中島 由美子 院長の独自取材記事
下平レディスクリニック
(杉並区/東高円寺駅)
最終更新日:2026/03/16
東京メトロ丸ノ内線の東高円寺駅から徒歩約5分の閑静な住宅地にたたずむ「下平レディスクリニック」。しゃれた外観と絵画が飾られた温かみのある院内は、まるで知人宅に招かれたような居心地の良さを感じることができる空間となっている。祖父も父も産婦人科の医師という生粋の医師家系に育ち、自身も3人の子どもを育てあげた母である中島由美子院長は、気さくな人柄が魅力のドクター。「女性ならではの悩みを根気良く引っ張り出して聞いてさしあげるのも開業医の仕事です」と、語る言葉からも多くの患者から頼られている理由がわかる。地域の女性たちの健康を見守り、患者の人生のターニングポイントにも影響を与えてきた中島院長に話を聞いた。
(取材日2025年11月10日)
開業医として、患者に安心と適切な治療の提供をめざす
医師をめざしたのは、やはりお父さまの影響でしょうか?

祖父も父も産婦人科の医師でしたから、その影響は大きいですね。自分も医師になるんだと自然に思っていたところはあります。私は小さい頃から生き物が大好きな子どもでしたので、チョウや昆虫が好きな父が、捕まえてきた虫やチョウをどのように標本にするのか丁寧に教えてくれました。そんなわけで、小学生の頃の夏休みの自由研究の課題は毎年昆虫採集でした(笑)。また、母は植物採集によく付き合ってくれました。野山を一緒に歩いては摘んだ花を押し花にしたり、標本にした後は植物図鑑で名前を一緒に調べました。日々の遊びの中から、医学の道に通じる生物への興味が湧いてきた気がしますね。もしかしたら父や母の作戦だったのかもしれませんが(笑)、私自身がとても楽しんでいたことを覚えています。
地域の産婦人科としての特徴や役割についてお伺いします。
男性医師・女性医師という区別はあまり意識していませんが、当院のスタッフは全員女性です。思春期の若いお嬢さんが初めて受診する場合も、女性医師だと安心しやすいかもしれません。父の代からの患者さんがお嬢さんを連れて来られることもあり、若い方も自然に来院されています。女性であることだけでなく、地域に根差した開業医だからこそできることもあると思っています。大規模病院や大学病院では先進の治療を受けられますが、患者さんも多く、医師も忙しそうで、自分の体調や気持ちをうまく伝えられないこともあります。相談に来てくださっても、本音をなかなか打ち明けられない方も少なくありません。診察中の表情や態度から「他にも何か悩みがあるのでは」と、そっと感じ取ることもあります。患者さんの思いを引き出して、一緒に考える時間を持つこと。それが開業医として私にできる大切な役割だと感じています。
「子宮膣部びらん」に対する施術について教えてください。

「子宮膣部びらん」はもともと生理的なもので、それがあることによる不都合さえなければ、慌てて対処をする必要はありません。ただし、びらんがあることによっておりものが多くて悩んでいる方や不正出血がしばしばある方、細菌感染や性感染症にかかりやすい方、びらんの程度が強い方は手術をお勧めする場合もあります。当院では子宮膣部びらんと子宮頸がんについて研究した先代の院長の時代より、「下平式高周波凝固法」を使った手術を行っています。日帰りでできる高周波の手術1回で済み、再発を少なくすることが期待できます。おりものが多い方や不正出血にお悩みの方は、一度ご相談ください。
若い世代こそ気をつけたい子宮頸がんの予防
最近、臨床の中で気になることはありますか?

