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五十嵐良雄 院長の独自取材記事

メディカルケア虎ノ門

(港区/虎ノ門駅)

最終更新日:2019/08/28

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うつ症状などで休職した人の経済的損失は2.7兆円との試算もあり、「休職中のご本人もご家族もつらく、社会的にもたいへんな損失です」と語る五十嵐良雄院長。そうした休職者のリワークを支援するパイオニアとして、周囲の官公庁や企業から頼りにされるクリニックが「メディカルケア虎ノ門」だ。同院は地下鉄虎ノ門駅2番出口から徒歩1分の場所にあり、2005年には復職支援専門のリハビリテーション施設を開設。現在はさまざまなプログラムにより、うつ症状や不安障害などで休職した人の復職を支援している。「うつになる前はエネルギッシュで、仕事もバリバリできる人だったというケースも多いんです」と、五十嵐院長は穏やかに、ときに熱っぽく、職場環境の変化や新しい病気の特色を説明してくれた。さらに「職場に戻るだけでなく、休職せずに働き続けることが目標」という、同院のリワークプログラムについても詳しく聞いた。

(取材日2013年3月18日)

うつ病でひとくくりにできない、新しい病気への対応が必要

休職した方の復職支援に力を入れていると聞きました。

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当院は官公庁や企業が集まる場所にあり、働き盛りの年代を中心にした「うつ病」や「不安障害」などの治療が専門です。そうした症状で休職した方が治療を受けて復職されても、残念ながらかなりの割合で再度休職されるケースが目につきました。外来で治療をする方なので、病院に入院する患者さんに比べると、まだ症状は軽いといえます。しかし症状の重い・軽いは治りやすさとは無関係です。それどころか「休職を繰り返して、あと半年で失職する」など、社会的には非常に深刻な状態。復職が難しいのは、「これまでのような通院外来では、うまく対処できないのでは?」と思えてきたのです。

その対応が「リワークプログラム」なのですか?

ええ。開業して2年目にはデイケア施設を作り、日中も患者さんを診ていく体制にしました。これが当院の「終日型リワークプログラム」の始まりです。厚生労働省が全国の医療施設を対象に行っている『患者調査』でも、「気分障害」(うつ病、そううつ病、気分変調症等)の総患者数は、1999年から2008年の10年足らずで2倍以上に増えました。ちょうど私が診療を始めた時期と重なります。バブル崩壊後に企業は余裕がなくなり、職場環境が激変し、それが定着していった頃です。今ならその要因の一つは、「非定型うつ病」をはじめとする新たな症状の増加だと推定できるでしょう。当時の私たちにはわかりませんでしたが、「今までとは何か違う。同じ診療では駄目だ」と考え、リワークプログラムを用意したのです。当院に併設された施設に通うことは、「毎朝決まった時間に起きて、家を出る」という規則正しい生活を取り戻し、ご本人の生活改善にも役立ちます。そしてスタッフが一人ひとりと長時間接することによって、症状について少しずつ理解できるようになりました。

どんなことがわかってきたのでしょうか?

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まず、うつ病と診断されていた患者さんの中に、そううつ病の方がかなり含まれていました。この方たちのうつ症状は非常に深刻ですが、そう症状は比較的軽く、「エネルギッシュな人」「少しテンションが高い人」と見られて、そう症状に気づかれにくいのです。しかも軽いそう症状でバリバリ働けるうちは、能力が高くて仕事ができる人ですから、職場にとっては重要な存在です。それが何かをきっかけにうつ症状に入り、それから軽いそう症状と重いうつ症状を繰り返すようになる。そのような患者さんが、当院を受診されていたのです。現在、この病気はそううつ病の総称である「双極性障害」に分類されて、特に「双極性II型障害」と呼ばれています。このほか、ご本人も気づいていない発達障害のために、周囲とのコミュニケーションがうまくいかず、お悩みになっている方もいらっしゃいました。うつ病とひとくくりにしていた中に、実はさまざまな病気が混在していたとわかって、症状に応じた助言を行い、それに合ったお薬を使うといったように、治療のやり方も大きく変わってきたんです。

休職の原因を見つめ直し、再休職防止の対応力を養う

復職支援とは具体的にどんなものでしょうか?

