定期的に受診して早期発見を
網膜硝子体疾患の検査と治療
秋野眼科医院
(豊島区/千川駅)
最終更新日:2024/02/29


- 保険診療
網膜剥離や糖尿病網膜症、加齢黄斑変性症などに代表される網膜硝子体疾患は、眼科領域の中でも緊急性が高く、手術治療でしか回復を見込めない深刻なケースが多いと言われている。特に網膜は視覚から得た情報を電気信号に変換して脳に伝える役割を果たしていることから、カメラで言うところのフィルムに例えられるほど、身の回りの物の色や形を認識する上で重要な役割を果たす。ここに異常が現れることで物が大きくゆがんで見えたり、視力が急激に低下するなど、見え方に著しく支障を来たすという。網膜硝子体疾患を専門とし、これまで数多くの網膜硝子体手術を手がけている「秋野眼科医院」副院長の秋野邦彦先生に、網膜硝子体疾患の種類やその特徴、治療法や早期発見のためのポイントなどについて詳しく聞いた。
(取材日2024年1月5日)
目次
セルフチェックシートで片目ずつ見え方を確認することも有用。手術時期が遅れると視力回復が望めないことも
- Q網膜硝子体疾患にはどのようなものがありますか?
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A
▲日本眼科学会眼科専門医の資格を持っている
よく知られているものとして、網膜が眼底から剥がれる網膜剥離があります。視界に虫のような浮遊物が見える飛蚊症の悪化で気づくケースが多く、視野が欠けたり、視力が低下し、進行すると失明のリスクもあります。ただし早期に治療をすれば回復が見込める疾患です。このほか、糖尿病の合併症の1つである糖尿病網膜症や網膜静脈閉塞症、網膜の中心である黄斑部にダメージを受けることによって視野の中心が欠けたり、物がゆがんで見えたりする加齢黄斑変性症、黄斑上膜、黄斑円孔などが挙げられます。加齢性の疾患であれば高齢になるほどリスクが高くなりますが、網膜剥離は10代20代にも起こりやすいため、年齢を問わず注意が必要です。
- Q見え方の変化などから、自分で疾患に気づけるのでしょうか?
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A
▲小さな不調を見逃さずにクリニックを受診しよう
人間は左右2つの目で物を見て生活していますから、片方が見えづらくなっていたとしても、他方の目が補うため、早期にご自身で気づくのが困難なことも多くあります。自覚症状が現れた時点ではかなり進行していることがほとんどですから、定期的な検査やセルフチェックシートなどを用いて、片目ずつ状態を確認する習慣をつけましょう。特に糖尿病網膜症の場合、初期には視力の低下などはまったくみられません。糖尿病の診断を受け、血糖値が高いうちは1~2ヵ月程度のこまめな診察、安定していても、年に1、2回の眼底検査をお勧めいたします。
- Q早期発見のために行う検査について教えてください。
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A
▲定期的な検査が早期発見のポイント
網膜硝子体疾患に限らず、目の疾患は視力検査と眼底検査、網膜のむくみや出血の有無を確認できるOCTの3種類の検査を行い、自覚症状に現れない早期の段階での発見へとつなげます。必要に応じて造影剤を用いた眼底検査を行います。白内障は加齢とともにどなたにも見られますし、緑内障は40歳以上の20人に1人は発症していると言われております。スマホやPC作業で、どなたも目を日々酷使しております。特に不調がない方であっても、目のトラブルを感じた際にすぐにかかるかかりつけ医を持つことをお勧めいたします。近視の方は年に一度程度、コンタクトレンズをお使いの方は3ヵ月から長くても6が月に一度の定期検査をお勧めいたします。
- Qクリニックではどのような治療を行っていますか?
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A
▲治療後のフォローにも力を入れ、患者の不安を軽減する
加齢黄斑変性症に関しては、レーザー治療のほか、近年硝子体注射を適切なタイミングで行うことによって、視力の回復や維持が期待できるようになりました。ただし視力がある程度戻ったとしても、見え方のゆがみがなくならないことも考えられます。網膜剥離、黄斑上膜、黄斑円孔は手術治療を行います。当院の場合、こうした手術は埼玉メディカルセンターで私が自ら執刀して手術を行うことが可能で、術後は引き続き当院に通院していただきながら、経過のフォローをさせていただきます。初めての手術に対してもきめ細かくサポートしますので、手術の検討にあたって不安があれば遠慮なくお尋ねください。