千葉 悦子 院長の独自取材記事
江戸川橋さくらクリニック
(文京区/江戸川橋駅)
最終更新日:2025/05/14

東京メトロ有楽町線・江戸川橋から徒歩2分、買い物客でにぎわう地蔵通り商店街の一角に「江戸川橋さくらクリニック」はある。明るく清潔感のある院内には気持ちが和むような絵が随所に飾られ、また、待合室には色とりどりの生花が飾ってある。待ち時間をリラックスして過ごしてほしいという、千葉悦子院長の気遣いが込められている。千葉院長は、専門である消化器内科の他、生活習慣病や感染症の診療まで手がける経験豊富な医師。「人を助けるために、治療する側になりたくて医師をめざしました」と、優しい笑顔で語る千葉院長が紡ぐ一つ一つのエピソードからは、患者と真摯に向き合う姿勢が感じられた。
(取材日2025年4月4日)
「どこに行ったら良いかわからない」人を救いたい
こちらは内科のクリニックとして幅広い診療を行っていると伺いました。

はい、当院は「どこに行ったら良いかわからない」という患者さんのためにある場所なので、「体の困り事はどんなことでも診る」というスタンスで日々診療を行っています。そのため、患者さんの主訴はさまざまですね。発熱や風邪の症状も、診療室を別々にするなど感染症対策を行った上で診療しています。消化器関連のお困り事や、高血圧や脂質異常症など生活習慣病の治療を目的に通院している患者さんも多いですね。また、こちらに通院を続けていた患者さんで通院が困難になった方のために、在宅医療も行っています。クリニックでの診療の合間に患者さんのお宅に訪問するのですが、当院を必要としてくれる患者さんのために、力になりたいという気持ちになります。
長年にわたり診療を続ける中で、印象に残っている出来事はありますか?
開業後の大きな出来事といえば、新型コロナウイルス感染症の感染拡大がありましたね。消化器内科では、内視鏡の検査を中止せざるを得ませんでした。それに外出の制限が呼びかけられていましたから、定期的に通院していた患者さんが通院を自粛するなど、通常の診療にも影響が出ました。日本中が「未知のウイルスだから危険だ」というムードで、発熱した患者さんが医療にアクセスしづらい中、当院では感染症の疑いがある患者さんもこれまで通り診療していました。スタッフが私の方針に共感して協力してくれたからこそ、大変な時期を乗り越えることができたと思っています。
ご専門とされている消化器内科の診療について教えてください。

患者さんから「おなかが痛い」という訴えがあった場合には、さまざまな臓器の病気が考えられます。当院では胃の内視鏡と、腹部の超音波検査を重視しています。具体的には、胆のうや胆管に石ができる胆石の疑いがあるケースでは超音波検査を行うなど、痛みが出た場所によって臨機応変に検査機器を使い分けて、病気の見落としがないように細心の注意を払っています。また、消化管からの出血や虫垂炎が疑われる症状があった場合は、速やかに適切な治療ができる地域の医療機関に患者さんをつなぐ手配を行います。多様な症状に対して精密な診断を心がけ、地域のクリニックとして求められる役割を果たしていきたいという思いがありますね。
幅広い専門分野を兼ね備える
胃の内視鏡検査はどのような症状のときに行うのですか?

