石川晃史院長の独自取材記事

石川歯科医院

(文京区／茗荷谷駅)

最終更新日：2025/05/14

茗荷谷駅から徒歩10分の場所にある「石川歯科医院」。現院長の石川晃史先生は3代目にあたり、長年にわたって地域住民の歯の健康を支えてきたクリニックだ。院内には所々に植物や熱帯魚が置かれ、訪れた人の心を和ませている。地域のかかりつけ医として、患者とのコミュニケーションと丁寧な説明を大切にしている石川院長。幅広い治療に対応しつつ、中でも得意としているのは入れ歯やかぶせ物などの補綴治療で、石川院長自ら補綴物の製作・修理を手がけるなど強いこだわりを持っている。その背景には、「その人に合った補綴物を作ることで、患者さんが快適に過ごせるようサポートしたい」という思いがある。そんな石川院長に、同院の診療方針や患者の痛みや不安に対する配慮など話を聞いた。

（取材日2025年4月4日）

患者のモチベーション向上、変化が実感できる予防歯科
違和感が少なく、長持ちする補綴物作りに注力
短期集中治療で忙しい現代人も通いやすい環境を整える

患者のモチベーション向上、変化が実感できる予防歯科

初めに、クリニックの歩みと先生のご経歴についてお聞かせください。

当院はもともと私の祖父が神楽坂で開業し、そこで50年ほど診療していました。私の父が院長を引き継いだ1960年頃に現在の場所に移ってきて、その後、私が3代目の院長に就任し今に至ります。このように祖父も父も歯科医師という家で育ったので、私自身、この道しかなかったというのが正直なところです（笑）。ただ、子どもの時から物作りなど細かい作業が好きだったため、歯科治療にはやりがいを感じる部分が多かったですね。1989年に北海道医療大学を卒業した後は、そのまま父のもとについて経験を積みました。父と一緒に働いたのは10年ほどですが、患者さんとの信頼関係の築き方など歯科医師として大切なことを教えてもらいましたね。

現在の診療内容や、患者さんの層について教えてください。

虫歯や歯周病の治療をはじめとした一般歯科治療の他、入れ歯やかぶせ物に関する治療、予防歯科、審美歯科、インプラント治療などにも対応しています。親知らずの抜歯や矯正治療、難しい症例のインプラント治療については、連携している専門のクリニックをご紹介している形です。現在いらしている患者さんですが、この周辺にお住まいで、長年かかりつけとして通ってくださっている方がほとんどです。中には父が院長を務めていた時代から通われている、70代や80代の患者さんもいらっしゃいます。当院はインターネットから診療の予約が取れるようにしていて、そちらは30代や40代の患者さんのご予約が多いですね。平日は木曜日を除いて午後8時まで診療していますので、お仕事帰りでも受診しやすいと思います。

こちらでは予防歯科にも力を入れているそうですね。

患者さんには、来院の度に「来て良かった」と実感してもらうことで、定期的な受診のモチベーションにつなげたいと考えています。定期検診の際には、来てもらった時の歯の状態とクリーニング後の歯の状態を、写真などを使って患者さんにも確認してもらい、どこがどうなったのかを理解していただけるよう心がけています。当院は長く続くクリニックゆえに、高齢の患者さんが多くなっているので、年齢的なお口の変化がないかもチェックするようにしています。当院の定期検診は、クリーニングやブラッシング指導も私が担当しているのが特徴です。治療そのものだけでなく、前後のメンテナンスも同じ歯科医師が行うという点で安心していただけるのではないでしょうか。

違和感が少なく、長持ちする補綴物作りに注力

先生が専門としている治療について教えてください。

今はいないのですが、以前当院には歯科技工士が在籍していて、私もいろいろと教えてもらいながら歯科技工関係の技術を磨きました。その経験から、入れ歯やかぶせ物など補綴物の製作・修復を得意としています。できるだけ時間をかけずに、長く使える補綴物を作るというのが私のモットーです。歯の汚れは歯と歯茎の境目につきやすく、そこから虫歯になりやすいとされています。補綴物も自然の歯と同じく、境目の部分から劣化していく場合が多いので、その部分に汚れがつきにくいように作るのがポイントです。丁寧に作った補綴物は、十数年と長持ちすることもありますし、患者さんのより良い生活をサポートしてくれると思っています。もし手を抜いて作ったら、5年後や10年後に必ず結果として自身に返ってくると思っていますので、そこはこだわって作っていますね。

