全国のドクター9,201人の想いを取材
クリニック・病院 158,634件の情報を掲載(2024年4月24日現在)

  1. TOP
  2. 東京都
  3. 台東区
  4. 入谷駅
  5. 城所医院
  6. 城所 功文 院長

城所 功文 院長の独自取材記事

城所医院

(台東区/入谷駅)

最終更新日:2021/10/12

城所功文院長 城所医院 main

東京メトロ日比谷線の入谷駅近く、言問通りから少し入ったところに立つ「城所医院」。エントランスのドアに記された“城所醫院”の文字がその歴史をさりげなく物語る。現在、院長を務める城所功文(きどころ・まさふみ)先生に代替わりしてからすでに28年以上が経過しており、長きにわたって地域に暮らす人々の健康を見守ってきている。最近では新しいマンションが立ち、若い世帯が増えてきているものの、やはり昔からこの地に暮らす人たちの高齢化は確実に進んでいると、城所院長は話す。高齢者は疾病を併せ持つことも多く、内科以外の悩みを相談する患者も多くなっているという。一人ひとりの話を丁寧に聞き、人と人とのつながりを大切にする診療姿勢で患者に接する城所院長に、さまざまな話を聞いた。

(取材日2019年5月10日)

地域の高齢化に即した丁寧な診療。要望があれば往診も

先生の代に替わってからもう28年と伺いました。

城所功文院長 城所医院1

1991年に代替わりしましたので、もうそのくらいになりますね。父の代も含めますと60年以上になるのではないでしょうか。代替わりにあたって古くなっていた医療機器を一部新しくしましたが、それ以外は昔のままです。院内はまさに昔ながらの地元の診療所といった風情です。地域の方々もこの医院と一緒に年齢を重ねていて皆さんご高齢になってきています。長い年月をともに過ごしてきていますので、横のつながりが深くなった印象ですね。ここは内科の医院ですが、内科以外の疾患や悩みについて相談を受けることも増えています。若い方ですとインターネットで予習して来られますが、ご高齢の方はやはり近所にいる身近な医師に尋ねたほうが安心されるようです。

患者は高齢者が多いのですか。

50代後半から60代、70代の方が多いですね。50代後半はちょうど自分の残りの人生を考える時期ではないでしょうか。それまで健康診断の数値を気には留めていたけれど、なかなか忙しくて受診できなかったといった人も、その年代になって自分の体のことを気遣いはじめるのでしょう。血圧などの数値や体調にも大きな変化が出てくることの多い年代ですので、しっかり治療しようと思うようです。家族3世代で通われている方も多いですね。長いおつき合いの患者さんは、ご家族のバックグラウンドがわかっていますので、よりアドバイスしやすいですね。普段から一緒に来られていれば、ご家族の顔が自然に浮かび、「まだ小さなお孫さんにうつったら大変だから、風邪が治るまでは少し離れていたほうがいいね」などとお伝えすることができます。こういうことができるのは患者さんとの距離が近い下町の医院ならではのことですね。

こちらでは往診も行っているのですか。

城所功文院長 城所医院2

ご高齢になって通院できなくなった患者さんについては、ご要望があれば往診も行っています。家の中というのはある意味特別な空間で、あまりよく知らない他人が入り込むのはなかなか難しいこともあります。ただ、最近では、在宅医療という概念もかなり定着してきていますので、以前と比べると往診を受け入れやすくなっているようです。この地域には独居でお住まいの方もおられますので、地域包括支援センターや地域の保健師さんなどと連携をとりながら体調管理を行っています。ここで診察を受けた後、自宅に帰ってから体調の急変が心配な場合は、保健師さんに連絡をとって見に行ってもらうなどのお願いをすることもあります。

まずは受診のきっかけとなった症状の改善をめざす

普段患者さんを診療する際に心がけていることはどんなことですか。

城所功文院長 城所医院3

患者さんの話をよく聞くことを最も重視しています。患者さんはどこか体調が悪いから当院に来ているわけですから、今日受診しようと思った理由をしっかり聞くようにしています。症状が軽ければ「医者に行くまでもない」と思われるはずなので、その理由はとても重要なのです。今、その方が、一番困っていること、つらいと感じていることをまず改善して差し上げることが大切ですね。特にご高齢になりますと、複数の疾患を持っていることも多いですから、まずは受診のきっかけとなった症状を改善に導き、その後に次の症状の治療に進むなど、優先順位を考えています。もしも当院で対応できない場合は、連携している病院やそれぞれ専門性の高いクリニックなどへ紹介しています。紹介先は、近くの永寿総合病院や台東区立台東病院などです。

