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小坂和輝 院長の独自取材記事

こども元気!!クリニック/病児保育室

(中央区/月島駅)

最終更新日:2019/08/28

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月島駅から徒歩2分、月島駅方面に橋を渡った清澄通り沿いに「こども元気!!クリニック」はある。隣りのビルの1階は、当院が運営する子育て支援広場「あすなろの木」。ビルの2階は待合用キッズスペース、3階は診療室、そして4階には病気の子どもを預かる病児保育施設を整えた、子育てを力強く応援する小児科だ。院長の小坂和輝先生は、根っからの子ども好き。「病気を治したり、予防したりということは最低限の仕事。その上で、その子の良さを一つでも二つでも見つけ、のばしたり自信をつけたりしたいんです」と微笑む。子どもの側に立って全力で動ける大人でいたいと、そのために法律学まで学び始めた。日々の診療室で思うこと、そして開院時から取り組んでいるという病児保育や子育て支援について、存分に語っていただいた。
(取材日2014年2月13日)

病児保育施設と子育て支援の場を併設し、地域の子育てを見守る小児科

開院の経緯と、医院の特徴を教えてください。

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当院は2001年に開院しました。私は、この近くの聖路加国際病院で小児科の研修をスタートし、月島に住んでいましたので、月島のこの辺りには土地勘があったんです。開院当時は、現在のようにマンションがたくさん建っていたわけではなく、子どもの数も今ほど多くない地域でしたが、そんななかでも小児医療の需要はありました。それに応えたいと思ったことも、月島を開院の地に選んだ理由です。当院の大きな特徴は、病児保育を併設している小児科であること。そして、地域に子育て支援の場を提供し、NPOと協力しながら、地域の子どもたちの環境整備に力を入れていることです。病気の子どもを治療し、そして病気でない子も含めて子どもたちが豊かな生活を送れる環境作りを目指しています。

病児保育や子育て支援は、開院時から行っているのですか?

はい。特に、小児医療に携わるならば病児保育はなくてはならないものだと当初から考えていました。医師が診察をして、「病気なので保育園や幼稚園を休んでください」と言うのは簡単ですが、親御さんにしてみれば、急に休めと言われても困りますよね。特に働いている親御さんは、自分まで仕事を休まなければいけなくなってしまう。日々そんな方たちを見ながら、「言いっぱなしではだめだ。医師がきちんと受け皿を整備しなければ」と感じていたので、開院の際、同じビルに病児保育施設を併設したのです。小児医療と病児保育をセットとしてもう10年以上になりますので、利用される親御さんにとってはそれがあたりまえになっているようです。ちょうどインフルエンザが流行っていますから、今日もたくさんのお子さんをお預かりしていますよ。

病児保育の利用の仕方を教えてください。

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基本的には前日の19時までにご予約をいただいて、平日の朝8時半から入室を開始し、5時半までお子さんをお預かりします。空きさえあれば当日のご連絡でも対応しています。希望があれば土曜日も対応します。入院治療の必要はないけれど、安静を必要とする乳幼児や児童が対象です。病初期から病気回復期の発熱や下痢、みずぼうそうやおたふくかぜなど感染性疾患の回復期、気管支喘息などの慢性疾患など、様々な症状のお子さんを預かっています。部屋は二つあり、インフルエンザなどの感染性疾患のお子さんとそうでないお子さんは、同室にはしません。利用のしかたには二通りあります。一つは、まず診察をして病気の状態を把握してからお預かりする場合で、その日起こりうる発熱や下痢、嘔吐や鼻水などの様子を診て、治療しながらお預かりするパターン。もう一つは、まずはお預かりをして、途中で私が診察をするというパターンです。

診療を通して子どもの良さを見つける。診療室は、自信を芽生えさせる場

小児科の診療のなかで、気になっていることはありますか?

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小さなことやささいなことで悩まれている親御さんが多く、「気軽にたずねていただければ」と思うことがよくありますね。例えばお子さんの予防接種の受け方ですが、たくさんの予防接種があるなか、それらのスケジュールをどう組むかで悩まれる方が少なくないのです。確かに以前に比べて予防接種の数が増えているので、考え込んで心配になってしまうのでしょう。でも、「次の予防接種はこれですよ」と医師が示したものだけを順に受けさえすればよくて、すべてのスケジュールがうまく済むかを考えて、不安になる必要はないと思うんですよ。また、診断名をつけることが先行していることがとても多くなっていることが気になっています。風邪なのか、インフルエンザなのか。胃腸炎であれば、それがノロウイルスなのかロタウイルスなのか。もちろん、診断名も大事な病態をあらわすことの一つに違いはありませんが、保育園などからの要請なのだとは思いますが、診断名を付けることが一義的になっている風潮には、少し首をかしげてしまいます。

診断名より大事なこととは?

