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根岸 鋼 院長の独自取材記事

西荻聖和クリニック

(杉並区/西荻窪駅)

最終更新日:2019/08/28

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西荻窪駅北口を出て、目の前のビル3階にある「西荻聖和クリニック」。約25年にわたり、この地で地域住民の健康を守り続けている医院だ。心療内科の専門家である根岸鋼院長は、一言一言じっくりと言葉を選んで話をしてくれる、たいへん穏やかで落ち着いた雰囲気の先生。また取材時には、真面目な顔で冗談をさらりと言って、場を和ませてくれるチャーミングな一面ものぞかせてくれた。さまざまな悩みを抱えた患者でも、根岸院長であればきっと相談がしやすいだろう。クリニックの診療内容や治療の考え方などについて、院長にじっくりと話を聞いた。
(取材日2013年8月22日)

仏教における心の捉え方を、診療にも取り入れて

いつ頃から医師をめざされていたのですか?

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中学生の頃です。祖父と叔父が医師だったので、もともと医師は身近な存在でしたが、具体的に将来就く仕事として考え始めたのは、祖母が熱心に勧めてくれたことがきっかけでした。祖母はいつも私に、「医師は良い仕事だから、あんたもなりなさい」と言っていましたね。そして私は祖母の言葉どおり、医学部に進もうと決めたんです。あと内心、医学部に行けば女の子にもてるんじゃないかとも思っていました。実際は……あてが外れてしまいましたけれど(笑)。

先生は病理学教室で研究もされていたそうですね。どのような内容ですか?

一つは脳血管障害の病理学的検索、もう一つが神経性食思不振症の人体および実験病理です。前者は指導を受けていた教授が、心筋梗塞の発症のしくみを探る研究をされておりました。私は脳梗塞もそれと似たメカニズムで起こるのではという仮説のもと、教授の勧めもあり研究をしていました。後者は学生時代から心療内科医を志していたこともあり、自身でテーマを選びました。神経性食思不振症とはいわゆる摂食障害、拒食症とも呼ばれるものです。罹患者の体の中がどうなっているかに興味があり、病理解剖させていただく機会を得て、それを論文にまとめました。研究は非常に興味深いものでしたが、臨床の場にも面白さを感じていて、対面している患者さんにその場で的確な診断をしなければいけない、そういった回転の早さというか、スピード感に満ちた部分はとても充実感があり、その後大学を辞め、臨床医になったんです。

治療に仏教的心理学を取り入れていらっしゃるとか。

私が大学を卒業した1960年代頃は、輸入された多くの心理療法が世にありました。それらは主にカリフォルニアのエサレン研究所で始まった療法でしたが、その根底には仏教や東洋医学の思想が流れているんです。それを知ったとき、仏教国に生まれたわれわれが、そこに教えを請うのは何だか変だなと感じました。そこから自分なりに仏教的な心理療法を探り始めたのです。そうしたら、エサレン研究所の心理療法に取り入れられているエッセンスは、みんな仏教の中に存在しているものだとわかりました。仏教の教えの中に、心理療法が含まれているというイメージとして捉えてもらうとわかりやすいかもしれません。そうして、心理学分野へ仏教的理論を導入したら良いのではという考えに至ったんです。

実際にはどのように対応なさるのでしょう?

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例えば、私が患者さんにアドバイスを申し上げる場合、私程度の人間が他人に指導ができるのかという気持ちが、私にも患者さんにも生まれることがあります。そのとき「親鸞は、道元はこう言っていた」と説明をすると、患者さんの納得、説得力につながるんです。心理療法に仏教における心の捉え方を活用させていくという方法ですね。これは現在でも研究を続けているテーマでもあります。

主訴から適切に心療内科・精神科を選択することが大切

心療内科と精神科は、どちらを受診すれば良いか迷う人も多いと聞くのですが。

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私は心療内科一筋にやっていきたいという願望が開院当時からありますが、開院から25年ほど経過した今でも、心療内科と精神科の違いはわかりづらい情況にあります。基本的に心療内科は心身症を扱い、治療は心療内科医師、もしくは心療内科を学んだ内科医師が担当します。心身症は身体疾患ですから、心理的な原因から起こる体の症状が主訴です。ストレスによる内科疾患、胃腸障害、偏頭痛、息苦しいなどの症状が挙げられます。

では、精神科は?

