若井 現 院長の独自取材記事
若井歯科医院
(杉並区/高円寺駅)
最終更新日:2025/06/19

高円寺駅のそばにある「若井歯科医院」は明治期に開業、曽祖父から数えて4代目の若井現(わかい・げん)院長まで、患者とスタッフを大切にするマインドが脈々と受け継がれている。若井院長は虫歯や歯周病、入れ歯の治療といった歯科の基本を重視しながら、破折歯の再植治療など専門性の高い口腔外科の診療も行う。「自分がされたら嫌なことはしない」と明確かつシンプルな診療モットーを掲げ、患者の気持ちを配慮している。会計もキャッシュレス決済に対応し、迅速かつ非接触で可能。治療内容や接し方、設備面からも「患者さんにとって使い勝手のいいクリニック」をめざす若井院長に話を聞いた。
(取材日2025年5月16日)
明治期から続く、地域に根差した歯科医院
歴史のあるクリニックとお聞きしましたが、現在の患者層は?

当院は私の曽祖父が明治期に開業し、私で4代目になります。歯科医院だと3代前に開業、というのはよく聞きますが、明治期というのはなかなか珍しいかもしれませんね。患者さんの多くは高円寺にお住まいの方ですが、お子さんからお年寄りまで幅広いですね。一人暮らしの20代前後の若い方や、祖父の代から通われている90代の患者さんもいらっしゃいます。クリニックが入っているビルも古い建物ではありますが、当院に親しみを持って通っていただけているのはありがたいですね。
設備面では新たなシステムや機器も適宜、導入されていると伺いました。
そうですね。滅菌装置については、安全で効率の良い物を新たに導入しました。口腔内スキャナーも近年は性能が良くなり、通常の歯型採りを行う方法と併用できる水準の物になっていますので、近々導入予定です。また、入れ歯を作製した際などには咬合力測定器を用いて、噛む力が向上したかどうかを客観的に測ることができます。会計ではクレジットカードや交通系ICでの支払いができるよう、キャッシュレス決済の機器を導入しています。初めて行くクリニックはインターネットで調べてから受診される方が多いと思いますので、検索した流れで予約ができるようにインターネットの予約システムも整えました。私自身が生活する上で自然に使っていて良いと思うシステムならば、当院にも取り入れていきたいと考えています。
患者さんの訴えや症状で変化を感じるところはありますか?

大人の虫歯が増えているように感じます。20代の方に話を聞くと、子どもの頃に虫歯になったことがない方も多いんです。親御さんの意識が高く、小さい頃はコントロールされていたものの、親元を離れて自由になると予防がおろそかになってしまうのだと思います。また、よく歯磨きをされて清掃性の良い方に虫歯が増えたので話を聞いてみると、喉の調子が悪くあめをなめ続けていたということもありました。あめやグミなど、口内に滞留する時間が長い食べ物の取りすぎにも気をつけていただきたいですね。その他、矯正の相談も増えてきています。当院ではマウスピース型装置を用いた矯正を行っています。簡便な症例のみ対応していますが、詳しくはお問い合わせください。
虫歯・破折・酸蝕など多角的に支える口腔ケア
小児の虫歯はどのような点に気をつけて診療を行っていますか?

虫歯になりにくい子と虫歯になりやすい子がいますので、リスク分けをして来ていただく頻度を提案しています。虫歯になりにくい子だと年3回の長期休み、虫歯になりやすい子は2ヵ月に1回程度を目安に、受診ごとに虫歯のリスクを下げるためのフッ素塗布を行っています。初めて来たクリニックで大きな虫歯の治療をするとなると恐怖心を抱きますが、1~2年空いたとしても定期的に来ている場所なら、そこまで怖がらずに治療に進めると思いますので、親御さんが受診するタイミングにお子さんと一緒に来てもらえるのもいいですね。フッ素塗布をして歯に問題がない状態をキープし、もし虫歯になれば早めに治療ができるようにしましょう。
こちらでは口腔外科の治療も行っているとか。
破折歯といいますが、割れてしまった歯の治療を多く行っています。中でも抜歯をした破折歯を接着して元の場所に戻していく再植という治療方法にも対応しています。再植はインプラント治療と違い、自分の歯を利用した治療のため、治療後の腫れや痛みが少なくて済むメリットがあります。骨に接合するまでの時間も短く、金額負担を抑えられるのも特徴です。抜歯をしたくない方もいるため、患者さんが再植の治療を希望しなければ無理には勧めていません。定期的にクリーニングをすることで割れていてもしばらくは問題なく過ごせる場合もありますので、そういった情報も伝えて、患者さん自身に治療のタイミングを考えてもらいます。例えば、クリーニングの時に「もう少し持ちそうだね」などと伝えて、頭の中に常に情報が残るようにして、本人が判断できる状態をつくってから決めてもらえるように努めています。
その他、注力している治療内容はありますか?

