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中山 美子 院長の独自取材記事

阿佐谷クリニック

(杉並区/阿佐ケ谷駅)

最終更新日:2025/09/11

中山美子院長 阿佐谷クリニック main

JR中央線・阿佐ケ谷駅が最寄りの「阿佐谷クリニック」は、地域住民に半世紀愛され、頼りにされてきた内科・糖尿病内科・循環器内科・呼吸器内科・消化器内科を診療する小さな診療所だ。父親の後を引き継ぎ2代目院長を務める中山美子(よしこ)先生は、やわらかく落ち着いた物腰で患者と向き合い、相手の話にとくと耳を傾けることで、数多くの患者との関係を築いてきた。診療外での患者との交流にも力を注ぎ、楽しみながら糖尿病の運動療法に導く活動として「歩く会」を定期開催している。すべての人に、生きている限り体につらい思いをすることなく過ごしてほしいと願いを語る中山院長に、開業当初の記憶や、父・大川清先生のこと、歩く会などについて聞いた。

(取材日2025年8月13日)

地域と歩み半世紀、今もじっくり丁寧に患者と向き合う

初めに、クリニックのプロフィールをご紹介ください。

中山美子院長 阿佐谷クリニック1

当院は1975年9月1日に開院し、今年で50周年を迎えます。父の大川清前院長が開業を考えていた時、この場所で廃業を決めた診療所が売りに出ていて、「ちょうどいい所があった」というご縁でした。父は現在も理事長として金曜の午後と土曜午前に外来に出ており、今も理事長を慕って患者さんがいらっしゃいます。中には、もうじき4万に達するカルテ番号の2ケタ台という方もいて驚きました。うちは長年地域でやっているので、おばあちゃんに付き添ってきた息子さん夫婦がやがて通院、そのお子さんも、さらにはお孫さんも次に通院するという感じで、4代にわたるご家族を拝見しているケースもあります。

開業当初から、内科の総合的な高機能診療所をめざしていたそうですね。

はい、それが開業当初からの父の考えで、ここに来れば一通りの医療が受けられることをめざしたんです。在宅医療も最初から手がけ、今はケアマネジャーさんや訪問看護師さんたちと協力しますが、当初は全部1人で行っていました。とにかく自分で何でもする。検査も他の病院に送ったら時間がかかるから自前の設備でできるように設備投資しました。父はバイタリティーあふれる人で、往診の依頼は断らず、朝の診察前にも患者さんの家に寄り、外来診療後に再び往診に出かけていました。また、早くから胃透視検査や注腸検査、エコー検査、眼底検査などを導入していました。通常のエックス線検査の他、腹部・心臓のエコー検査、ホルター心電図検査、呼吸機能検査、睡眠時無呼吸症候群検査、骨量測定などを行っています。

中山院長ご自身も阿佐谷クリニックで診療を始めて30年なんですね。

中山美子院長 阿佐谷クリニック2

1995年にここへ来たので、もう30年ですか、早いものです。「来てよかったと思える診療所」という父の理想に賛同しつつ、私は私なりのやり方でやってきました。内科全般を診る中でも、特に呼吸器系と循環器系の検査や治療を発展させることができたかなと思います。診療所でできる医療には限りがあるので、特殊検査か専門医療が必要な人はどんどん紹介しています。患者さんの話をじっくり聞いて丁寧に説明するなど、患者さん自身が自ら管理能力を高めるための指導に注力しています。女性の患者さんは、女の先生だから話してみようと思うこともあるのかもしれません。患者さんの話はしっかり伺いますので、気になることがあれば相談してください。

みんなと楽しく歩いて運動療法を始めるきっかけづくり

クリニックで取り組んでいる「さつき会」の活動について教えてください。

中山美子院長 阿佐谷クリニック3

さつき会は日本糖尿病協会支部の患者会の1つとして、1977年に発足しました。糖尿病の患者さんはもちろん、糖尿病に関心のある方などどなたでも入会でき、現在も運動療法の実践につながる「歩く会」など、年に4、5回くらい行事を開いています。以前は「試食会」と称して、実際に1食分の料理を提供し、高血圧予防の基準とされる1日6グラム未満の塩分やご飯150グラムを守るとこのようなメニューになるという感覚をつかんでもらっていましたが、新型コロナウイルスの流行以降は開催が難しくなりました。そこで、現在は健康講座として、毎回テーマを決めて医師、管理栄養士、看護師がお話ししたり、患者さんから体験談をお話しいただいたりしています。

「歩く会」は具体的にどのような内容なのですか?