複数の疾患を持っていると、薬の管理も大変に感じることがあるようですね。

薬はなるべく減らすよう工夫しています。例えば、他の症状が出て新たに服薬しなくてはならない場合、それ以前の症状が比較的落ち着いていたらその薬の服用を一時止めるなど、服薬の調整も考えて診療しています。呼吸器疾患の治療では吸入薬を処方することも多いのですが、ご高齢になりますとうまく吸入できないこともありますので、他の処方に変更するなど、患者さんの状況に応じて細やかに対応しています。ある薬は処方どおりにきちんと飲んでいるのに、別の薬は大量に残ってしまうなどといったことのないよう、患者さんの服用の仕方などにも注意を払っています。当院は院内処方です。最近では、調剤薬局もサービス業の一つとして捉えられることも多く、院外処方のほうが良い、と思う方もおられるかもしれません。ただ、足腰の弱ったご高齢の方からは、院内処方のほうが助かるといった声も多く聞かれます。

こちらでは小児科も診ておられるのですね。

城所功文院長 城所医院4

近くの保育園の園医をしていますので、その保育園のお子さんがいらっしゃることも多いですね。また、かかりつけの小児科クリニックの休診日に、急患で来られるお子さんがいたり、より専門的な診断が必要な場合は専門的な小児科に紹介したりと臨機応変に対応しています。風邪やインフルエンザは家庭内でも感染しますから、お子さんを診る時は、だいたいお母さんも診ています。お母さん方はみんな子育てに一生懸命ですね。今は育児に関する情報が多く、悩んでいるお母さんも多く見受けられます。この年齢ならばこのくらいのことができなくてはならない、などといった情報に惑わされることもあるようです。中には、身長や体重まで気にするお母さんもおられます。成長の度合いは個人個人で異なるのですが、心配になってしまうようです。そんなお母さん方の悩みや不安に、私で応えられることは応えるようにしています。

自宅近くのかかりつけ医を上手に活用して

先生のご専門は循環器と伺いましたが、なぜ循環器を選んだのですか。

城所功文院長 城所医院5

緊急性が高く命にかかわる疾患で多いのが、脳卒中もしくは心臓疾患です。緊急性を回避して大事な命を救いたいという気持ちが強かったのですね。循環器はある程度検査ではっきり数値が出る科ですが、患者さん一人ひとりの状況を的確に判断することが重要です。総合的な診療が重視される点にも強く惹かれました。ただ、数値だけを診ていては駄目で、患者さんとの会話を通して自覚症状の有無やその方が一番困っていることを明らかにするのが大切です。数値だけではわからないことを見落とすことなくしっかりと診療し、何か気になる症状があれば、迅速に連携病院に紹介しています。

ところでプライベートはどのようにお過ごしですか。

開業当初は、オンとオフをきちんと分けないとストレスがたまることが多かったのですが、今は、逆に時間の切れ目がないのが普通になっています。自宅もすぐそばですし(笑)。下谷医師会の副会長を務めていますので、医師会の先生方との会合や一緒に食事を楽しむことなども多いですね。

では最後に読者へのメッセージをお願いいたします。

城所功文院長 城所医院6

若い方は自宅の近くにあるかかりつけ医を早い時期から持ったほうが良いと思います。30代、40代の方は勤務先近くのクリニックを受診することが多いと思います。ですが、最近では土日も診療している地域のクリニックも増えています。近所に信頼できるかかりつけ医がいれば、急性の疾患が起きた時も相談にのってくれると思います。当院でも何科にかかればいいのかわからないなどといった相談を受けることがよくあります。インターネットなどの情報を鵜呑みにして勝手に判断せず、何か不安や悩みがあれば我慢せずに気軽に相談に来ていただければと思います。必要であれば専門の医療機関もご紹介します。患者さんにとって一番メリットのある診療を考えてまいりますので、どうぞお気軽に相談ください。

Access