安藤 正之 院長の独自取材記事
安藤歯科クリニック
(中野区/東中野駅)
最終更新日:2025/12/03
東中野駅から徒歩3分、山手通り沿いの「安藤歯科クリニック」は、1989年の開業から35年以上、地域だけでなく国内の歯科医療に貢献し続けている。安藤正之院長は、口腔の健康が首や肩の筋肉に及ぼす影響に着目し、課題を解決するために生理学や解剖学など歯科の領域を超えて学んでいる。近年は咬み合わせを重視した診療や審美歯科に注力し、特に舌・頬粘膜・唇の裏・咬み合わせの4点に生じるストレスに注目。そのストレスを解消する方法や利点について研究し、患者や医療業界に発信し続けている。「患者さんの困っていることに応えられる知識と技術を身につけられた今が一番幸せです」と力強く答える安藤院長に、2020年12月の取材時からの変化や現在力を入れている治療について話を聞いた。
(取材日2020年12月18日/再取材日2025年10月10日)
「素敵な笑顔は人生を変える」を糧に患者の人生に貢献
歯科医師を志したきっかけを教えてください。

歯科医師を志したのは、地元の香川で歯科医院を開業していた親の影響が大きかったですね。小さい頃から「将来は歯科医師になるんだよ」と言われ続けたのです(笑)。東京歯科大学を卒業後、他院での勤務を経て1989年に当院を開業しました。同年にスウェーデンのイエテボリ大学でインプラント治療を学び、その後も3回ほど同大学でインプラント治療や歯周病治療を勉強しました。その中で技術はもちろん、歯科医師とスタッフの信頼関係やチーム医療の在り方についても感銘を受けました。きっかけは親族の影響ですが、イエテボリ大学で学んでからは歯科医師を天職と思うようになりましたね。
イエテボリ大学での経験が、今のクリニック体制の礎になっているそうですね。
イエテボリ大学での教授と学生のやりとりが衝撃的だったんです。日本の大学よりも教授と学生の距離が近く、治療の技術が高いのに学生にあれこれ言われても気にしない教授ばかりでした。また、歯科医師はもちろん、歯科衛生士のプロ意識も高く、ベテラン歯科衛生士に研修中の歯科医師がやり込められていることも珍しくありませんでした。その対等に近い関係が素晴らしいと感じ、私も意識の高いスタッフが集まるクリニックをつくりたいと思いました。例えば、国家資格を所有していない受付スタッフも、患者さんにとってはクリニックの顔ですし、歯科助手も一歩間違えれば患者さんの人生を左右するようなトラブルを引き起こす恐れもあります。そのため資格の有無にこだわらず、全員がエキスパートとしての自覚を持って真剣に仕事をしてほしいと指導しています。
5年前の取材時からクリニックの診療方針などに変化はありますか?

今も虫歯や歯周病治療など一般的な歯科治療全般に対応しておりますが、特に審美歯科と咬み合わせを重視した診療を行っております。その理由は、人の人生に貢献したいと思ったからです。特に、思いっきり笑った際に、周囲の人に「うらやましい」とため息をつかせるような美しいスマイルラインを提供するのを目標にしています。実はこのシチュエーション、実際に経験のある方が多いんですよ。「きれいな歯でうらやましい」って。人は笑った顔を褒められると、もっと笑うようになると思います。そうやって笑う機会が増えると性格も明るくなり、人生が楽しくなると考えています。そんなふうに人の人生を変えるお手伝いができる審美歯科に魅力を感じ、専門的に扱っております。
舌のストレスに注目。口腔内から全身の健康をつなげる
メイン診療の一つである審美歯科で、大切にされていることを教えてください。