精神科は精神疾患を扱う科で、精神科医師が治療を担当します。わかりやすく言えば、心の病気を治療する場所。しかし、うつ病から体への症状が出る場合もかなり多くあり、また近年はうつ病で苦しむ患者さんがとても増加していて、精神科だけでは手が回らなくなってきました。そして日本精神科学会から「心療内科でもうつ病の治療を担当してほしい」という依頼があり、軽度のうつ病患者さんを診るようになったという経緯もあるんです。しかし、あくまでも役割が違いますから、身体症状が主訴なら心療内科、心の症状が主訴なら精神科を受診することが望ましいといえます。

こちらにも、うつ病で来られる患者さんが多いのですか?

圧倒的に多いです。皆さん、うつから体に症状が出て来院されます。本来、心療内科にかかるべき疾患の方が、ストレートに心療内科に来ることは実は少ないんです。体に何か症状がある場合、たいていの方はまず身体科に行かれます。微熱がずっと続く場合、まず一般内科にかかられる方がほとんどですよね。しかし検査でも異常がないので、薬も処方してもらえない。しかし症状は続いてつらい……。そんな方が、自分の症状は心療内科の範囲かわからないけれど、とりあえず来ましたと受診されるケースが多いんです。心療内科の範囲の訴えで一番多いのは、適応障害です。当院の中心患者層は30代女性で、中でも仕事を持っている方が多く、会社での仕事の負担や人間関係、パワハラ、周囲とうまくなじめないなどの訴えが聞かれます。

主婦層の方などは来院されますか?

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主婦の方も増えてきています。最も多いのは、夫の行動が理解できないなどの夫婦関係の悩み。それから嫁姑の関係や、子どもが思うように育たないといった訴えでの来院が多いです。特に専業主婦の方はストレスがかかっていても発散場所がなく、何かと心にも体にも負担がかかることが多いものです。いくら仲良しのお友達でも、そこまでは話せないという至極プライベートな問題を一人で抱えていらっしゃる。ですから密閉されたクリニックという場所であれば、その吐き出し口になることができます。一人で抱え込んで症状がひどくなってしまう前に、一度心療内科を受診されることをお勧めしたいですね。

生まれ育った場所で、地域住民の健康を守っていきたい

治療において最も大切にされていることは何ですか?

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治療方針をきちんと説明することです。心療内科の治療法として、薬に抵抗がない人には投薬治療をします。効果や副作用なども含めて説明し、服用に納得していただいてからでない限り、もちろん治療はスタートしません。そして薬をお出ししたら、必ずその効果や結果を知らせにまた来ていただくことをお願いします。処方したからには責任を持たなければなりませんから。薬が嫌だという方には漢方薬での治療も行っています。漢方で多く扱っているのは、冷え性や胃腸障害、婦人科系疾患、体力をつけるためのものなど。当院は一般内科も診察しておりますが、その場合の処方でも1、2種類は漢方薬を入れるようにしているので、漢方治療にご興味のある方も一度ご相談ください。

プライベートについても教えていただけますか?

高校・大学は空手を、現在は休診日にスポーツクラブで汗を流すようにしています。やはり適度な運動は、健康維持には欠かせないと思いますからね。見るのは野球が好きです。診察室には大ファンの選手のカレンダーも貼っていますが、私が好きだと話をしたら、患者さんがプレゼントしてくれたんですよ。趣味は音楽で、コンサートにはよく出かけます。歌謡曲全般が好きで、自分で歌うのも……すごく得意なんです(笑)。レコードを作ったこともあるんですよ。一般に売ったわけではなく、調子に乗って自分で制作して知人に配っていたんです。妻も音楽好きなので、カラオケに一緒に行くこともありますよ。

今後の展望をお聞かせください。

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何か新しいことをするというよりは、できるだけ長く地域に貢献するためには、どういう医院にしていけば良いのかを今は考えています。例えば患者さんをお待たせしないように予約システムの導入を検討するなど、より患者さん目線に立って、地域の方々を末永く見守れるクリニックを続けていければうれしいと思っています。

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