増野 司 院長の独自取材記事
増野歯科医院
(杉並区/浜田山駅)
最終更新日:2024/06/13
浜田山駅から歩いて2分の場所にある「増野歯科医院」。先代が1954年に開院し、長きにわたってこの地で診療を続けてきた歯科医院だ。院長の増野司先生は、同じ治療を繰り返すことのないように丁寧な診療を行っている。専門とする補綴では、入れ歯の新しい治療方法を取り入れながら、さまざまな症例に対応。10年、20年先を見据え、予防歯科や精密検査に力を入れているのも同院の特徴だ。「治療直後だけでなく、その後の人生を快適に送れるような歯科治療を提供したい」と増野院長は話す。リラックスして治療を受けてもらえるようにと、診療室のインテリアは増野院長自らがセレクトしたという。そのような明るくセンスの良い診療室で、先のことまで考えた歯科診療とは何か、得意分野である入れ歯治療のことなど広く話を聞いた。
(取材日2024年5月8日)
10年先、20年先を考えた歯科治療
40年以上の歴史を持つクリニックだと伺いました。
当院が開院したのは1954年で、私の父が診療にあたっていました。ですが私が大学1年の時に亡くなってしまい、当院もいったん閉めることに。その後、私が再開したのが1978年のことです。以来40年あまり、なじみのあるこの地でこつこつ診療を続けてきたことになりますね。長年をかけて培ってきたクリニックの歴史と、患者さんとの信頼関係を大切にしながら、先進の医療機器を使った治療にも取り組んでいます。苦痛の少ない治療のためのレーザー、CCDカメラとコンピューターを駆使したセラミックの人工歯を作るシステム、マイクロスコープを使った精密根管治療にも対応しています。口腔内スキャナーやCTを用いて、口腔内の精密検査も行っています。
診療における先生のモットーを教えてください。
私は歯科医師ですから「患者さんの病気を治療すること」がミッションです。妥協せず丁寧な治療を提供したいと思っています。歯科医師がきちんと仕事をすれば、患者さんは同じ治療を何度も受けずに済むでしょう。さらに適切なメンテナンスを続けることで、いつまでも快適な状態を保つことにつながるのです。これは当たり前のようで難しいことかもしれませんね。患者さんに対しても自分に対しても、自信を持てる治療が理想です。そのためには材料や手間暇を惜しんではいけませんし、保険診療と自由診療の選択も重要になってくるでしょう。その一時だけではなく、その後の長い人生を快適に送れるような歯科治療を常に心がけています。
先のことまで考えて診療されているのですね。
そのとおりです。高齢社会であることを踏まえ、私は「10年先、20年先を考えた治療をしましょう」と患者さんにお話ししています。例えば、60歳で健康な方が、70~80歳になった時に同じように元気でいられるとは限りません。足腰が悪くなったり、寝たきりになったりしたら、今と同じように歯科治療に通うことは困難です。そうなった時のことを考えた治療をしたいと考えているのです。例えば、インプラントをたくさん入れるのではなく入れ歯を作るのも1つの提案です。20年後にインプラントを外す必要が出た時、高齢になると、入院しなければいけないこともありますからね。ですから、悪くなった場合に負担が少ないような治療をお勧めしています。
歯科意識の高いエリアに対応する予防歯科や精密検査
先生の得意な治療について教えてください。
やはり専門分野である補綴、特に入れ歯ですね。比較的新しい治療としては「オーバーデンチャー」という入れ歯が便利だと思います。これは、悪くなった歯を抜いてしまうのではなく、歯の頭の部分を取り除き、その上に入れ歯を乗せるものです。そうすると、将来歯が完全に悪くなって抜く必要が生じた場合も、入れ歯はそのまま使えることが多いのですよ。一般的な入れ歯はバネをかけるのですが、歯を抜いてしまうとバネをかける場所がなくなり、入れ歯の修理に何度か来院しなければいけません。でもオーバーデンチャーには歯根を覆う入れ歯の部分に人工の歯がついているため、作り直しの必要がほとんどなく、今までと同じ入れ歯が使えるのです。この他にもチタン製のかぶせ物を使った治療なども取り入れ、入れ歯に関するさまざまなお悩みに対応しています。
予防歯科にも力を入れていると伺いました。
