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韋 晴明 院長の独自取材記事

セイメイ内科

(中野区/東中野駅)

最終更新日:2019/08/28

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疲れていたときに飲んだ漢方薬が効いた。そんな自分自身の体験から漢方薬に興味を持ったと語るのは「セイメイ内科」の韋晴明院長(イ セイメイ)院長。「しかし漢方薬も薬である以上、西洋薬より頻度は少ないですが副作用もあるんです」と、副作用を嫌って漢方薬を希望する患者に注意を促す。「西洋薬でいい薬があればそちらを。解決できない症状なら漢方薬を試す価値はあります」と韋院長が言うのは、「いずれにしても薬を使うなら最小限に」との思いからだ。勤務医時代、病院の上司の方針と自分のポリシーとの食い違いに我慢できず、JR線東中野駅近くに同院を開業。「職場の人間関係に悩まず気が楽で、いつの間にか25年もたちました」とこれまでを振り返る。伸びやかで明るい口調と笑顔の韋院長と話すだけで、こちらも元気になれそうな取材となった。「実は患者さんを診療するうえで、言葉はとても大切な治療法のひとつ」と語る同院の診療について聞いた。
(取材日2013年12月18日)

西洋薬も漢方薬も、副作用の可能性がある医薬品

先生がこちらで開業されたきっかけを教えてください。

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私は医学部卒業後、大学病院や関連病院に勤めたのですが、組織のしがらみがずっと苦手でした。大抵の医師は自分なりのポリシーを持って診療しています。それに合わないことを押しつけられると長く勤める気になりません。私の場合は画一的なガイドラインに縛られず、患者さんの個性を重視した診療をしたくて、病院を辞めようと決意しました。こういった事情で商売っ気はさほどないものですから、患者さんの見込み数の多い場所より、自分の生家に近いなじみ深いところで開業したというのが本音です。「あなたの小さい頃のことを知っているわ」と懐かしそうに話される患者さんにお会いすると、決まりの悪さも感じますが、これも何かの縁だと思って楽しんでいますね(笑)。当院は新宿区と中野区の境にあるため、お見えになる患者さんは新宿区から1/3、残りが中野区からといったところ。といっても中にはホームページを見たり、患者さんから紹介されたりして鎌倉方面、千葉県や埼玉県からお見えになる方もいらっしゃいます。

今のお話では薬の使いすぎを懸念されるようですが?

ええ、私は必要最低限の量や回数でいいと考えていますからね。薬といっても人体に何らかの影響を与えるもので、いわば毒物の一種です。このため適切な量やタイミングで使用し、副作用を考慮しながら体への負担を最小限にすることは大切なことです。また「漢方薬なら効き目が穏やかで副作用もない」といった誤解も多いのですが、医薬品と認められているのですから、誤って使えば副作用が出ることもあり得ます。しかし西洋薬と漢方薬と選択肢が2つあれば患者さんに適した治療方法が選べますし、薬も効果的に使えば量を最低限にできます。実は私が漢方に興味を持ったのも、自分でそうした効果を実感したからなんです。勤務医時代、働きづめで疲れていたとき、知人が「この漢方薬を飲むと元気になるよ」と試供品をくれました。当時は漢方薬に対して半信半疑でしたが、飲んでみたら1時間くらいでとても元気が出てビックリ。患者さんにも勧められそうだと思い、それから本格的に勉強を始めたんです。

では漢方薬はどのようなとき役立つのでしょうか?

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まずはお勧めしないケースからお話ししましょう。例えば糖尿病や高血圧、高脂血症などの病気で、血糖値や血圧、コレステロール値などをコントロールしたい患者さんには向きません。そうした病気で漢方薬を希望する患者さんには、「昔ながらの漢方薬が効いたとしても非常に効率が悪いですから、いい薬がたくさん出ている西洋薬をまず試してください」とはっきりお伝えするんです。そして当院でそのまま西洋薬による治療を続けて、状態が改善した方は大勢いらっしゃいます。一方でひどい冷え症が続く、アトピー性皮膚炎の治療がうまくいかない、ぜんそくの治療に西洋薬を使うと動悸がひどい、花粉症の薬では眠くなる、といった場合には漢方薬も検討されるといいでしょうね。また肩こり、腰痛、更年期障害など西洋医学でうまく解決法が見つからない場合もご相談いただくと、効果的な治療ができる可能性があります。

文科系の目で患者一人ひとりをしっかりと診る

こちらでの診療の様子を教えてください。

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当院を初めて受診された患者さんの場合、ご本人の訴えを十分お聞きすると同時に、何か重大な病気が隠れていないかを検査で確認します。心筋梗塞やがんで手術を要するようなときには、当院では残念ながら対応はできません。必要ならご紹介した病院でより専門的な検査も受けていただき、見落した病気がないとわかった上で当院での診療を始めるのです。お見えになる患者さんの3割くらいは、病院などで「十分に検査をしても原因は見つからない。病気とは違います」と言われたような方。私のところでも最初から「この病気」とはっきりと診断はできませんから、「まずつらい症状を抑えましょう」と保険診療で漢方薬を処方するのです。しかしそうした薬に頼る前に、私が患者さんに勧めるのは日常生活の改善です。例えば冷え症の方なら、体を冷やす生野菜よりも温野菜を食べ、飲み物も温かいものを選び、お風呂に定期的に入るなどを試していただきます。それでもなかなか改善しない場合に、漢方で体を温める薬を処方するのです。このように患者さんの話を聞き、私から助言する「言葉の力」も、治療効果の半分くらいを占めるのではないでしょうか。

言葉でも患者の状態が改善するのですか?

