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大江康雄 院長の独自取材記事

東銀座クリニック

(中央区/東銀座駅)

最終更新日:2020/04/01

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2013年、銀座の新たな名所としてオープンした歌舞伎座タワー。その16階にあるのが「東銀座クリニック」だ。大江康雄院長は、「ビジネスパーソンのメンタルヘルス問題に取り組みたい」と、オフィスの多い東銀座で1996年に開業。2014年、ますます銀座地域の医療を発展させたいとの思いから、歌舞伎座タワーへの拡大移転を決意した。「2015年には社員50名以上の会社でストレスチェックが義務化されるなど、職場のメンタルヘルス対策に大きな変化が予測されます。そんななか、どのようにして社員のSOSに素早く気付き、問題が深刻化する前に手助けできるか。企業と精神科医が密に連携しながら、予防の観点から注力したいと思います」と語る大江院長。現在の想いをじっくりと伺った。
(取材日2015年1月8日)

2014年に銀座の新名所、歌舞伎座タワーへ移転

医師をめざした理由について、お聞かせください。

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もともと医療に興味があり、医療を通して社会貢献したいという気持ちがありました。また、昔から人間の脳や心というものにとても関心があり、深く研究してみたいと思ったのが、精神科医をめざしたきっかけです。慶應義塾大学医学部を卒業後、同医学部の精神神経科や財団法人井之頭病院で診療にあたり、慶應義塾大学病院精神神経科医長を経て、1996年、東銀座でクリニックを開業しました。

東銀座で開業されたのは、なぜですか?

こちらでの開業前、私は通勤で電車を利用していたのですが、社内にいるビジネスパーソンの様子を見ながら、働く人のメンタルヘルスを考えることも、精神科医としてはとても大切な役割だな、と感じるようになったのです。当時、社会的にも職場におけるメンタルヘルス対策や過重労働対策などが話題になりつつありましたし、これからはますますそうしたニーズが高まるだろう、と。通勤ではこの東銀座を経由していたのですが、この界隈はオフィスも多く、大勢のビジネスパーソンが働いているため、ここで開業しようと決めました。それが、1996年のこと。この歌舞伎座タワーへ移転してきたのは2014年6月です。ちょうど、隣で開業している「銀座医院」の院長が私の大学の先輩で、「銀座地域の医療を充実させるために連携しよう」とお誘いを頂いたのがきっかけでした。

高層階にあり、眺めの良いクリニックですね。

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2013年に完成した歌舞伎座タワーの16階にあり、診察室からの眺望が素晴らしいのが魅力だと思っています。室内のカーテンを開け、患者さんに外の景色を眺めていただくだけで、「心が晴れる」「癒される」とおっしゃっていただくこともあります。また、居心地の良さや落ち着きを感じていただくため、クリニック内は白やベージュ、茶系を基調にコーディネート。待合室にもゆとりを持たせ、リラックスしていただける空間づくりを大切にしています。現在、診察室は2つあり、カウンセラーによるカウンセリングを実施することもあります。現在は非常勤ですが、これからは常勤化するなどして、もっと患者さんに寄り添う治療を充実させていきたいと考えています。

若い人に増加する、新型うつ病

診察する際、心がけていることを教えてください。

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なによりも、誠実に患者さんのお話をお聞きすることです。こちらにいらっしゃる患者さんは、近隣でお勤めされている方がほとんど。若干、女性の方が多いくらいですが、あまり男女比に差はありません。ビジネスパーソンのほか、築地や月島界隈で長く住んでいらっしゃるお年寄りの方も多く、そうした方は、認知症やうつ病などの症状がほとんどです。いずれの場合でも、患者さんのお話をじっくりお伺いし、適切に問題の根幹を探ることが大切。そのため、初診は必ず予約制とし、40分〜1時間くらいお取りして、丁寧に診察を行っていきます。

どんな症状の患者さんが多いのでしょうか。

全体的にうつ症状の患者さんが多くいらっしゃいますが、長く診察を続けてきて、ここ数年で増えていると思うのが、いわゆる新型うつの患者さんなど典型的なうつ病ではないが、「うつ状態」を呈している方です。通常、うつ病といえば抑うつや思考力の低下、意欲の低下などが典型的な症状として見られますが、新型うつの場合は「うつ病」とは呼ぶものの、休日は遊びにでかけるなど、余暇や趣味に積極的な人がとても多いのです。また、これまでのうつ病は几帳面で生真面目、頑張り屋の方が罹ることが多かったのですが、新型うつの場合は自責感が乏しく、人のせいにしたり、自分の非を認めなかったりすることも多く、これまでのうつ病とは大きく性格が異なります。そのため、新型うつは個人の性格に起因する部分が多いとし、うつ病と認めない精神科医も少なくありません。

