増野 司 院長の独自取材記事
増野歯科医院
(杉並区/浜田山駅)
最終更新日:2026/08/31
東京・浜田山の「増野歯科医院」は、歯科医師として、また院長としても半世紀に及ぶキャリアを持つ増野司先生が、モットーである「10年、20年先を考えた治療」の提案と実行に努めている歯科医院だ。患者とより良い歯科医療のことを第一に思うからこそ、診療の場面では遠慮や忖度は一切なし。時には保険診療の限界についてもふれながら患者に必要な情報を伝え、本人が納得のいく選択をできるようサポートしている。入れ歯治療を得意とする増野院長。「機能が優れた入れ歯は、きれいにできています」と胸を張る姿からは、長年培った技術への確かな自信がうかがえる。「浜田山で親しまれる歯科として今後も期待に応えたい」と話す増野院長に、診療の現状や同院の歴史などについてインタビューした。
(取材日2026年8月7日)
手先の器用さを生かせる入れ歯の作製はとにかく楽しい
1978年に開業されて50年近い月日がたちました。診療室で会う患者さんの印象に変化はありますか?

今の患者さんは来院前によく調べてきますね。コンピューター制御でセラミックの詰め物やかぶせ物を作るシステムが当院にあるのをホームページで見た方から「あの方法でお願いできませんか?」と問い合わせをいただくこともあります。レーザー治療やマグネットの入れ歯について聞かれることも多いです。そうした治療が実際その患者さんに適しているかは、お口の中を診てみないと判断できないですが、せっかく当院に興味を持って来てくださったのですから、まずはご相談に乗るところから始めています。50年も続けていると、昔から顔なじみの患者さんが中心なので、80代、90代の方も少なくありません。一方で、近頃はインターネットで検索して来られる若い世代の方が半分くらいの割合になりました。これも時代の流れでしょうね。
歯科に対する意識の高い患者さんなどで、自由診療を求める声もありますか?
はい。当院は保険診療と自由診療が半々くらいの割合です。根管治療を例にすると、当院に初めて来られて、この治療を希望される患者さんのほとんどは「再根管治療」で、一度処置したはずの歯が痛いとおっしゃいます。なぜそんなことになるのかというと、たいていは前回受けた根管治療に何か不十分な点があったからです。少し率直な表現になりますが、多くの患者さんは根管治療をあまり難しいものと考えていない節があります。しかし、そうではないのです。基本に忠実に行うためには、それ相応の時間と手間がかかります。だから最近は、そうした実情を説明した上で、自由診療での根管治療を勧めることが増えていますね。患者さんもよく理解してくださり、自由診療の比率が上がってきていると感じます。
先生が得意としている治療を教えてください。

1つ挙げるなら、入れ歯治療です。取り組んでいてすごく楽しいんですよね。私は小さい頃から手先が器用で、細かい作業が好きだったので、入れ歯を作ることがシンプルに楽しいと感じます。当院の患者さんに彫刻家の方がいまして、うちの入れ歯を見る度に「きれいだね」と褒めてくれます。何であれ、性能が良いものは“美しい”と思います。入れ歯だって同じです。機能的に良いものは、きれいに作られているのだと思います。きれいな入れ歯をつくるために力を注ぐのは楽しいですが、その分大変な作業なので、最近は腕の良い歯科技工士さんに頼むことが増えました。ただ、壊れた入れ歯の修理はこちらで行っています。お預かりはしない主義で、その日にパパッと直してお返しするようにしています。
「10年、20年先を考えた治療」が変わらぬモットー
先生の入れ歯治療をもっと詳しく知りたいです。優れた入れ歯はどこが違うのでしょうか?

