海老沢 聡 院長の独自取材記事
海老沢歯科医院
(杉並区/東高円寺駅)
最終更新日:2025/11/14
東京都杉並区の「海老沢歯科医院」があるのは、東高円寺駅の駅前交差点の青梅街道に面したガラス張りのビル2階。診察室の窓からはパノラマさながら、近くの公園の緑も目に鮮やかだ。1997年に海老沢聡院長がこの地に開業した理由の一つがこの景色というのもうなずける。研究熱心な海老沢院長は、安全面を重視しながらも、先進の機器や手法を積極的に導入。例えば、早い時期から提供しているマウスピース型装置を用いた矯正や、セラミックの補綴物の作製・装着を1日で行えるシステムなどだ。一般的な歯科診療からインプラント治療、ホワイトニングまで幅広く対応し、「最終的に治療法を決めるのは患者さん」と、真摯に患者と向き合う海老沢院長に、診療への想いを聞いた。
(取材日2025年10月8日)
セラミック即日治療を可能にするシステム
患者層や診療内容を教えてください。

当院では虫歯治療や歯周病のケアなどの一般歯科に対応していますが、マウスピース型装置を用いた矯正やインプラント治療、セラミックの詰め物・かぶせ物、ホワイトニングなど、審美面にも重きを置いた診療を求める20代、30代の患者さんが多くいらっしゃいます。矯正については、小児用のマウスピース型装置も作製できるようになり、3歳から思春期までのお子さんも多くみえるようになりました。ご高齢の患者さんからはクッション加工した「やわらかい入れ歯」のご希望をいただいています。また、セラミックの詰め物・かぶせ物の作製・装着を1日で行えるシステムも導入し、迅速かつ精度にこだわった治療が可能になりました。
1dayセラミック治療の流れとメリットを教えてください。
ホームページからご予約いただき、無料相談に来院いただくか、オンラインにて相談を承ります。初診時に、問診やエックス線検査など、お口の中全体の検査を行い、診査・診断、治療という流れです。治療では、まず虫歯の部分を削ったら、口腔内スキャナーでお口の中をスキャン。データは院内のミリングマシンに送られ、その場で詰め物やかぶせ物を加工し、約10分で装着できます。従来は、型採りをして、歯科技工所に依頼し、補綴物が完成したら、再び来院。装着までに10日間ほどかかっていました。新システムでは、当日中に済む時短のメリットはもちろん、型採りの負担がなくなり、デジタルデータをもとに作製するので、精度の向上も望めます。さらに、当日削ったきれいな面に装着することでセラミックの接着力が増し、虫歯のリスクを低減させます。
セラミックを使用するメリットを教えてください。

セラミックは白く自然な見た目に加え、耐久性にも優れており長持ちします。また、他の歯へのダメージが少ないことや、臭いにくいなど多くのメリットがあります。金属の詰め物は経年劣化すると隙間ができ、虫歯の再発リスクが高まりますし、金属イオンが唾液と反応して溶け出すと歯科金属アレルギーの原因にもなり得るという面からも、金属以外の素材がお勧めです。プラスチックは、大きい場合は固まる時に収縮するため誤差が生じやすく、金属同様に虫歯の再発リスクが高くなります。保険適用という利点はありますが、セラミックと比べ接着力が弱くなるため脱落のリスクが上がります。また、硬くて丈夫なジルコニアは、強度はありますが、噛み合わせる歯が磨耗してしまいやすいです。その点、天然歯のエナメル質と近い硬さのセラミックは、周囲の歯に負荷がかかりにくく、自分の歯を長持ちさせるための治療法だと考えています。
マウスピース型装置を用いた矯正に注力
マウスピース型装置を用いた矯正は、どのようなものですか。

