまでに

クリニックで手がけられている自毛植毛とはどのようなものですか?

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もともと人間の毛髪には最終的に短く細い産毛になる髪と、太いまま変わらない髪の二種類があります。このうち側頭部と後頭部にある、太いまま変わらないほうの毛を毛根ごと採取して、薄毛が気になる部分にいわば「再分配」するのが自毛植毛の技術です。当院ではアメリカ・カリフォルニア州のスティーブン・チャン博士が確立した最先端治療であるNHT(Natural Hair Transplant)方式を導入しています。具体的には、後頭部の頭皮を幅1?、長さ10〜20cmほどの細長い帯状に切り取り、その範囲内に生えている毛髪を顕微鏡を使って、3種類のサイズに分類します。頭髪は1本、あるいは2、3本の束で生えていますから、毛根から生えたままの束の状態で一本毛、二本毛、三〜四本毛という具合に株分けするのです。その上で、繊細な仕上がりを出したい箇所には一本毛、ボリュームを出したい箇所には三〜四本毛というように植えるエリアを決めて、順次手作業で移植していきます。植毛に要する時間は長くても5〜6時間ですから、日帰り手術が可能です。

すぐにフサフサの髪の毛が手に入るのですか?

そうではありません。移植した毛は約一ヵ月後に一度抜け落ち、二、三ヵ月後に産毛となって生え始めます。髪の毛は一ヶ月に1cmしか伸びませんから、ヘアスタイルを楽しめる長さに伸びるまでに約1年を要します。1年かかるというのは自毛植毛の欠点とも言えますが、逆に1年かけてゆっくり濃くなっていくわけですから、植毛したとは周囲にも気づかれないんです。私が手術した患者さんの中には、ご本人でさえ気づかない方がいらっしゃるほど。「これは前からあった毛ですよ」なんてね(笑)。すっかりフサフサの髪の毛になられた方に何年か経って初診時の写真をお見せすると、まるで他人事のように「こりゃひどいね」なんて笑ってごらんになっています。手術の回数は程度にもよりますが、平均1、2回。最近では技術の向上もあり、一年ごとに追加移植を計5、6回受けて一層の密度とボリューム感のある仕上がりを楽しまれる方が増えています。

どういった患者さんが多く訪れていますか?

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薄毛というと年配の方の悩みと思われがちですが、当院にいらっしゃる方の6割超を20、30代の方が占めています。加齢による変化を受け入れることには少なからず誰しも抵抗があると思うのですが、できるなら18歳のころの姿に戻りたいというような願望がとりわけ強い方が当院を訪ねてこられますね。患者さんは関東が中心ですが、北海道から沖縄まで全国からいらっしゃいます。人には内緒にしておきたいというセンシティブなことですから、患者さんに効果自体を喜んでいただいてもそれがクチコミにつながることはほとんどありません。インターネットで調べて来院される方が多く、そうした意味ではネットになじみの薄い年配の方は当院を知るきっかけがないのかもしれません。

薄毛治療は発展途上。改良の余地を見出し、やりがいも

もとは心臓外科がご専門とうかがいました。このクリニックに入られたきっかけは?

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私は25年間、心臓専門の外科医として東大病院や日赤医療センターで、先天性の心臓疾患を抱える超未熟児や高齢者の難手術などをたくさん手がけてきました。心臓外科医としての使命感と完治した患者さんの笑顔を励みに激務をこなす毎日でしたが、年齢が進むにつれて私自身、体力の限界を感じ始めたんです。特に心臓外科は手術時間も長く、術後も徹夜でICUで治療にあたり、翌日にはまた外来診療を担当するという、ゆっくりできる夜もまともな休日もない生活が続いていたわけですから。そんなころ、既にこの紀尾井町クリニックを立ち上げておられた理事長の林先生とご縁があり、当時まだ基礎研究があまりなされていなかった植毛の領域で研究と臨床の両面でぜひとも力を貸してほしいとお誘いをいただき、8年ほど前にこちらの院長に就任しました。薄毛治療は医学部の授業にもまだ出てきていませんし、こういう治療があるということも普通のドクターはほとんど知らない新しい分野。臨床実績に基づいてノウハウを確立した現在でもまだまだ改良の余地がありますし、非常にやりがいを感じています。