当院の審美歯科では、大笑いした時に美しい口元になるのを基準に施術の方針を決定しています。一般的な審美歯科では、接客の際につくられる「ビジネススマイル」や、プライベートで自然に表れる「ナチュラルスマイル」を基準に口元を整えることを図るケースがほとんどです。しかし、これらを基準にすると、普段の生活で大笑いした際に違和感が生じることがあります。私は大笑いした時の笑顔を「ハーティースマイル(心からの笑顔)」と呼んでいます。「ハーティースマイル」では普段よりも1.5ミリほど口の中が見え、唇が左右どちらかに傾く方が多いです。そのため当院では斜めに傾いた口元を整えることをめざし、芸術品を彫刻するような意識で施術を行います。そうすることで「ハーティースマイル」はもちろん、「ビジネススマイル」や「ナチュラルスマイル」時の口元も美しくすることをめざします。
咬み合わせを診る際は、歯並びだけでなく、「舌」のストレスも考慮するそうですね。
近年、咬み合わせの研究は進んでいますが、それでもまだ実態が掴めていない分野でもあります。私自身も患者さんの要望に応えるため、1990年頃から咬み合わせの勉強を続けていますが、思うようにいかないこともあり、大学に戻って生理学や解剖学、微生物学などを徹底的に学び直しました。そのような中で気づいたのが、下顎が安定していないことによる口腔のストレスです。人はぼんやりしている時、下顎がブランコのようにブラブラしています。その安定しない状態を考慮しなければ、適切な咬み合わせはかないません。整った咬み合わせをめざすためには下顎を安定させる必要があり、そのための研究を重ねていくうちに、今まで注目されていなかった、舌や頬粘膜、唇の裏などが感じるストレスを解消するのが重要だということに気づきました。私は、舌・頬粘膜・唇の裏・咬み合わせの4つのストレスを合わせて「口腔ストレス」と呼んでいます。
慢性的な肩凝り、首の凝りの原因が口腔ストレスの可能性もあると伺いました。

顎と首の筋肉はつながっているので、顎にストレスが生じると首へ大きな負荷を与えるといわれています。そこから首とつながっている肩や頭にも影響が出ると考えられます。首や肩に不調を感じる場合、整体などに通う場合が多いですが、症状が解消されない場合は口腔ストレスが関係している可能性が高いでしょう。どれだけ不調箇所をマッサージしても、根本を断たないとまた滞ると思うので、慢性的な不調に悩まれている方は一度当院にご相談ください。また、狭い下顎の中で舌が歯に当たって生じるストレスは、舌がんの原因の一つにもなるといわれています。高齢になってからの歯列矯正は体への負担が大きすぎるので、少しでも若いうちに咬み合わせや口腔ストレスの診療を受けるのが大切です。
咬み合わせを整え、もっと軽やかな毎日を
今後の展望やチャレンジしたいことを教えてください。

先ほどお話しした口腔ストレスについて、しっかりエビデンスを確立していきたいですね。どれだけ私が口腔ストレスを解消する大切さについて熱く語っても、それを裏づける根拠が足りていないからと、聞いてもらえないことも少なくありません。先日博士号を取得し、東京歯科大学生理学教室の研究員になれたので、ようやく私の主張をしっかり研究できる環境が整いました。これからどんどん研究をして、どんどん論文も出して、エビデンスを確立したいと意気込んでいます。
歯科医師として35年間走り続けて来られましたが、バイタリティーの源は何でしょうか?
患者さんと本気で向き合っていると、「自分がやるしかない」ってなるんですよ(笑)。歯科医師になった当初は技術もないので、「私には無理です」と伝えることもありましたが、「先生より頑張れる人はいないから」なんて言われてしまうと、やるしかないなって。患者さんに期待されたら、その気持ちに応えたいと思うんです。だから私は今、とても幸せなんです。患者さんが困っていることに応えてあげられるくらいの力を手に入れたので。常に勉強や研究を怠らなかったから、今の技術や知識があります。本当に幸せなことですね。
最後に、読者へメッセージをお願いします。

整体などに長く通い続けても不定愁訴に悩まれている方は、口腔ストレスが根本にある可能性があると考えています。矯正後に肩凝りや頭痛の症状がひどくなった場合、口腔の状態に問題がある可能性が高いのと考えられるので、一度当院にご相談ください。治療には費用がかかるので、治療を受けるかどうかの判断をその場で求めることは決してしません。不定愁訴の原因を知るだけでも気持ちが楽になるので、気軽に相談できる場所として利用していただけたらうれしいです。すぐに来院するのが難しい方のために、公式サイトでの相談も行っています。当院の目標は、患者さんがより良い人生を送れるようサポートすることです。今後の人生のためにも、ぜひ一度、ご自身のお口の中と真剣に向き合ってみてください。
自由診療費用の目安
自由診療とはセラミックを用いた補綴治療/11万円~

