マイクロスコープを用いて保険診療で行う
重度の虫歯の根管治療
田端歯科医院
(豊島区/北池袋駅)
最終更新日:2025/02/13


- 保険診療
重度の虫歯を患ってしまった場合の治療法の一つとして、虫歯に侵された神経や血管を除去して内部を洗浄・消毒し、薬剤を詰めて「ふた」をする根管治療が挙げられる。東武東上線北池袋駅から徒歩で約7分の住宅地に位置する「田端歯科医院」の田端輝院長は、先代から受け継がれた「患者第一の痛みの少ない治療」「できるだけ歯を残す」という治療方針に加え、「誰もが受けられる治療」を掲げる。そのポリシーにのっとり、重度の虫歯が見つかった際、マイクロスコープを用いた根管治療を保険診療で行っている。マイクロスコープを用いた根管治療を保険診療で行うことへの思いやそのメリット、同院の根管治療の特徴などについて、田端院長に取材した。
(取材日2024年6月26日)
目次
自由診療のイメージが強い根管治療。誰もが受けられるよう、マイクロスコープを使った根管治療を保険診療で
- Q重度の虫歯とはどのような状況ですか?
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A
▲重度の虫歯について、詳しく語る田端輝院長
虫歯の進行度は、初期段階の「C1」から末期段階の「C4」レベルまで分けて診断しますが、重度の虫歯とは、「C3」「C4」の状態を指します。「C3」は、エナメル質の下の象牙質まで虫歯が進行し、神経まで達している状態、「C4」では神経が完全に死んでしまい、虫歯菌により歯が溶け、歯の頭がなくなってしまい、歯の根っこの先に膿がたまってしまった状態を指します。「C3」の状態になると、強い痛みを感じて多くの方が歯科医院に足を運びますが、「C4」になると神経が死んでしまっているため痛みを感じないこともあります。「気がついたら歯がなくなっていた」という患者さんを診察したら、「C4」であるケースも考えられます。
- Q重度の虫歯を放置してしまったらどうなりますか?
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A
▲全身の健康を脅かしてしまうと真剣に語る
重度の虫歯を放置すると、歯の根元の骨が溶けて、周辺の歯を支える骨にまで影響が及ぶことがあります。また、さまざまな研究により口腔内の細菌が血液に入り込み、詰まってしまうことで、心筋梗塞や脳梗塞など血管系の疾患にかかるリスクが増えることが解明されています。虫歯のみらなず、プラーク(歯垢)内に潜む歯周病菌によって引き起こされる歯周病の場合も、虫歯と同様歯茎の血管を通して全身に運ばれ、糖尿病などの疾患を重症化させるリスクが高まるといわれています。重度の虫歯の放置は、口腔内の健康のみならず、全身の健康を脅かすことにつながりかねません。
- Q重度の虫歯の治療にマイクロスコープを使用されているのですね。
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A
▲マイクロスコープを使用し精密な治療を追求
当院では、先代院長だった母の時代からマイクロスコープを導入しています。肉眼だと確認しきれない病変も、マイクロスコープを使うことによって細かい部分が拡大して見えるため、精密な治療につながります。また、近年、歯科医療においては、「ミニマルインターべンション」といって最小限の浸襲で治療を行うことが主流になりつつあります。マイクロスコープを適切に使うことにより、歯の削り過ぎなどを防ぎ、悪くなった部分のみの治療が行いやすくなります。当院では通常の診療から4倍の拡大鏡を使用していますが、根管治療をはじめ、必要に応じてマイクロスコープを使用し、なるべく歯を残す治療に力を入れています。
- Q根管治療における保険診療と自由診療の違いは何でしょう?
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A
▲治療計画や費用面の相談や悩みに寄り添う
自由診療で行う場合、マイクロスコープを活用して細菌の繁殖を防ぐことをめざす薬剤を使ったり、隙間ができにくい精度の高い材質のかぶせ物を作ったりできますが、だからといって、治療が100%成功するとは限りません。保険診療では、コストを抑えるため、いわゆる一般的な薬剤や器具を使用するなど自由診療と比較すると制限はありますが、そんな中でも、さまざまな薬剤を使用することが可能です。先ほども申し上げましたが、当院では「誰もが受けられる治療」を診療ポリシーに掲げています。根管治療は自費のケースが多いですが、代々受け継がれてきた当院のポリシーとして、保険診療の範囲内で根管治療を提案しています。
- Q保険内でマイクロスコープによる根管治療を行う際の心がけとは?
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A
▲3代続く診療方針、継承しつつ発展を見据える
重度の虫歯が進行してしまった場合、最終的に歯を抜くかどうかの判断をする必要がありますが、マイクロスコープを用いることで歯の状態を細かく確認できるため、抜歯の必要性や緊急性を慎重に判断することが可能です。マイクロスコープを根管治療に効果的に取り入れつつ、教科書的には抜くべき歯でも、そのリスクを患者さんが理解した上でそれほど症状がなければ抜かずに様子をみるなど、一人ひとりの患者さんと対話を重ねながらどのような治療が重要なのかを見極めながら治療を進めています。マイクロスコープは、低侵襲が大きな強みです。この強みを生かしながら、患者さん第一の、痛みの少ない治療に取り組んでいきたいと思います。