入れ歯治療の重要な使命の1つは、まだ残っている歯を守ることです。良い入れ歯は周囲の歯に負荷をかけず、長持ちすることにつながります。でもそれを実現するのは簡単ではありません。歯を失った部分に骨がなければ、そもそも入れ歯治療が困難な場合もありますし、対応が難しい症例もありますから、私たちにとって腕の見せどころです。当院ではマグネットの入れ歯のほか、入れ歯とインプラントを併用するインプラントオーバーデンチャーなど、さまざまな入れ歯治療を用意しています。マグネットの入れ歯は数年前に条件つきで保険適用となりました。バネ式に比べて外れたり動いたりする不快感が少なく、安定感が良いことが望めます。
患者さんから見て、マグネットの入れ歯を使うハードルが下がったのでしょうか。
保険適用となったことは患者さんにとって歓迎すべきことだと思います。ただ、技術に裏打ちされた素晴らしい治療だけに、その技術を提供する者としては、少し心配な部分もあるんです。入れ歯作製は簡単ではなく、熟練を要します。歯科医師は経験を重ねながら勉強していかなければなりません。しかし保険適用となった結果、これからを担う若い先生方が、この技術を勉強して自分のものにしようという意欲を削ぐことにならないだろうか、もしそうなら、長い目で見て患者さんのためにならないのではないか、と危惧しています。根管治療の話とも共通しますが、保険診療と自由診療の垣根をどこに置くかは、いろいろと難しい問題です。患者さんにも、関心を持ってもらえたらうれしいです。
先生は「10年、20年先まで考えた治療」をモットーとされていますが、約50年続けての感想は?

今、高齢期を迎えている方たちの多くは、バブル景気の頃が働き盛りのど真ん中でした。特に男性は仕事人間だった人が多く、あまりに忙しかった上に、今ほど歯の健康への意識も高くなかったのでしょう。この世代は中年期の終わりから数えて「10年、20年先」を生きている方たちですが、初めは妻に連れられてしぶしぶ受診されたのだとしても、やがて歯を守ることの大切さに気づくようで、私がうるさく言わなくても、皆さんセルフケアにも一生懸命取り組まれるようになります。本当はもっと早く、と思うところではありますが、私のモットーが患者さんにもある程度浸透したのかなと感じています。
患者の選択をサポートし、治療に全力を尽くす
「増野歯科医院」の誕生からの歴史について、お聞かせください。

もともとは私の父が、私の生まれた翌年の1954年に今と同じ場所で開業したのが始まりです。それまで区内の違う街に住んでいた一家が浜田山に引っ越してきて、幼い私は周りにまだ友だちがいなかったので、狭い診療室がいつも遊び場でした。当時、父が患者さんの対応にあたったり世間話をしたりしていた姿は今も目に焼きついています。父は私が18歳の時に亡くなったため「増野歯科医院」はいったん閉じ、別の先生に設備ごと貸し出すことになりました。再開したのは7年たった1978年です。私は前年に歯学部を卒業したばかりで、歯科医師になって2年目の若造にすぎませんでしたが、その時この場所で診療にあたる人がいない状態だったので、患者さんのことを考えて「自分でやるか」と決心したのを覚えています。
今後に向けて、どのような抱負をお持ちですか?
開業してもうすぐ50年になるので、体力的には楽じゃないです。それでも長く通ってくださる患者さんがいますから、これからも地域の歯科医院として頑張っていこうと思います。少し気がかりなのは、歯科衛生士さんが退職してしまい、今はいない状態だということです。当院は予防歯科も診療の柱と考えていて、実際、自由診療のクリーニングやバイオフィルムを除去するためのPMTCなど、予防のために受診される患者さんが全体の半分以上です。現状は私1人で治療も予防もこなしていますが、今後を考えるとやはり歯科衛生士さんの力が必要だなと感じているところです。
最後に、読者に向けてメッセージをお願いします。

これからの歯科医療は、患者さんがご自身でお口の中の健康を考え、治療を選択することが一層大切になってくると思います。保険診療か自由診療かを決めるのもそうです。費用をかけることで、より大きなメリットが期待できるなら自由診療のメニューから選ぶもよし。保険診療の範囲でも一通りの治療は可能だから、一生懸命にメンテナンスしながら歯を長持ちさせていくのをめざすのもよし、です。私の役割は、歯科医師としての長年の経験を踏まえ、それぞれの患者さんに治療の選択肢と率直な考えをお伝えすることです。そして、この治療で進めると決まったら、全力で取り組むことをお約束します。
自由診療費用の目安
自由診療とはセラミックの詰め物/3万3000円~
セラミックのかぶせ物/8万8000円~
根管治療/8万8000円~
インプラントオーバーデンチャー/インプラント手術料 22万円、マグネット装置 7万1500円 ※1本につき合計 29万1500円
クリーニング/5万5000円~
PMTC/7000円~
CAD/CAMシステムを用いた治療/2万5000円~
レーザー治療/5000円~
詳細は歯科医院のHPをご確認ください。

