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八川 昌人 院長の独自取材記事

八川歯科医院

(中央区/京橋駅)

最終更新日:2024/03/15

八川昌人院長 八川歯科医院 main

東京メトロ銀座線京橋駅から徒歩4分、都営浅草線宝町駅の出口すぐそばのオフィスビル8階に、「八川歯科医院」はある。43年のキャリアを持ち、補綴、特に取り外し式入れ歯のスペシャリストである八川昌人院長のいる同院は、東京駅からも徒歩圏にあり、新幹線で遠方から通院する患者も多いという。「子どもの頃からいろいろなものを自作したり、家の壊れた目覚まし時計をバラしたりしてしまうほどに機械いじりが好きでした」と話す八川院長は、さまざまなアイデアを入れ歯作製に取り入れている。良い入れ歯の三要素、口の中で「動かず・壊れず・汚れない」機能を兼ね備えた入れ歯治療に尽力する八川院長に、「良い入れ歯、満足できる入れ歯」とはどういうものなのかについて、熱い想いを語ってもらった。

(取材日2023年1月20日)

「素晴らしき入れ歯人生」を全力でサポート

開放感のある、すてきな院内ですね。

八川昌人院長 八川歯科医院1

ありがとうございます。本院は1999年に東京駅八重洲北口から近い八重洲仲通りに開院していましたが、再開発に伴い現在地に移転となりました。移転を機に、「常に時代の先端を走り続ける歯科医院でありたい」との思いで、医療機器の進歩にも合わせられるよう診療スペースを大きくし空間に余裕を持たせてあります。当院はビルの8階ですので診療室にある大きな窓からの眺めが素晴らしいとのお声も頂いています。設備としてはドイツ製の診療ユニットやパノラマ・エックス線装置を導入したほか口腔内カメラなど新しい機器も導入したので、皆さまには今まで以上に高いレベルの診療を実感していただけると思います。

まずは先生の自己紹介をお願いします。

私は、東京医科歯科大学を卒業後、同大学の部分床義歯講座に入りました。臨床の研鑽には、この講座で学ぶのが良いと思ったからです。当時はまだ「一生自分の歯で食べよう」という「8020運動」が始まる前でしたので、年を重ねる中ですべての歯を失い、総入れ歯になる方も多かった頃です。でもこれからは、医療技術の進歩により人々の寿命は延び、情報社会の発展により人々の歯への意識の向上も予想されていたので、歯が残っている方への部分入れ歯需要が増加するだろうと考え、部分床義歯治療の研鑽に注力しました。そして医局で2年間経験を積んだ後、企業内診療所で18年間技術研鑽の後、開業して現在に至ります。

先生は、インプラント治療は行わないのですか?

八川昌人院長 八川歯科医院2

インプラントは画期的な治療法ですが、埋入後は歯周のメンテナンスがとても大切です。高齢になると定期的な通院が面倒だという話をよく聞きますし、介護を受ける立場になると、口腔内清掃がよくできなくなる可能性もあります。インプラントの相談を受けることは多いですが、そういう時にはまず患者さんのご希望などを伺います。そして、その患者さんにはインプラント治療のほうが良いと判断した場合、インプラント治療を専門とした歯科医師を紹介しています。すでに何本かインプラント治療をした方でも、年齢を重ねるに伴い、インプラント手術を受けたくないという理由で、いつでも取り外し可能な入れ歯のほうが良いのではないかと相談に来られることも多々あります。両治療法のメリットとデメリットを知った上で、長期的な視点で自分に合った治療を選択するのが良いと思います、お気軽に相談ください。

歯が将来どう変化するかを考えて処置する

先生の歯科治療へのこだわり、ポリシーを教えてください。

八川昌人院長 八川歯科医院3

患者さんの口の中は、その方の人生が詰まっていると思っています。初診の方には、まずご自身の歯についてのお悩みを伺います。そして、保険内では望む治療ができるとは限らないので、ご予算も伺いつつ、どのように悩みを解決していくか相談します。私をよく知り、信頼していただくことが良い義歯治療を行う上で大切です。誰一人として同じ人生を歩むことがないように、口の中の状態も同じということはあり得ません。患者さんがどのような人生を歩んでいらして、今のお口の状態になったのかを理解しないと、良い義歯治療はできないと考えています。