急に胃に強い痛みが出た場合は、アニサキスという寄生虫を摘出しなければならないケースも考えられますから、当日に内視鏡検査を行うことがあります。その他にも、ピロリ菌を除菌した後や胃の疾患で治療した後に定期的に内視鏡の検査を行う患者さんもいらっしゃいますね。当院では口からカメラを入れる経口内視鏡検査と鼻からカメラを入れる経鼻内視鏡検査のどちらにも対応しています。リラックスした状態で処置を受けるための静脈麻酔もご希望があれば使用できますが、「検査が終わったら、すぐに仕事に行きたい」といった場合には向きません。検査後にしばらく休む時間を取らなくてはならないことに留意が必要です。
胃の内視鏡検査を受けたことがない場合は「ハードルが高い」と感じる方も多いのではないでしょうか?
初めての検査に対して抱く恐怖心を取り除くための第一歩として、患者さんご自身が納得してから検査を受けることが必要だと考えています。そのため、検査の過程について、事前に時間をかけて丁寧にご説明するようにしていますね。検査の際は苦痛を最小限に抑えることをめざしていますし、患者さんにも「カメラが通る場所の麻酔を入念に行って、苦しくないようにしますよ」と、伝えて、不安を和らげるようにしています。当院の看護師や受付のスタッフも患者さんに安心して検査を受けてほしいという気持ちは同じです。説明の後に疑問点がないか確認するなどフォローしますので「こんなことを聞いて良いのかな?」などと気兼ねせず、お気軽にお知らせください。
生活習慣病の治療を重視している理由は何でしょうか?

やはり「健康寿命を延ばす」という目的があるからです。加えて、ただ寿命を延ばすことを目標にするのでは不十分で、元気に自分の体が動く状態で楽しく長生きすることが理想ですね。健康診断を受けた際に血圧やコレステロールの数値に異常が指摘された場合は、放置すると重篤な病気を引き起こすリスクもありますので、早めに医療機関を受診することをお勧めします。生活習慣病の治療は経過を観察する期間が長く、薬の他にも食事などのライフスタイルまで関係することから、患者さんと医師の間で信頼関係を築くことが欠かせません。当院では、栄養士や看護師と協力し合いながらチーム全体で患者さんを支える姿勢を大切にして、患者さんが治療を続けるモチベーションを保てるような配慮を重ねています。
「誠実」をモットーに、チーム全体で患者に寄り添う
診療における理念を教えてください。

体の一部分を診るのではなく、体全体を診ること。毎月1回通院する患者さんがいたとしたら、次の1ヵ月後までの責任を持つこと。専門用語を使わずに、理解しやすい言葉に置き換えて説明すること。他にもさまざまなことがありますが、これらを一言で表すと「患者さんと誠実に向き合う」ということになるでしょうか。コミュニケーション面では患者さんの思いをくみ上げることを大切にしています。大きな病気で大変な治療をしてきた方は、どこか遠くを見るような目をしているかもしれません。いつも来ている患者さんが、その日に限って悲しみをまとったような雰囲気のときもあるでしょう。そんな、患者さんの言葉には出ないような小さな変化を感じ取れる心を持つようにしたいですね。
スタッフさんの雰囲気もすてきですね。
ありがとうございます。このクリニックはお節介な人が多くて(笑)。困っている患者さんを放っておけない、と自ら動くスタッフたちにとても支えられていますね。例えば、患者さんを強く説得をする必要があるときにはご家族をお呼びして一緒にお話をする、地域支援が必要な方がいる場合は保健所への連絡をする、緊急だと判断したときには患者さんのご自宅までお薬を届けに行くなどの案を出してくれるのです。これらもすべて、スタッフ自身の気持ちと判断によるものです。自らの意思で患者さんの最善のための心配りを、私もスタッフもこれからも大切にしていきたいですね。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

地域に根差したクリニックとして、「この症状は何科を受診したら良いのだろう」とお困りの方のサポートをしていきたいと考えております。私の専門である消化器内科や生活習慣病に関しては当院でしっかりと診療を行いますし、精密な検査や治療が必要であると判断した場合は、適切な医療機関にご紹介いたします。この地域のクリニック同士は基本みんな知り合いで、休診日は「この日はお休みなので、○○クリニックへよろしくお願いします」と貼り紙をするように、診療科目問わず、クリニック間で協力しながら地域の方の健康をお守りしています。数ある医療機関の中から当院を選んでくださった患者さんに、「ここに来て良かった」と思っていただけるよう、クリニック一丸となって努力しています。私もスタッフも誠意を持って対応いたしますので、体に関する心配事は何でも遠慮なくご相談ください。