学生時代には医師以外の職業をめざされたこともあったとか。

私は昔からコツコツと何かを作り上げたりすることが好きな子どもでしたから、勉強もあまり苦にならず、中学高校と成績が良かったんです。一時は理学部に進んで理論物理を研究する学者になろうと考えたこともありました。しかし、一生勉強を続けることは自分に向いていないのではないかと感じ始めて方向転換し、せっかくだから一番難しいところに受かるかどうか挑戦したいと、東京大学の医学部を受験して合格したんです。医者だったら研究もできるから向いているんじゃないかと。医師という職業に当時からこれといった思い入れがあったわけではないんですよ。

プライベートな時間はどんなふうにお過ごしですか?

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休日は月に三日あるかないかという状態ですが、だいたい家で音楽のDVDを見たりしながらのんびり過ごしています。もともとはマイケル・ジャクソンやセリーヌ・ディオンをよく聴いていて、最近のイチオシはアンドレア・ボッチェリ。もとはテノール歌手なんですが、ポップ系の歌も歌っていてすごくいいんです。その良さは言葉では表しにくいのですが、同じ時代に生きていられることに幸せを感じるくらい、本当にすばらしい歌声です。音楽以外では、絵を描いたり彫刻なんかも好きなんですが、なかなかゆっくり取り組む時間が持てなくて。引退後の楽しみに取っておこうかなというかんじですね(笑)。

十分な情報提供で、植毛に対する正しい理解を

印象に残る患者さんとのエピソードがありましたら、教えていただけますか?

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30代半ばの男性の患者さんで、いわゆる落ち武者のようなスタイルに薄毛が進行している方だったんですが、その薄毛は遺伝によるものだと思い込んで両親を責め、顔を合わせればけんかばかり。会社も辞めてしまい、本当に荒れた生活を送られていたんです。たまたま私の心臓外科時代の患者さんのお知り合いだったこともあり、お父さんの薦めで当院を知って相談に来られ、二回の自毛植毛手術でフサフサの髪の毛を手に入れました。するとその方は人が変わったように、家で母親の食事の準備を手伝ったり、病に倒れて入院した父親の見舞いに足しげく通ったり、さらには父親の会社を手伝って営業に回るようにまでなったんです。ご両親は「昔のように素直な子に戻ってくれた」と大変喜ばれました。お父さんはその2、3年後に病気で亡くなられたんですが、臨終の間際にその患者さんがお父さんに「髪をありがとう。うれしかったよ」と素直な感謝の気持ちを伝えられたんだそうです。植毛という治療を通じて、患者さんの人生を豊かにして差し上げることができた、こうしたすばらしいエピソードは他にもたくさんありますよ。

ところで、今年はうれしいニュースがあったそうですね。

そうなんです。私は国際毛髪外科学会(ISHRS)という植毛専門の外科の学会に所属していまして、2年前から日本人では歴代二人目にあたる理事に選ばれて会議などに参加しています。今年の学会でめでたくセクレタリーに昇格しまして、数年後、更に重要な役割に挑戦できるかもしれません。アメリカの学会で、発足当初から20年選手の先生方も大勢いらっしゃる中、アジアからは誰も選ばれたことのない地位で、前例のない大抜擢です。アジア人で初めての重職に就任させていただくことができ、とても光栄です。

最後になりますが、今後の展望をお聞かせください。

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植毛手術は一生にそう何度も受ける手術ではないので、食品のようにこっちの会社のものが美味しいといった具合に、他社と比較することができません。最初にどこを選ぶのかがとても肝心なんです。その上で私たちに課せられているのは、患者さんにしっかりと情報提供し、植毛に対する間違った期待を正しい理解へと誘導していくこと。また男性型脱毛症の患者さんには、来院された時点でたとえ初期であっても、症状が進行する可能性を念頭に、将来にわたって再度移植ができるように移植可能な毛を残して治療するといった配慮が欠かせません。薄毛治療は患者さんのコンプレックスを取り扱う領域ですから、治療や施術で万が一何かトラブルがあっても患者さんが背負い込んで、泣き寝入りしてしまいがち。そんなつらい思いをされる患者さんを少しでも減らし、一人でも多くの方を笑顔に変えて差し上げることができるように、さらに技術を磨き上げていきたいですね。

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