今は保険診療から自費診療まで、さまざまな素材の選択肢がありますね。

はい。選択肢が豊富なのに対して、どの素材を選んだらいいのか迷われる方も多いのではないでしょうか。納得して治療を始めるためにも、患者さんには保険診療と自費診療の素材の違いやそれぞれのメリット・デメリットを丁寧にご説明しています。自費診療のジルコニアやセラミックは、壊れにくく見た目も自然などメリットが多いのですが、その一方で、保険診療の樹脂素材と比べると高額になるため決して気軽に選べる物ではありません。いきなり自費で治療するのは気が引けるという方には、初めは保険診療で治療し、もしその後新たなご希望が出てきた場合には、次回、自費診療の素材に変更する方法をご提案するなど、柔軟に対応しています。

患者さんの不安を減らすために、工夫されている部分はありますか？

まず痛みに関しては、注射の時に表面麻酔と歯科用レーザーを併用し、針が入る痛みが軽減されるよう工夫しています。さらに、なるべく細い針を使ってゆっくり時間をかけて行うと、より痛みを感じにくくなるんですよ。また、昔は歯科医院に行くとホルマリンの臭いが強く感じられて、そこに不安を覚える方も多かったと思います。そのため、空気清浄機を設置したりアロマをたいたりすることで、歯科医院の独特なにおいが気にならないよう配慮しています。その他にも、無機質な雰囲気になりすぎないよう、待合室や診察室など院内のさまざまな場所に植物や熱帯魚を配置して、なるべく患者さんの「怖い」というイメージを払拭できるよう努めています。

短期集中治療で忙しい現代人も通いやすい環境を整える

治療にあたって、大切にしていることを教えてください。

歯科医師として、患者さんご自身に歯を大切に思ってもらえるよう促し、自然な歯を守っていきたいと考えています。そのためにも、コミュニケーションとわかりやすい説明を心がけ、ご自分の歯がどのような状態なのかを知っていただけるよう尽力しています。そして、当院では1回の治療時間を2～3時間に設定し、できるものは1回でまとめて治療しています。仕事が忙しく、何度も通うのが難しいという患者さんも多いからです。さきほどお話ししましたが、補綴物についても迅速に完成するよう努めていて、通常であれば半年ほどかかるものも2～3ヵ月で作ることが可能です。もしも、時間がないという理由で歯科医院の受診をためらっている方がいましたら、ぜひ当院にご相談ください。

院内の植物や熱帯魚は、先生がご趣味で育てているそうですね。

昔から生き物が好きで、熱帯魚の飼育はかれこれ30年以上続けている趣味です。水槽の中に水草や流木を入れて、自然に近い環境をつくるなど楽しんでいます。待合室には大きめのナマズがいるので、いらした方にはぜひ見ていただきたいです。それに植物ですが、今は院内でヤシやペチュニア、ベンジャミン、胡蝶蘭などを育てています。仕事中も木や花が目に入ると心が和みますし、見た患者さんに喜んでもらえるととてもうれしいですね。

今後の展望と読者の皆さんにメッセージをお願いします。

ここ数年でホワイトニングを希望される方が増えてきました。そこで今後は、自費でのホワイトニングのメニューを充実させていきたいと考えています。また、患者さんの意識向上を願って歯のメンテナンスにもさらに力を入れていく予定です。記事を読まれている皆さんには、歯が痛くなってから相談するのではなく、定期的にメンテナンスに通って虫歯や歯周病を予防する大切さを知っていただきたいですね。痛みや違和感がなくとも、最低でも1年に1回は定期検診を受けていただきたいと思います。特に、高齢で手を動かしにくくなってきたという方は、歯磨きが十分に行えていない可能性があるので、歯科医院での定期的なクリーニングをお勧めします。