当院にいらっしゃる患者さんのうち、約半数が予防・メンテナンスで来院されます。この辺りにお住まいの方は歯の健康への意識が高いようで、とても良いことです。口腔ケアでもっとも大切なのはご自宅での歯磨きですが、歯石やステインまでは取り除くことはできません。当院では予防歯科として「クリーニング」と「PMTC」を行っています。「クリーニング」は歯の表面の汚れを落とすもの。月に1度の施術で歯の色や輝きを整える目的の、審美的な要素の強い内容です。「PMTC」は歯の表面だけでなく、歯肉の内側に付着した歯石やバイオフィルムを除去するためのもの。歯周病の治療を終えた方や、メンテナンス中の方にお勧めしたい内容です。
先進機器を用いた精密検査も行っているそうですね。
全身を検査する「人間ドック」の歯科版にあたるような精密検査のメニューを用意しています。当院では初診の方に保険診療内で一通りの検査を行っていますが、もっと意識の高い方の要望に応えたいという思いもあり、この精密検査のメニューを設けました。義歯などの歯型を採る際にも使用する口腔内スキャナーをはじめ、CT、唾液検査機器などを用いて口の中を調べます。それにより虫歯・歯周病の状態や進行具合、噛み合わせ、審美性の程度などがわかります。特に口腔内スキャナーはCCDカメラで口の中をスキャンしたものがモニターに鮮明に映し出されるので、今まで気づかなかったものも見ることができるのです。「このようなところまで見えるのだ」という驚きもありますので、ご自身の口の中をしっかり確認したい方はご検討いただきたいですね。
これからも、妥協せずに丁寧な診療を提供したい
普段の診療では、患者さんにどのように接していらっしゃいますか?
実は私は、結構厳しい歯科医師なんです。というのも、何でも真剣に取り組むタイプなものですから、患者さんにもそれに応えていただかないと、報われないなと感じてしまいます。患者さんの中には自分の歯に対してあまりきちんと向き合っていない方もいます。例えば痛い時だけ受診されて、治療の途中で来なくなってしまう方など。治療を途中でやめてしまうと、悪化して抜歯が避けられない状態になってしまうこともあります。それでは治療の意味がありません。そのような方には「きちんと治療に来られないのなら、お金も時間ももったいないから早く抜いちゃったほうがいいですよ」くらい強く言います。そうすると患者さんは、怒ってそれきり来ない方と、奮い立って通われる方とに分かれると思いますが、私はそれでいいと思っています。後者のような患者さんに、自分のできるかぎり精いっぱいの技術を提供したいのです。
院内の内装は先生のデザインだとか。
そうなのです。スペースによって、テーマになる色を変えています。大きな診療室はオレンジ色、隣は黄色、個室はシックなダークカラーです。それぞれの色に合わせてロールカーテンや時計なども探して選びました。先日など驚くことに、ホームページをご覧になった方から「診療室のロールカーテンについて知りたい」と電話があったんですよ。歯科医院は痛みや不安を抱えて訪れる場所。楽しい気持ちで来院される患者さんは少ないでしょう。明るい内装で目を楽しませ、少しでもリラックスしてほしいと思いながらデザインしました。
最後に読者へメッセージをお願いします。
これからの日本は、高齢化社会について考えていかねばなりません。それは歯科医療も同じです。10年先、20年先を考えながら、保険診療も自由診療も含めた上で、患者さんのライフスタイルに合った治療方法を提案してまいります。特に入れ歯は私の専門分野。何でもご相談ください。基本を大切に、診療には妥協せず、目の前の患者さんに丁寧に向き合っていきたいですね。
自由診療費用の目安
自由診療とはセラミックインレー:2万5000円~
インプラント治療:35万円~
入れ歯:18万円~
CAD/CAMシステムを用いた治療:2万円~
鎮痛・消炎を目的としたレーザー治療:1100円~
インプラントオーバーデンチャー:入れ歯代+インプラント1本につき6万5000円+マグネット装置(アタッチメント代)3万円~
※ケースによっては、ご自分の入れ歯をご利用いただけます
※アタッチメントの種類により費用は異なります。
歯科精密検査:1万1000円~※検査内容により異なります。