坂井 啓子 院長の独自取材記事
音羽ファミリー歯科
(文京区/護国寺駅)
最終更新日:2025/05/27

出版社や大学などがある文京区大塚、音羽エリア。この地で15年にわたり診療を続けている「音羽ファミリー歯科」は、その名のとおり、地域住民が家族ぐるみで通うアットホームな歯科医院だ。場所は、大塚3丁目の大きな交差点の角地とわかりやすい。平日は坂井啓子院長が診療し、土曜は夫で副院長の坂井信裕先生も診療に加わるスタイルで、虫歯や入れ歯などの一般歯科をはじめ、予防歯科、審美歯科・ホワイトニングなど幅広いニーズに対応。また月1回、矯正専門の歯科医師による小児・成人矯正も実施している。「歯科医院が怖い人でも安心して受診してもらえるように心がけています」と穏やかに語る坂井院長。日頃どのように診療をしているのか話を聞いた。
(取材日2025年4月17日)
患者の気持ちに寄り添い、痛みの少ない治療を
治療にあたって、大切にされていることは何でしょうか。

私は子どもの頃、歯医者さんが大嫌いだったんです。泣いたりわめいたりして受診を断られた経験もあるんですよ。ですから自分の患者さんには、できるだけ痛みの少ない、怖くない治療をしたいと思っています。歯科医院は音もうるさいし、楽しい所ではないですよね。でも患者さんは頑張ってなんとか来てくださっている。それだけでもまず良かったという気持ちで、威圧感を与えないようにゆっくり話すことを心がけています。ちなみに私は子どもの頃、男性の先生が苦手で、「どうして女性の先生はいないのだろう?」と感じたことが歯科医師をめざすきっかけになりました。当院での診療を通じて、歯科医院ってそんなに怖い所じゃないかも、と思ってもらえたらうれしいですね。
痛みを少なくするために、具体的にどのようなことをしていますか?
治療の痛みの軽減を図るために麻酔の注射を打つのですが、さらにその前に、麻酔注射の痛みに配慮して、歯茎の表面に薬を塗る表面麻酔を行っています。この場合、ただ薬を塗るだけではなく、塗った箇所に綿を当てて3分間しっかり押さえておくことが大事なんです。細かいことですが、そういう丁寧な工程を省かずに、できるだけ患者さんが痛みを感じなくて済むように取り組んでいます。何しろ、私自身が痛いことが大嫌いなんですよ。だから自分でいろいろと吟味して、患者さんに「この方法だと痛みも少ないですよ」とお伝えできたらなと思っています。
強い恐怖心のあるお子さんには、どのように対応されるのでしょうか。

歯科医院での過去の体験から恐怖心やトラウマがあると、まずお口を開けることすら難しいものです。お子さんが歯にフッ素を塗られただけでも大泣きしてしまったというお話も聞きますが、もし何の説明もなく口の中に何かを塗られたら、それは確かに恐怖ではないでしょうか。ですから当院では、まず初めてのお子さんには治療に使う道具や材料を一個一個すべて見せます。「こんな道具を使うんだよ。触ってみてもいいよ。これを口に入れたらどんな感じがするかな?」などと話をしていくと、徐々に心を開いて、お口を開けてくれるようになるんです。初回は治療をせずに、「歯の数だけ数えてみようか」というときもあります。急いで治療をするよりも、歯科医院への抵抗感をなくしていつでも通えるようにすることのほうが、長い目で見ると大事だと思うんですよね。
家族ぐるみで通える地域のかかりつけ歯科医院
最近の患者層と症状について教えてください。