世間では乳がんへの関心が高まっていますが、20代、30代では子宮頸がんにも注意を払っていただきたいです。ほかの多くのがんと違って、子宮頸がんの方は、20代から急に増えてくるからです。出産年齢が上がっていることから、子宮頸がんが発症する年代と結婚、妊娠前の年代が重なってしまっているので、ここを何とかしなくてはいけないと私は思っています。子宮頸がんは、その多くが性交渉などを通じてヒトパピローマウイルス(HPV)に感染することによって生じるといわれています。HPVに感染してもほとんどの場合はがんに発展せず、時間の経過とともに感染が自然消滅するとされています。しかし、ごく一部の感染者で感染が持続し、長い年月をかけて徐々にがんになっていくといわれています。
子宮頸がんを予防するためにできることは何でしょうか?
子宮頸がん予防には重要な2本の柱があります。1本目はHPVワクチンを受けること、2本目は子宮頸がん検診を受けることです。がんを引き起こすHPVはおよそ15種類ありますが、現在使われている9価のHPVワクチンを接種することで、80から90%のHPVの感染を予防できるとされています。現在、小学6年生~高校1年生に相当する年代の女性は公的な費用による無料接種(定期接種)が受けられます。また、東京都では、2025年4月から同年代の男性にも接種費用の助成が始まりました。初めて性交渉を持つ前の接種が最も効果的で、若いほど高い予防効果が期待できます。保護者の方はぜひ注目してください。思春期は、月経困難症や月経前症候群など、月経の悩みもたくさんあり、ワクチンだけでなくそれらの相談も含めて産婦人科のかかりつけ医を持つことをお勧めします。
更年期に関する不調のご相談も多いと伺いました。

10〜90代まで、本当に幅広い年齢層の患者さんがお越しくださっていますので、更年期のお悩みもよく伺います。更年期に関する不調は患者さんによってお悩みもさまざまですので、問診で閉経の時期やその他の病気などについてもしっかり伺い、適切な検査を行った上で患者さん一人ひとりに適した治療方法を提案することを心がけています。問診や検査の結果、女性ホルモンの減少による更年期症状と考えられる方には、ホルモン補充療法(HRT)を提案することもあります。それぞれの患者さんの環境やライフステージに合わせて、健康を支えていきたいですね。
健康を土台に、自分らしい人生を支える婦人科
最近、骨盤底筋トレーニングの必要性を耳にすることが増えました。

産後や更年期の女性の健康課題や、男性も含めた生活習慣病予防の観点で、注目されてきたことが背景にあると思います。骨盤底筋は、骨盤臓器脱や尿もれ、頻尿、尿失禁といった症状の予防に直結するとても大切な筋肉で、女性だけでなく男性にとっても重要です。特に産後や更年期には骨盤底筋の機能が生活の質に大きく影響するため、早めに意識して、無理のない範囲で継続的にトレーニングを行うことが大切です。女性の場合は、膀胱や子宮の位置が変わることでGSM(閉経関連泌尿生殖器症候群)の症状や性交渉の不具合に関わることもあります。骨盤底筋とGSMは重なる部分もありますが、完全に同じものではないため、それぞれの役割を理解して取り組むとわかりやすいでしょう。トレーニングを日常的に続けることは、将来の骨盤臓器脱や尿トラブルを防ぐことにつながり、健康で快適な生活を維持する上で大切なポイントとなります。
産婦人科の医師として、どんなときにやりがいを感じますか?
勤務医時代、不正出血で来院された患者さんが、何かまだ言いたそうで、話を聞いてみるとお子さんがなかなかできないために夫婦仲がうまくいっていないと悩んでおられました。私は「相手の方と仲良く一緒に生きていくことの結果が子どもなのだから、まずは旦那さんと楽しく過ごすことを考えたほうが良いのではないか」と、真剣にお話ししました。アドバイスを受け入れてくれた患者さんが”日々楽しく”を実践されるうちに、自然に赤ちゃんを授かったということがありました。患者さんの人生の大切な岐路に大事なサポートができたことは本当にうれしいですね。
読者へのメッセージをお願いします。

女性は、人生の中で何を選び、何を諦めるのかを選択しなければいけないことが多いと思います。結婚か仕事か、子どもか仕事かなど大きな選択が常についてきますよね。妊娠に関しては、生殖医療が進歩した今でもやはり年齢的な限度があります。私自身もすごく悩み、子どもたちに寂しい思いをさせたこともあったと思いますが、結局自分が好きな方向にしか行けないのです。自分が我慢するのではなく、自分らしく生きるにはどうしたら良いかを考えたいですね。そのためには健康が第一です。婦人科に相談してもらえれば解決をめざせることもたくさんありますし、いろいろなアドバイスをすることもできます。何か手助けが欲しいと思った時は、いつでも相談にいらしてください。
自由診療費用の目安
自由診療とは下平式高周波凝固法/4万8400円~