では入れ歯治療の具体的な流れを教えてください。

良い部分入れ歯とは、口の中で「動かず・壊れず・汚れない」入れ歯であると医局で教わりましたが、これを口の中で実現するのは意外と困難です。入れ歯が動かないようにするには、残っている歯と入れ歯を一体化させ、歯列を強固に再構成する必要があります。そのためにまず、今の口腔の安定した噛み合わせを求めて、残存歯の咬合調整から行います。なぜなら、歯を失うと残りの歯が互いに動いていき、全体の噛み込みに狂いが起こるからです。つまり失った部分への噛む力を他に適正に再分散することがまず必要なのです。調整を行いながら、すべての残存歯を精査し、残せない歯があれば抜歯します。抜いたところが小さく、その前後に歯が残っていれば、これらをブリッジ等でつなぎ、固定します。きちんとした入れ歯を入れるには、このような前処置が必要なのです。

部分入れ歯は基礎作りから始めるのですね。

八川昌人院長 八川歯科医院4

そうですね、前処置にはいろいろな目的があります。歯には噛み込んだ際、縦と横方向の力が働き、この横の力は入れ歯を浮かすなどの害を維持歯に与えます。これには維持歯の周囲を平面に加工した形の冠に替えることでこの為害性を低くします。歯周病のために歯肉がやせ食物カスが詰まりやすい場合には、詰まりにくい形の冠へ替えるなど、将来を見越した処置も必要です。次に患者に合った入れ歯と残存歯とをつなぐ維持装置の種類も考え、問題点をなるべく考慮してから型採りをして入れ歯を作ります。このように噛み心地が良く、残存歯に為害性が少なく噛める部分入れ歯を作るには手間がいります。単に抜けた場所だけを見て入れ歯を作ると、重大な問題点を見過ごしがちです。入れ歯の前処置とは、私が入局した講座の助教授が「口腔外科、保存、矯正など他の講座は、良い部分入れ歯を入れるためにあるのだ」と言い切ったほど重要なものです。

口の悩み事は何でも話してほしい

先生のところにはどのような患者さんが来院しますか?

八川昌人院長 八川歯科医院5

今の入れ歯に悩んでいる人はもちろん、インプラントにするかどうするかを悩む人など、千差万別な方がいらっしゃいますが、皆さん好奇心が強い人が多いように思います。私には何でも話しやすいのかもしれませんね。

思い出深い患者さんについて教えてください。

昔、社内歯科室勤務の時、同僚の勧めで来院した女性社員に入れ歯治療をしました。その方は、私の開業後もたまに診療室に顔を出していましたが、いつも「近くに来たから寄っただけなの」といって診察は受けませんでした。そのうち顔を見なくなり10年ほどたった頃、突然菓子折持参で顔を出しました。「久しぶり、入れ歯はどう?」と聞くと、「ご無沙汰していてごめんなさい。2つに割れてしまったけど、貧乏で言えなかった」と言いました。私は、保険でも修理はできるからと伝え、診療室に入ってもらいました。その方が、「実はがんになったの、だから今日は覚悟を決めて来たの」と話したときは、私は言葉がありませんでした。

診療で心がけていらっしゃることは何ですか?

八川昌人院長 八川歯科医院6

良い歯科治療には人への強い好奇心が大切です。人生における出会いはすべて一期一会、今日新しい患者さんが来れば「どんな方だろう?」と興味が湧くし、昔からの患者さんが久しぶりに来れば「どうしていたの?」と声をかけたくなります。そしてこれこそが患者さんの持つ悩みを理解するのに一番大切なことだと思います。入れ歯治療は入れてからが勝負、時々診察して、維持装置、噛み合わせなどの調整やメンテナンスが必要になります。そのため患者さんとは長い付き合いになり、葬儀に呼ばれることもあります。まあ、疎遠な親戚より深い関係になってしまいますね(笑)。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

良い歯科治療を行うために、患者さんの口腔内の現状を把握するのはもちろん、そのような状況に至った経緯も知りたいと思います。具体的に患者さんの要望を伺った上で、どう治療するかいろいろ提案し、内容を相談して患者さんには歯医者の治療方針の押しつけにならないように互いが理解し合って進める必要があると考えています。まず私に患者さん自身が持つお口の中の困り事を、どのようなことでも結構ですから遠慮なくぶつけてみてください。当院で私といろいろな意見のやりとりをしていただいて、その先にある素晴らしい治療方法の一端を感じていただいてから本格的に治療に向かいたい、と思います。一緒にお口の中のことお話ししましょう。

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