プラスチック素材の透明なマウスピース型装置を装着して、歯を少しずつ動かしていく手法です。着脱可能ですが、1日20時間以上、原則として、食事や甘い飲み物を飲むとき、歯磨きのとき以外は装着します。日本で本格的に導入され始めたのは2000年代に入ってからですが、当院では、早期からこの方法を導入しました。診療の精度を高めるためには、綿密な診療計画が求められます。まずは専用の口腔内スキャナーで口の中をスキャンし、カウンセリング。さらに、デジタルCTによる被ばく線量が少ないエックス線撮影を行い、歯根を含めたシミュレーションと、矯正による顔つきの変化を骨格などから科学的に予測する機器で分析をし、矯正計画を立てます。こうして得られたデータにより、精密なフィッティングのマウスピース型装置が作られます。来院していただくのは2ヵ月に1度ですが、何かあればSNSで相談できる体制になっています。
ワイヤー矯正との違いを教えてください。
マウスピース型装置の場合、ワイヤー矯正で用いるブラケットと違い着脱可能なので、歯磨きや食事がしやすく、丸洗いして清潔に使用できます。透明のため着用していても目立ちにくいのも、大きいのではないでしょうか。また、ブラケットは装着時に痛みを感じることもあります。ただ、ワイヤー矯正は適応範囲が広いなどのメリットもあります。例えば、前歯の噛み合わせ不良で隙間ができるオープンバイトや抜歯を伴う矯正が必要なケースには、マウスピース型装置よりも適している場合があります。当院ではワイヤーによる矯正でも口腔内スキャン装置を使用し、プログラムによるシミュレーションを行い、精密な設計が可能なフルデジタルで行っております。難易度の高い部分やワイヤー矯正の得意な部分だけワイヤー矯正で行い、後半は目立ちにくいマウスピース型装置を使用する矯正も可能です。
診察の際に心がけていることはありますか。

治療の内容や、メリット・デメリットについてしっかりご説明することです。例えば、セラミックの詰め物を用いた治療についても、患者さんは「1日で治療が終わるなんて良いな」としか思わないかもしれないけれど、詰め物の精度や長持ちすることが見込める点や、保険診療より高額になる点などをお伝えします。矯正も同様に、マウスピース型装置と金属のブラケットとの違いなどを丁寧にご説明するようにしています。「患者さんにとってベストな手法を提供したい」という一心で研究してきた歯科治療の知識をもとに選び抜いた医療システムを導入していますが、決して押しつけることなく、患者さんと相談しながら、患者さんにとってのベストな方法を一緒に選んでいきたい。最終的な治療方法を決めるのは、歯科医師ではなく患者さん自身だと思うんです。
研究を重ね、信頼できる先進の知見を取り入れたい
若い患者さんが多いとのことですが、高齢者の歯科医療にも関心をお持ちだそうですね。

口腔内の健康が体の健康につながるといわれ、私自身、高齢になって介護が必要な状態になっても、自分の歯で、きちんとした噛み合わせで食事ができれば、その方のQOL(生活の質)をより良く保つことができると考えています。当院では、高齢の方の矯正にも対応していますから、「今さら矯正なんて」と決めつけずにご相談ください。また、最近、入れ歯の技術が進化し、素材も改良されています。当院ではインプラント治療も実施していますが、手術したがらない患者さんもおられます。シリコーン素材でクッション加工したやわらかい入れ歯が登場しているので、入れ歯を用いた治療にも力を入れていきたいですね。
先進の研究で注目している分野はありますか?
ナノレベルの粒子で歯の表面をケアするという新たな技術の研究に注目しています。歯科でクリーニングをすると、歯の表面がツルツルに感じると思いますが、実は、顕微鏡で見ると研磨剤による細かな傷がついているんです。そこで、ナノレベルの粒子のペーストを塗り込んで傷を修復し、カルシウムイオンなどの力で再石灰化を促進することで、汚れを付着しにくくできないかと考え、研究が進められているのです。
今後の展望と、読者へのメッセージをお聞かせください。

歯科医療は日進月歩で進化しています。例えば、かつては虫歯が見つかれば削るのが主流でしたが、最近は虫歯の種類によっては削るより定期的な経過観察をするほうが良い場合もあるという考え方が主流になってきています。今後も、海外の文献や勉強会などを通じて先進の知見にふれ、信頼できる情報を選別し、新しい治療法を積極的に取り入れていきたいと考えています。もちろん、新しいものがすべて良いというわけではありませんが、従来の治療法から最新の治療法にまで精通して引き出しを増やしたい。そうすれば、患者さんの年齢や希望、そして経済的状況などのバックグラウンドまで考慮しながら、さまざまな治療の選択肢を提示することができますからね。
自由診療費用の目安
自由診療とはセラミックインレー/6万6000円~、セラミッククラウン/8万8000円~、マウスピース型装置を使った矯正(成人、中高生)/44万円~(検査・管理料込み)、マウスピース型装置を用いた小児矯正/55万円~、インプラント治療/38万5000円 + CT検査料、ガイド製作料 5万5000円~(1手術につき)、ホワイトニング/1万6500円~、ワイヤー矯正/88万円~、やわらかい入れ歯/14万800円~※金額はすべて税込みです

