原田 祐二 院長の独自取材記事
原田歯科医院
(杉並区/永福町駅)
最終更新日:2025/09/11

京王井の頭線永福町駅から徒歩1分のビル2階に「原田歯科医院」がある。親子2代にわたり約65年、地域とともに歩んできた歴史あるクリニックだ。現在、院長を務めるのは2000年に父から医院を継承した原田祐二院長。一般歯科に加えて矯正や予防歯科まで幅広く対応し、常に患者と真摯に向き合ってきた。さらに今年からは、通院が難しくなった患者のために訪問診療も開始。どこまでも患者に寄り添う原田祐二院長に、歯科診療や予防歯科への思いを聞いた。
(取材日2025年8月6日)
自分の家族を診るように誠実に寄り添う診療を
歯科医院の診療体制について教えてください。

基本的には、私と歯科助手の2人体制で診療を行うことが多いです。私は治療だけでなく、予防のための定期的な検診やメンテナンスも自ら担当しています。予防歯科は、他院では歯科衛生士さんが主に対応することが多いと思いますが、私は患者さんの口の中の状態をできるだけ自分で確認し、継続的に見守りたいと考えているため、予防ケアも自分で行っています。診療の際には、一人ひとりと十分に時間を取りながら向き合うよう心がけており、そうすることで患者さんの小さな変化にも気づけるのが大きなメリットだと感じています。このスタイルこそが、私らしい診療の形だと思っています。
診療で大切にしていることは何でしょうか。
患者さんのお話をしっかり伺うことはもちろん、“自分の家族を診るように”という気持ちを常に忘れないようにしています。例えば、歯を抜くべきかどうかといった判断に迫られた場合、自分の大切な家族を治療するとしたら、できるだけ歯を残す方法を選びますよね。患者さんも同じで、一つ一つの治療を大切に考え、常に最善を尽くす診療を心がけ、その時点で本当に必要な方法を患者さんと一緒に考えるようにしています。その結果、自費の治療をご希望されていても、状況によっては「今は保険診療で対応できるところまで行きましょう」とご提案することもあります。どのような場面でも、最善を尽くすという考えは変わりません。
実際の治療でこだわっていることはありますか?

歯科治療は、患者さんにとって“口の中で何をされているのかわからない”という不安やドキドキした気持ちがあると思いますし、「痛いのではないか」と心配されるのも自然だと思います。ですから、必要に応じて麻酔を使いますが、その麻酔自体にも不安を感じる方は少なくありません。私は、患者さんが「え? もう終わったんですか?」と驚かれるくらい、安心して受けていただけるよう細心の注意を払って麻酔処置を行っています。何十年と経験を積んできましたが、今でも毎回、慣れに頼ることなく真剣な気持ちで臨み、一人ひとりに最善を尽くすことを大切にしています。また、患者さんのお話を丁寧に伺い、きちんと説明することも欠かせません。「この先生は話を聞いてくれる」と感じていただけるだけでも、不安は和らぐものだと思います。
増えてきているのは歯ぎしりや食いしばり
患者さんはどのような方が多いですか?

当院では20代から50代の働き盛りの世代の方が中心ですが、父の代から長く通ってくださっている60代から90代の患者さんも多く、幅広い世代の方にご来院いただいています。また、お子さんの診療にも対応しているため、ご家族そろって通っていただけるのも特徴です。さらに、水曜と土曜以外は午後9時まで診療しているため、仕事帰りに立ち寄られる方も少なくありません。最近では当院のホームページをご覧になって来院される方も増えています。特別な先端治療を強調しているわけではありませんが、「家族を診るように誠実で親身な歯科診療」という当院の方針に共感してくださり、安心して頼っていただけているのだと感じています。
多くの患者さんを診る中で、最近気になっている症状はありますか?
歯周病も依然として多いのですが、ここ数年特に増えていると感じるのはブラキシズム、いわゆる歯ぎしりや食いしばりです。一般的に、歯ぎしりは主に夜間の睡眠時に、食いしばりは日中の活動時に起こることが多いのですが、患者さんご自身に自覚がないケースも少なくありません。そのため、肩凝りや頭痛、顎の筋肉の痛みといった不調につながることもあります。ブラキシズムの原因はまだ明らかになっていない部分が多いため、現在は対症療法として就寝時にマウスピースを装着し、歯や顎にかかる負担を減らすことが基本的な対応になります。検診で歯に過剰な負担がかかっていることを指摘され、初めて気づく方も多いですね。加えて、多くはありませんが、定期検診の際には口腔がんの有無も必ずチェックし、早期発見に努めています。
口腔がんにはどのような特徴がありますか?