酸蝕症(さんしょくしょう)について啓発していきたいですね。酸蝕症は酸性度の高い飲食物を過度に取り続けることなどが原因で歯の表面が溶けてしまう症状で、歯がしみると表現される方もいらっしゃいます。虫歯の場合はピンポイントで数ミリを削って治療しますが、酸蝕症は10本くらいの歯を治療することにもなります。酸性の飲み物を飲むなとは言いませんが、酸蝕症を知ることで意識は変わってきますので、情報を伝えていきたいですね。健康のためにナッツ類を摂取し続けて歯が欠ける場合もありますので、患者さんの生活習慣を知ることが治療には不可欠ですから、問診の時間もしっかり設けて話をするようにしています。また、口腔内を撮影して口腔がんの疑いのある場所を詳しく観察したり、ご年配の方の口腔機能低下症を調べる舌圧検査なども行ったりしています。
スタッフとともに築く、温かな診療の場
クリニックの方針として大切にしていることを教えてください。

その患者さんにとって何がベストかを追求して、率直にお伝えできるクリニックでありたいですね。安い治療だから良い、高額な治療だから良いということではなく、その方のお口の状況にとっては安くて早い治療法が良いこともあれば、じっくり時間をかけたほうが良い場合や、高額な治療のほうが良い場合、当院以外のクリニックを紹介したほうが良い場合もあります。そうやって、その方にとっての最善を常に考え、その理念に向かっていけるスタッフが集まり、ベストの治療が提供できることが理想です。
患者さんと接するときに心がけていることをお聞かせください。
当たり前かもしれませんが、患者さんが何を望んでいるかを聞き出すことです。患者さんの中にはうまく言葉にできない人もいますから「そうそう、私の言いたいことはそれ」といった反応が引き出せれば、治療は半分成功したも同じだと思うんです。初診時、多くの患者さんは緊張していますから、「この先生は自分が緊張していることを感じ取ってくれているんだな」と思ってもらえるような会話を心がけています。そのために雑談で関係ない話もしてしまうので、反省しなければいけないところもあるのですが(笑)。また、予約が取りづらいことがあったり、待ち時間が長くなってしまったりすることもあるため、そうした点はクリニックとして改善していかなければと思います。
スタッフさんとの関係も良好そうですね。

当院のスタッフは、患者さんが好きで患者さんのために何かしたいと考えるような優しい人ばかりです。よくしゃべるスタッフが多く、患者さんから情報を引き出すのは私よりも上手です。忙しい日も多いですが、スタッフが快適に働けるよう環境を整えていきたいと考えています。私の父は「スタッフの人生もしっかりと見てあげること」と言っていましたが、私も同感です。無理なく働けるよう、産休・育休制度なども活用しながら勤務してもらっています。スタッフの主体性を重んじながら、それぞれの個性を伸ばしてもらいたいですね。
長く続くクリニックですが、今後の展望をお聞かせください。
これからも気軽に受診できる使い勝手のいいクリニックをめざします。定期的に来ていただきたいですが、私自身も定期検診がおろそかになることがありますので「必ず何ヵ月おきに来てください」とは言えません。ブラッシングの方法を丁寧にお伝えして、1年ごとになってしまっても問題ないようにしています。歯科医院での治療は、痛くないといっても痛い時はありますし、怖くないといっても怖い場合はありますが、患者さんが望むことに対応できるクリニックでありたいと思います。
自由診療費用の目安
自由診療とはマウスピース型装置を用いた矯正/16万5000円~
破折歯の再植/4万9500円~
※症例によっては保険診療で対応可能
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。