完全自己血液由来で安心
メディフュージによるCGF再生治療
広野歯科クリニック
(文京区/白山駅)
最終更新日:2021/10/12
失った歯の機能を取り戻すインプラント治療。それにはインプラントをしっかり埋め込めるだけのじゅうぶんな歯槽骨が絶対条件だ。最新インプラント治療で定評のある広野歯科クリニックの広野敬院長は、骨不足の人にもインプラント治療を可能にするため、メディフュージによるCGF再生治療をいち早く取り入れた。骨がなければ作り、しかもその材料に自己血液を使うというCGF再生治療。それはどのような治療法なのだろう。
(取材日2013年9月4日)
目次
インプラント治療の際に歯槽骨を補うだけでなく、外科手術の治癒を早める効果も
- Qメディフュージとはどのような機械ですか?
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A
メディフュージは、患者さんご自身の血液からCGFというものを抽出するための遠心分離器です。CGFとは、傷ついた組織の再生・治癒に働く成長因子を多く含んだ血小板を、さらに濃縮したもの。血液の中には骨を作る骨芽細胞がありますが、CGFは、それを誘導しやすい成長因子だけを抽出したものがなんですよ。このCGFには、手術後の傷の治りを早めたり、骨の再生を促したりする効果があります。その力を生かして、インプラント治療などに活用されているんです。インプラント治療では、歯槽骨にじゅうぶんな幅や厚みがないと、インプラントを埋めこむことができません。そんな時に、骨を増やす目的でこの技術を使うんです。
- QCGFはどのようにして作るのですか?
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A
患者さんから注射によって血液を10〜50ccほど採り、それを専用試験管に入れてメディフュージで遠心分離すると、13分ほどでCGFが得られます。それには2つの種類があります。1つは、外側が薄皮で中身が液体の、黄色いゼリーのようなものです。ハサミで切っても中の液体はもれることがなく、ぷるんとしています。それを細かく刻んで使うこともあれば、圧縮して薄皮の状態にしてから使う場合もあります。もう1つは、液状のCGFです。こちらは、骨になる顆粒状の材料を浸して半固形状にして使います。それぞれ、患者さんの骨不足の状態や用途に応じて作り分けるのです。作り置きはせず、インプラント手術など、使うその場で作ります。
- Q治療の様子を具体的に教えてください。
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A
骨を作りたい場所に、骨になる材料を置き、その上から薄皮にしたCGFをかぶせて縫います。骨になる材料というのは、人工的、あるいはほかの動物から採取したもので、顆粒状です。それを置いただけでは流れてしまうので、半固形状にして薄皮でふたをするイメージですね。そうすると、うまく骨ができてくるんです。上顎洞という鼻の横辺りにある空洞のところへインプラントを埋め込む際は、骨に厚みが足りません。そこで、直径2ミリほどの小さな穴を空け、そこから骨になる材料とCGFを混ぜたものを押し込みます。そうすると、そこに骨ができて、インプラントを埋められるようになるんです。また、歯を抜いたあとの穴にゼリー状のものを埋め込むと、骨の再生が効率よくできます。
- Qこの技術を使うメリットは何ですか?
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A
最大のメリットは安全性です。CGFは患者さんご自身の血液から作ったもので、添加物は一切入れていないため、体にとって異物ではありません。完全自己由来なので、拒絶反応がないんですよ。低侵襲ですむという点もメリットと言えます。従来は、インプラントを入れたくても骨がない場合、体のほかの部位から骨をもってくる骨移植を行っていました。その方法では骨を取る場所と埋める場所とで、2ヵ所の手術が必要でした。でも、この技術を使えば手術部位が1ヵ所ですむのです。患者さんの負担が少なく、なおかつ安全。そして骨の再生が早まるという優れた技術です。にもかかわらず、普及が遅れているのは、歯科医院でふだん行わない採血が必要だからなんです。
- Q患者さんはどのような感想を持たれますか?
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A
当院では、インプラント治療を受ける患者さんのうち3〜4割の方に、骨に厚みや幅が足りません。そこで、この技術についてご説明するのですが、最初は「歯医者さんで採血ですか!?」と驚かれます。でも、説明を進めていくと、ご自分の血液由来のCGFということで、安心されます。手術中や術後に関しては、患者さんにしてみれば通常のインプラント治療を受けているだけなので、この技術に関しての感想は特にないようです。痛みがひくとか、逆に痛みが増すという現象もありませんからね。ただ、傷の治りが早く、インプラントを埋め込むまでに半年待たなければいけなかったものが、これを利用することで4ヵ月ですむという意味では、治療が早く進むと喜ばれます。