そうした患者さんには、どのような治療が効果的なのでしょうか。

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通常、うつ病の患者さんには「頑張れ」など、励ましの言葉はタブーとなっていますが、反対に、新型うつの方には励ましや応援の言葉が有効に作用する場合があります。また、うつ病の患者さんには状況に応じて服薬治療を勧めることもありますが、新型うつの患者さんには、薬があまり効きません。このように、うつ病と新型うつでは患者さんに対する治療は、性質が違います。また、本当にその患者さんが新型うつなのか、ただ性格的な問題が表れているのではないかなど、根本から探る必要も出てきます。現在では、特に若い人達の間でこのような新型うつが増えている傾向にあり、この流れはますます大きくなるのではと予測しています。大切なのは、ストレスの原因を取り除きながら、本人の成長や自覚をどのように促し、問題を乗り越えていくかということ。まだ歴史が浅く、医学的に解明されていない部分もたくさんありますが、患者さん一人ひとりに向き合う治療で、その方にあった最善の方策を探っていきたいと考えています。

症状を悪化させる前に、救いの手を。予防にも注力

今後の展望や取り組みたいことを教えてください。

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職場のメンタルヘルス対策について、特に予防の観点から関わっていきたいと考えています。2015年12月から社員50名以上の会社において「ストレスチェック」が義務化されるなど、現在、過剰なストレスを抱えた社員の早期発見に努め、精神疾患の発症前に手を打とうという試みが、国家レベルで思考されています。そんななか、精神科医と企業が連携し、社員のメンタル疾患の発症を未然に防ぐことも、とても大切。現在、私は中央区や千代田区界隈にある7社と提携しており、過剰なストレスを抱え、うつ状態が見られる社員の方にこちらへ来院していただき、お話をお聞きしています。メンタル疾患を発症した患者さんを治療し、スムーズなリワークへつなげるプログラムを提供することももちろん大切ですが、同時に、どうしたら症状を深刻化させず、軽度なうちに治療することができるか考えることも、とても大切。特に、情報通信に関わる方やエンジニアの方は残業が多いなど、過重労働に悩まされるケースが多いので、そうした企業と連携しながら、職場におけるメンタルヘルス対策を推進していきたいと考えています。

ご自身が健康について気をつけていることはありますか。

よく寝て、よく食べるということですね。健康の基本は1日3回の食事にあると考えていて、特に、一日の活力源になる朝ご飯はしっかりと摂るようにしています。また、良質な睡眠はうつ病などの予防にもつながります。こちらへいらっしゃる患者さんでも、多くの方が不眠の症状を訴えていますが、そうした方にはなるべく薬に頼らず、寝る直前にパソコンや携帯電話を見ない、ぬるめのお風呂にゆったり浸かってから就寝するなど、睡眠環境を整えることをアドバイスしています。心身の健康で大切なのは生活習慣を規則正しく整えることと、趣味を持つこと。私もそうなのですが、職場を離れたら仕事のことはきれいに忘れるようにしています。メンタルの問題を抱えている方の場合、なかなかこの切り替えが上手にできない。オンとオフのスイッチをきちんと使い分けることがとても大事で、だからこそ、余暇の充実や仕事の効率アップにつながるのだと思うんです。

最後に、読者の方へメッセージをお願いします。

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腹痛や頭痛、めまいなどの症状を抱えて内科など他科を受診したけれど、異常が見つからなかったということで、改めてこちらで受診される患者さんが大勢いらっしゃいます。このように、心のトラブルと体の異変は密接に関連していることが多く、患者さんご本人では一体どこに原因があるのか見極めることはなかなか難しいかもしれません。夜眠れない、憂鬱になる、イライラする、おっくうである、仕事に行きたくない、自分のことを噂されているなど、思い悩むことがあったり、なにか体に違和感を感じたらぜひお気軽にご相談いただければと思います。特に心療内科では、胃潰瘍や気管支喘息、アトピー性皮膚炎など、内科疾患のなかでも心理的な要因が強く絡んでいるものを対象とすることが多く、必要に応じて内科などをご紹介し、並行して治療を行っていただく場合もあります。稀な例ですが、「うつっぽい」と受診された方をよく検査したところ、実は脳腫瘍だったということもあり、早期発見のおかげで一命を取り留めたということも。どんな些細なことでも、お気軽にご相談いただけたらうれしいですね。

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