患者さんの年齢層は幅広くいらっしゃいます。最初にお母さまが来られて、その後にお子さま、お父さま、おじいさま、おばあさまと、家族で通ってくださる方も多くてありがたいですね。最近の傾向としては、特に若いお母さん方の、予防に対する意識が高くなっていると感じます。虫歯治療の後に、定期的なメンテナンスに通ってくださる方も多いですね。ご高齢で持病のある方も増えていて、その場合は、患者さんが通っている病院の先生にまずお手紙を書いて確認をしてから歯科治療をスタートするようにしています。「そこまでするの?」と驚かれるかもしれませんが、例えば、持病のある方が抜歯をする場合などは、入院が必要な場合もあります。全身の状態や病気の有無を確認することは、お互いにとって、とても大切なことなんです。
クリニックの診療方針についても伺います。
一番は、じっくり患者さんのお話を聞くことです。今どんな思いで、どういう治療をしてほしいのか、今まで受けた治療や放置してしまったことなどを伺います。問診票があっても書きづらい場合や、なかなか言葉にできないこともありますよね。そんな胸の内をお聞きすることで、患者さんが納得できる適切な治療へとつなげていきます。それから、当院の電話番号の末尾は「8020」なのですが、80歳で20本の歯を残すことをめざして、できる限り歯を抜かない、削らない治療をまず考えます。私は歯内の治療を専門としていますが、神経もできれば抜かないほうが、歯の耐久性や健康を考えた上でも良いのです。そのために、治療だけではなく日頃のケアの大切さをお伝えするようにしています。
予防歯科で最近取り組んでいることはありますか?

エアフローという専用の医療機器を使って歯石や汚れを除去するクリーニングは以前から取り入れているものですが、この際に使用するパウダーが以前よりも細かい微粒子のものに変わりました。それによって、歯茎から上の歯面だけでなく、歯周ポケットの中の歯面も、このクリーニングができるようになったんです。従来の器具を使ったクリーニングの場合は、清掃と同時に歯の表面に傷がつくので汚れを除去した後の磨き上げが必須になりますが、歯周ポケットの内部のような狭い部分は磨き上げができません。その点、エアフローで微粒子のパウダーを使うクリーニングは、歯の表面を傷つけにくいので、歯周ポケットの内部の清掃にも大いに活用しています。
一生使う歯を守る、安心して通える歯科医院でありたい
入れ歯の処置や、矯正治療なども行われているのですね。

はい、入れ歯に関しては、主に土曜に副院長が担当をしています。長く通われている方も多く、今後も患者さんが生活やお食事を楽しんでいけるように、お役に立ちたいと思っています。矯正治療に関しては、毎月第1金曜に矯正専門の歯科医師が担当していますので、矯正を考えている方には、まず無料の相談をお勧めしています。もし大がかりな矯正になる場合には矯正専門の歯科医院をご案内しますし、当院で可能な矯正の場合には、そのまま通院していただけます。
日頃のケアについて、患者さんへ呼びかけたいことはありますか?
自分ではちゃんと歯を磨いているつもりでも、細かい部分に汚れが残っているケースが多くありますので、できれば一度、見せに来ていただきたいですね。簡単な染め出しのチェックをすることで、どこが磨けていないのかよくわかり、虫歯や歯周病になる前に対策ができます。歯ブラシの使い方を教わるなんて面倒だと思われるかもしれませんが、長い人生で見れば、ほんの10分ほどのことですから。それで一生使う歯を守ることができるならば、簡単なことだと思っていただけたらうれしいですね。もちろん磨き方の問題だけではなく、歯並びの問題や、虫歯になりやすい性質の方もいらっしゃいますので、やはり定期的なチェックとメンテナンスは大事です。
最後に、読者へメッセージをお願いします。

歯科医院というのは多くの方にとって怖いイメージがあると思います。私自身もそうでした。だから患者さんには「こんな嫌な所によく来てくれましたね」といつも言っているんです。歯科医院への高いハードルを越えて受診してくださるお気持ちをくみ取って、当院では安心して過ごしていただけるようにすることが私の役目だと思っています。最初に大泣きしてしまうようなお子さんでも、心を許してお口を開けてくれるようになるまで、一つ一つステップを踏みながら進めていきますのでお任せいただけたらと思います。お子さんも親御さんも、ご高齢の方も、まずはお話をするだけでも何かお役に立てることがあるかもしれません。少しでも気になることがありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。
自由診療費用の目安
自由診療とは矯正/80万円~、小児矯正/40万円~、セラミック治療(かぶせ物)/5万5000円~、エアフロー/5000円~、ホワイトニング/3万3000円