直接お話しする言葉だけでなく、医院全体の温かいアットホームな雰囲気、患者さんを笑顔でお迎えする私やスタッフの対応なども含まれますね。診療でも私が「大丈夫ですよ」とおはなしすると、患者さんの不安を減らして気を楽にする効果があるのでしょうか、少し治った気分になるようですよ。そして病気以外のいろいろな話をしているうちに、患者さんがご自分から「実はこういった悩みがあって……」と話されることがあります。私に話すことで次第に心や体が軽くなり、やがて涙がぽろりと流れたら治ったも同然。それはご自分の中でモヤモヤとしていた悩みにピタリと焦点が合って、「このストレスで心も体も苦しかったのか」と気づく瞬間なんです。また患者さんに横になっていただき、おなかを触って具合を診る「腹診」も漢方治療の診断には欠かせません。この場合もおなかに手を当てただけで気持ちがいいと、リラックスする方もいます。きっと安心感が生まれるのでしょうね。

最初からそのような診療をめざしていたのですか?

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私は脳への興味から医師になったのですが、それ以前には文学部志望でした。そのためか患者さんの心と体を深く見つめる医師の仕事は、理科系でなく文科系だと感じているんです。患者さんを一人の人間として診て、話を聞き、生活や思考の背景を探っていく過程では文科系の素養が必要です。もちろん病気の診断には理科系の視点が必要ですから、結局は幅広い知識と教養が問われるのですが……。私が内科を専門にしたのも、そうした文科系の姿勢が重視される分野だと感じたから。検査結果や患者さんの話をもとにその方の症状と病歴、生活背景まで考えながら診断を絞り込んでいく。そうやって謎の答えを探り当てていく内科の診療は文科系の目からも印象深かったですね。

地域医療に役立つ医師会や在宅医療などの活動

ずっと笑顔の対応で、取材にも慣れたご様子ですね。

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いやいや、そうでもありませんよ。話すのが好きなだけでしょう。ただ中野区医師会の会長を務めたときには、地元のケーブルテレビの番組に熱中症予防のアドバイスなどで何度か出演しました。会長職といってもボランティアで、地域のため役立とうという気持ちで引き受けるんです。最初から「自分が会長に」と言う人は少ないのですが、医師会の役職を頼まれるうちに、皆さんに喜ばれるやりがいを感じてハマるんですよ。健康診断や予防接種、学校医や園医、産業医、また講演会や防災訓練などでの啓発活動など、地域に役立つ仕事していると実感する機会は多いですね。それに私自身も医師会で数多くの医師と知り合え、行政とのつき合いもできました。いろいろなところから入る情報に詳しくなり、診療にも役立っています。例えば私の専門は循環器内科で、当院には胃の検査体制は整っていません。そこで「近くのA先生は消化器内科専門で腕がいいから頼もう」と、病院や診療所同士での連携をスムーズにする効果もありました。

在宅医療でも地域に貢献されていますよね?

開業当初はここまで積極的にやるつもりはありませんでした。しかし長年通院してくれた患者さんから「もう足が悪くなったから通えない」と言われて、はいサヨナラとは言えませんからね。「では私から伺います」と訪問を始めて、次第に増えていったのです。患者さんの容体は老衰のこともあれば、がんなどの病気で「人生の終わりは自宅で」と帰ってこられた方もいます。終末期医療ならなるべく快適な余生を送れるよう、救命治療を主眼とするキュアより、心と体のお世話をするケアの視点で携わります。そうした場面で患者さんの痛みを取り、精神的に落ち着くために漢方薬が役立つことはとても多いですね。

こちらで開業されて暮らし方は変わりましたか?

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自分のポリシーを曲げずに済みますからストレスは減りましたが、患者さんのニーズもあって休みは思ったほど自由には取れませんでしたね(笑)。といっても休診日には朝早くから医師会の仲間とテニスを楽しんでいます。近くにある公園のテニスコートで夏は6時から8時、冬は7時から9時までがテニスの時間。以前は中野区の医師の集まりでしたが、最近は練馬区、豊島区、新宿区、板橋区からの参加も増え、新たな交流の場となっています。それ以外には読書や音楽鑑賞とインドアな趣味も多いですね。自分の診療に満足しているわけではありませんが、そろそろ子どもに継いでもらうことも考える時期。多くの患者さんから頼られてきた当院ですから、できれば引き続きここで診療してほしいですね。子どもたちが漢方治療を本格的に学んでくれるのか気になりますが、どんな方向であっても患者さんにきちんとした診療を提供でき、地域に求められる診療所でありたいと考えています。

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