特徴としては、口内炎がなかなか治らない、粘膜の変色、舌の動かしにくさ、痛みなどが挙げられます。ただし、中にはまったく自覚症状がない方もいらっしゃいます。口腔がんのチェックといっても目視だけで確定できるわけではなく、最終的には病理検査による診断が必要です。そのため、“前がん病変”と呼ばれる疑わしい部分を見つけた場合には、詳しい検査を受けていただくようご説明し、大学病院へ紹介しています。患者さんご自身が「明らかに変だ」と感じる頃には、すでにかなり進行しているケースも少なくありません。だからこそ、私たち歯科医師が常に意識してお口の中をチェックすることは、早期発見に直結する重要な役割だと考えています。もし心当たりがある症状があれば、ぜひ早めに診察にいらしていただきたいですね。
「治療のため」から「予防のため」の歯科医院へ
今後の展望について教えてください。

最近、新たに訪問診療を始めました。きっかけは、私の身内が寝たきりになったときの経験です。当時は看護師さんが口腔ケアをしてくださっていましたが、歯科医師が関わることで、より適切に対応できる部分があると実感しました。口腔内が清潔でないと誤嚥性肺炎のリスクも高まりますので、やはり歯科医師が直接お口の状態を確認し、診断や専門的な処置に関わることが重要だと改めて感じました。実際に始めるまでには器具をそろえるなど準備も大変で悩むこともありましたが、「自分が元気なうちにやってみよう」、「もし喜んでもらえたら、それだけで十分」という思いで第一歩を踏み出しました。訪問診療はまだ始まったばかりですが、これから地域のニーズに応じて着実に充実させていきたいと考えています。
訪問診療も行うとなると、先生お一人で大変ではありませんか?
実は今、娘が歯科医師になるために勉強をしています。娘は大学卒業後に社会人を3年間経験し、その間も時々当院を手伝ってくれていました。そんなある時、「歯科医師になって後を継ぎたい」と言ってくれたんです。その言葉どおり、現在は歯科大学に入学し、2度目の大学生活を送っています。卒業まであと3年余りですので、私もそれまでしっかり頑張ろうという気持ちになっています。かつて私自身も父の姿を見て歯科医師を志しましたが、娘も同じように私の姿を見てくれていたのかと思うと感慨深いです。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

歯科を受診するとき、口の中が悪化してから来院される方がまだまだ多いのが現状ですが、近年は予防のために定期的に通われる患者さんも徐々に増えてきています。例えば、北欧などでは「治療」よりも「予防」に重点が置かれており、虫歯になる前のケアが常識になっています。そうした意識が日本でも広まればと願っていますし、最終的には歯科医院は「治療のため」ではなく「予防のために通う場所」という認識が一般的になってほしいと考えています。私たちの医院も親子2代で歩みを重ねてきましたが、将来的には3代目へとつながっていく可能性があります。これからも地域の皆さまに「あそこに行けば安心だ」と思っていただけるよう、治療はもちろん予防にも力を入れ、信頼していただける歯科医院をめざしてまいります。
自由診療費用の目安
自由診療とはマウスピース型装置を用いた矯正:30万8000円~
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。