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リワークプログラムは現在休職中で復職をめざす方に、当院での診察と復職に向けた総合リハビリテーション施設でのデイケアとデイナイトケアを組み合わせて、「リワーク・カレッジ(R)」「リワーク・スクール」を提供しています。またご家族に対する支援、教育の場である「サポート・カレッジ」も設けています。これらの目的は復職にとどまらず、復職後も再休職せず働き続けることです。ですから「なぜ病気になったのか」を理解することも大事で、「自分が休職した理由」を文章にまとめるプログラムなども設けています。うつ症状の方には非常にたいへんですが、当院の施設でゆっくりと時間をかけ、同じような症状の患者さんと一緒に行うことで、皆さんもやる気が出てくるようです。ご自分のこれまでを振り返り、軽いそう症状の時期、発達時の課題やいじめにあった経験などが書かれていれば、私たち医師は次回の診療のとき、そこをさらに掘り下げて検討することもできます。

再休職を防ぐ対策はあるのでしょうか?

休職した原因を理解するだけでなく、それに対処する力を身につけるトレーニングが、再休職防止には必要だと考えています。発達障害でコミュニケーションにやや問題がある方なら、ご自分もコミュニケーションが苦手なことを認識し、改善する訓練をしていただくのです。例えばプログラムのグループワークで、「こんなふうに言えば伝わりやすい」と助言し合うこともあります。こうした機会はほかにも数多く、プログラムの中で繰り返し学習することができます。また復職先にもコミュニケーションが不得意なことを伝え、それに応じた情報伝達の方法を考えていただくように勧めています。言葉より紙に書いてもらう方が理解しやすいなら、なるべくそれで連絡をもらうなど、働きやすい仕事環境を整えることも大事なのです。当院のようなリワークプログラムを利用して復職した方は、利用しないで復職した方よりも、就労継続割合が高いという比較データも出ています。

プログラムはどのように活用すればよいですか?

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休職が2回以上なら、当院のリワークプログラムなどを活用して、これまでの治療を再検討していただくタイミングかもしれません。2回目の休職後に復職しても、また休職する割合は90%近いというデータが出ています。ですから早いうちに繰り返しの休職を防ぐことは、とても重要なのです。復職後に休職したのは治療方針が合っていなかった、ご本人の焦りから復職が早すぎたなど、何らかの原因が考えられます。そんなときは当院のリワークプログラムなどで、復職前にご自分を見直す機会を作ってほしいと思います。また休職は初めてという方でも、数ヵ月から1年近くと長期間に及ぶなら、リワークプログラムが職場復帰の足がかりになるでしょう。お勤め先にも「このプログラムでこれだけできた」と安心材料を提供できると思います。

うつ症状での休職は、家庭にも社会にも大きな損失

クリニックの特色について教えてください。

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当院は早くからリワークプログラムに取り組み、またメンタルにも効果的な漢方外来を設けるなどの特色があります。また産業医として経験豊富な精神科医がそろっているため、企業の人事の方も安心して受診を勧めていただけると思います。患者さんは勤め先の産業医からの紹介が半数、残りもご本人やご家族が探してお見えになっています。注意していただくのは、このプログラムは保険診療での治療という点です。このため当院を主治医とする転院が条件になります。また厚生労働省を中心とする職場復帰支援との混同もありますが、それらはご本人の職業特性と職場とのマッチングなどが得意です。当院のプログラムとは目的がやや異なりますから、それぞれ得意分野をご理解いただいて、相互補完させて利用してほしいですね。

うつ症状に気づくポイントはあるでしょうか?

やはりご本人の体の不調などの自覚症状だと思います。例えば電車に乗るとパニック発作を起こす、朝起きるとおなかが痛い、下痢をするなど、自律神経が体に影響して起きる症状を見逃さないことです。この場合、ほとんどの方は内科を受診されますが、検査をしても当然異常は見つかりません。たいてい「しばらく様子を見ましょう」と言われ、ご本人の気分が憂うつになった頃、ご家族も含めてようやくメンタルの病気だと気づいて、当院のようなクリニックを受診されるのです。まず体が発するサインを見逃さず、早めにメンタルクリニックでご相談いただくことだと思います。うつ症状などで休職中の方は10万人から20万人といわれます。当院で診てきたのは、そのうちの数千人に過ぎません。ご家庭の働き手としても大事な存在ですが、自殺やうつ症状による社会的損失は、国立社会保障・人口問題研究所の試算では単年で2.7兆円との試算もあり、その大半は職場の能率低下や所得減少などによるものです。しかも費用と時間をかけて育てた人材が離職すれば、さらに深刻な状況でしょう。そうした現状を何とか改善して、職場に復帰していただきたいとの思いで、このクリニックでの診療を行っています。

先生ご自身はストレスをどう解消されるのですか?

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毎朝7時くらいから、近くのプールで泳いでいます。体を動かして健康作りに役立てる気持ちもありますが、何より地上と切り離された水の中で、100%自分の時間を持てることが魅力なんです。そういう時間を毎日つくることが、私のストレス解消になっているのだと思います。休日は会議や講演、その準備などに追われますから、逆に朝の方がプライベートな時間を作りやすいんですね(笑)。

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