毎年春と秋の2回、ウォーキング前後に血糖値や血圧を測定し、運動の効果を実感していただけるよう取り組んでいます。糖尿病の患者さんが中心ですが、ご家族やお友達も一緒にご参加いただいています。2025年春は区内の桃井原っぱ公園を訪れ、途中にあるお寺の庭園で枯山水を見学したり、季節の花を楽しんだりもしました。毎回スタッフが事前にコースを下見し、綿密なスケジュールを組んで実施しています。健脚組とゆっくり組に分け、各グループとスタッフが一緒に歩きます。参加者同士が友達になるなど、活発なコミュニケーションも病気療養のいい励みになっていると思います。

改めて、医療従事者と患者がともに歩くことの意義について先生の考えをお聞かせください。

中山美子院長 阿佐谷クリニック4

運動が大事なことは皆さんご存じなんですが、実行するまでのあと一歩が踏み出せないんです。だからこそ、私たちが注意して見守る中で気軽に歩いていただき「この季節に散歩するとこんなきれいな景色が見られるのか」とか、「自分は2.5kmくらいの距離なら平気で歩けるんだな」とか、そんなリアルな体験をきっかけにして、次は1人で散歩に行こうかと思ってくれたらうれしいです。ウォーキングすると血糖値はかなり下がりますが、ただ数値を下げるだけが目的ではありません。このくらいのペースで歩いて安全かどうか確認する意味もあるんです。心臓病の方があまり速く歩いてドキドキするのは良くないので、その方にとってどれくらいのペースが適切かをアドバイスする機会にもしています。

自分の体をよく知り、自己管理を続けることが一番大切

患者の話をじっくり聞くとのことでしたが、中山院長からはどんな言葉をかけているのでしょうか?

中山美子院長 阿佐谷クリニック5

自分の病気を正しく理解することが、自己管理には欠かせません。患者さんの訴えや関心に合わせ、内容別に整理した資料の中からモチベーションが上がりそうなデータを示し話します。時には話題が脇にそれたりもします。患者さんはいろんなことを話してくださいます。すべてがその人を理解する大切な情報になります。長く通ってくださっている患者さんのことは、家族構成や趣味、好きな食べ物、最近お孫さんが結婚したことなども頭に入っているので、患者さんの背景から体調不良の原因、予想がつくこともあります。前向きに取り組める言葉かけを心がけています。

普段の健康維持に関しても何かアドバイスしていますか?

糖尿病の患者さんによく話しているのは「食べたら動く」です。食後に家事程度の軽労作でも動くと血糖上昇が緩やかになります。長期的に見て糖尿病や動脈硬化のリスクを抑えることにつながります。だから患者さんにも、食べたら買い物に行きましょうとか、掃除も食べた後にやりましょうなどと勧めます。ただ、食べたら動くができない場合、例えば会社の昼休みに忙しくてデスクを離れられないという場合もあるので、食後にこだわらず、軽い運動を勧めています。通勤の徒歩を少し速く歩くなど、患者さんに実行可能なものをお勧めしています。

最後に、読者に向けてメッセージをお願いします。

中山美子院長 阿佐谷クリニック6

皆さんには、生きている限り体につらい思いをすることなく過ごしていただきたいと考えています。体は消耗品ですから粗末に扱えば早く悪くなります。正しい食事をして適切に使えば、より良い体となって長持ちさせることもできます。中年以降の体の衰えを食い止めるには筋肉を落とさないことが重要で、健康長寿を実現したいなら、きちんと食べ、運動し、しっかり睡眠を取って、予防できる病気は予防することです。体質や病気は遺伝的要素もありますが、生活習慣病のおよそ3分の2は後天的な要因で発症するといわれています。遺伝があるからと諦めず、若いうちから健康に関心を持ち、定期検診を受け、病名がつく前に取り組んで発病を防ぎましょう。自分の体をよく知り、自己管理を続けることが何よりも大切であると覚えておいてください。

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