大事なことは、まず、その子がいまどのような状態にあるのかを判断し、その状態をうまく改善していくことです。診断名は、その解決策をさぐるひとつの方法に過ぎません。胃腸炎の場合の感染予防策は、ノロであれ、ロタであれ、それ以外の胃腸炎であれ、まずは手洗いであり診断名に関わらず同じです。インフルエンザの診断も、迅速検査キットの精度のこともあり日単位でつけていくものであって、熱が出てすぐの段階で、夜間救急診療に駆け込んで診断をつけることよりも、激しい症状が他にないかぎり、夜間はゆっくりと休養をとることのほうが、子どもの回復にとって重要なことだと考えます。日々の診療の中で、お子さんの症状にいかに対応し看病するか、どういうときに救急受診をすべきか正しい情報を伝えていくことに心がけています。

診療の際に気をつけていることは何ですか?

私は診察の際、子どもたちに少しでも自信が芽生えるような接し方をしています。例えば予防接種を頑張って泣かずにできた子には「すごいね!」と声をかけ、「できた!」という自信をもたせたい。診察や予防接種を、子どもがそのイベントを通して強くなれる機会にしたいんですね。病気を治したり、予防したりということは小児科医の最低限の仕事で、その上で、その子の良さを一つでも二つでも見つけ、のばしたり自信をつけたりする手助けができたらと思っています。また、小児科医は、子どもと大人と同時に二人を診ていると言えますので、親御さんに対しては、どんなに小さな疑問でも気軽に聞けて、何でも相談できるような雰囲気を作るようにしています。

先生は、なぜ小児科医になろうと思ったのですか?

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子どもが好きだからです。「もしかしたら医師になるかも」と思ったのは小学生時代。父が薬剤師で、親戚に医師がいたことが影響しました。進路を決める時期、何かしら子どもと触れ合う仕事がしたくて教師か医師かと考え、小児科医を選びました。大学病院時代は循環器小児科にいて、重症の子どもを診る機会が多く、難しい心臓手術をしたお子さんの術後管理をして、当時は、医療訴訟が増えてきた時代で、ある時、ご家族が、お子さんに障害が残ってしまったのは、手術に問題があったのではないかと疑問に思われたことがありました。私達チームは治療の経過をそれぞれの立場から丁寧に説明をさせていただきました。今も、そのご家族からはお便りをいただき、私もその便りを楽しみにしています。子どもたちは、小児科医を成長してからもずっと覚えていてくれて、幼い頃に診た子が、町で挨拶をしてくれたりする。そういうことが、私には何とも言えず嬉しいことですね。

プライベートで法律を勉強中。行政を巻き込んで子どもの育つ環境を整えたい!

子育て支援の活動についてもお話しください。

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当院では、隣りのビルの1階に、「あすなろの木」という子育て広場を設けていて、NPOの人たちが中心となり、親子が遊ぶアイデアを紹介するなど、子育て支援の場として地域に活用してもらっています。子どもの総合的な心を育むため、医療の範囲だけではなく、そこまで踏み込んでご家族を支援したいという思いで始めました。活動はNPOの皆さんに任せていますが、イベントに参加した親子が楽しく遊び、子どもたち同士は友だちになり、親御さん同士はおしゃべりし、ときには悩みを相談し合ったりする場にもなっているようですよ。都会で、核家族のなか、悩みを抱えて親子が閉じこもってしまうような状況を防ぐ場にもなれたらと願っています。この取り組みは、2005年からのもの。行政が行う子育て支援の先駆けをやったわけです。信頼している仲間たちと組んで、継続的にその子の成長を見つめていけるという子育て支援は、行政の行うものとはまた違う支援になっていると思います。

診療を離れたプライベートもご披露ください。

私は、高校1年生と小学6年生の子の父です。二人とも将来小児科医になりたいと言い出しているんですよ。大事な学校行事に参加するようには、心がけてきたものの、仕事が忙しくてあまり遊べていません。病気になった時は私が診察し、予防接種も私が打ってきました。何を見て感じてきたのか、いつの間にか小児科医の仕事に興味をもってくれて、とてもうれしいですね。現在の私の日課は法律を学ぶことです。夜、ロースクールで勉強をしています。医療や子育て支援に関しても、行政は法律に従って動いているわけですから、その仕組みを学んでみたいと思ったんです。これが意外とおもしろく、自分の仕事をこれまでと違う視点で見られるようになってきました。生物学や医学的な見方だけではなく、法的な思考でものごとに接することも楽しいことです。今は楽しく勉強していますが、もちろんやるからには司法試験合格も視野にあります。

医院の目標や展望をお聞かせください。

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私は日々、子どもという社会的弱者を守る態勢がまだまだ整っていないと感じています。特に、自閉症や注意欠陥多動性障害など発達障害の子どもへの支援はまだまだ不十分で、その養育環境整備はもっと進むべきだと思います。行政の型通りの子育て支援ではなく、一人ひとりの子どもたちの個性や状況を見て、その子にとって最良の支援を考えていくべき。私はこれから、行政を巻き込んで、子どもたちのための豊かな環境を整えていくつもりです。学んでいる法律の知識をいかし、前例がないとか、決まったことだからという決まり文句を出させないようにして(笑)、行政を動かしていきたいですね。社会には子どもの側に立って全力で考える大人がもっと必要なんです。その一人が小児科医なのだと私は思っています!

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