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文元秀雄 院長の独自取材記事

神谷町ヒルサイドクリニック

(港区/神谷町駅)

最終更新日:2019/08/28

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東京メトロ日比谷線の神谷町駅から地上に出てすぐ。趣きのある印象を受けるビルの2階に「神谷町ヒルサイドクリニック」はある。クリニックの扉を開けるとまるでホテルのロビーのように洗練されたインテリアの待合室。「古い建物なのでクリニックの中は違う世界の印象を持ってほしかったんです」と話すのは文元秀雄院長。来院する患者の話を紐解くのは、長く大学病院に勤務し、数多くの症例を診てきた文元院長の経験と腕。患者の話、表情から即座に置かれた状況や病状を引き起こした背景を分析、症状を診たて、患者の希望に寄り添って治療を進めていく。その文元院長の下に足を運ぶのは主に、職場での人間関係や仕事の重圧に疲れ体調を崩した会社員たち。少しでも患者が楽になれるように信念を持って治療に当たりたいと話す文元院長に、最近の心療内科の傾向を聞いた。
(取材日2014年2月15日)

地域のメンタルヘルスに貢献できるクリニックをめざして

この場所で開業されたのはなぜですか?

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開業するまでは大学に勤務していました。いざ開業となると、クリニックの規模や来院する患者さんの層、診療の質等々、考えなければいけないことがたくさんありました。大学病院のようにあらゆる病気を広く受け入れようとすると、それなりのマンパワーが必要になります。それに伴って人件費や設備も考えなくてはいけません。自分一人で患者さんを診察することを想定し、従業員数やクリニックのスペースを考えたとき、まずは小規模で地域の職場のメンタルヘルスを中心にやっていこうと思いました。オフィス街で交通の便がいい場所をとあちこちを探していたところ、ここが候補にあがりました。当時はまだ、近辺に心療内科を専門とする医療機関が見受けられなかったので、ここに私がクリニックを開くことで、地域のメンタルヘルスに貢献できるかなと考えたんです。また、開業するずっと前、高校時代でしたか、この場所を何度か訪れたことがあるのです。ホテルオークラからゆっくりなだらかな坂を下って来る途中に、なんだか古めかしいビルがあって、妙に印象に残っていたんです。クリニック名の「ヒルサイド」はここに由来します。実際にこの場所を紹介していただいたときは、不思議な縁を感じました。

昨今、心療内科にかかる方が増えていると、メディアで取り上げられていますね。

心療内科にかかる方は、少なからず時期や季節が関係するように思います。昨年は10月から年末にかけて患者さんの動きがありました。会社にお勤めの方が多い当クリニックでは、異動や転職が多い時期に患者さんの増減があります。景気の動きも関係していますね。また五月病ってよく言われますよね。たいていの方は、連休に休めれば大丈夫だと思ってそこまでは何とかがんばれるのですが、無理な適応に対する疲れもあって、連休をうまく過ごせず具合が悪くなり、5月から6月にかけて患者さんが増えて来る傾向があるんです。患者さんの多くは1回心療内科にかかると治療に長くかかってしまうと心配されます。いわゆる内因性の疾患である統合失調症や重度の躁うつ病、てんかんなどの場合は長年の療養が必要です。しかし、いわゆる職場のメンタルヘルスで多い適応障害や軽症のうつ病などは、職場環境が是正されたり、仕事の負荷が軽減されたり、あるいは薬の効果があったりすることで、比較的短期間の治療で終わる方も多いのですよ。

患者さんにどのような傾向があるのでしょうか。

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2003年に開業して10年が経ちましたが、当初は比較的女性の患者さんが多かったですね。女性の方も会社で重要なポジションに就く傾向があるので、同僚や部下との人間関係に疲れてという理由でいらっしゃるようです。男性より女性の方が、まずは相談してみようという傾向が強いのかもしれません。心療内科の敷居も男性ほど高く感じていらっしゃらないようです。しかしここ最近は、男性の患者さんも徐々に増えてきています。年代でいうと、部下ができて責任が重くなる30〜40代の方でしょうか。疾患の出現率が高くなったかについては、さまざまな考え方があるので一概には言えませんが、この領域の敷居は格段に下がっていると感じています。マスコミやメディアの発達で情報が伝わるようになって、これくらいのことでも相談していいんだという意識も広がっていますしね。「私は○○病じゃないですか?」「○○障害じゃないですか」と、最初に病名を出される方も多いですよ。

患者が求めている治療は何かを把握した上で治療を進める

どんな主訴を持った患者さんが多いのでしょう。

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かなり特殊な気もしますが、開院当時は、摂食障害、なかでも過食症の患者さんが多かったのですが、最近はめっきり少なくなりましたね。理由を考えてみると、患者さんごとに病状の受け入れ方が変わってきていて、摂食障害自体をあまり重い疾患だと捉えない方が増えたのではないでしょうか。最近は、社交不安障害やパニック障害の患者さんが一定数いらっしゃいます。メディアで取り上げられることもあって、新型うつ病や発達障害じゃないかと言っていらっしゃる方も増えています。発達障害の大部分は、最近自閉症スペクトラム障害といわれ、従来からの自閉症やテレビドラマにも最近取り上げられる高機能広汎性発達障害、アスペルガ―障害などがあります。さらにお子さんに多いADHDが成人にもみられ、特に注意障害が多いことも分かってきました。職場で「パフォーマンスが悪い」「コミュニケーションがうまくいかない」という挫折感を抱えていらっしゃる場合もありますし、「他の人とちょっと違うんじゃない?」と周囲に指摘されていらっしゃる場合もあります。その場の空気が読めなかったり合わせられなかったり、他の人が笑っていても笑えなかったりするんですね。昔は病気や障害とは捉えられていませんでしたから、単に変わった人だと言われるくらいでしたね。能力は高いけれど、コミュニケーションがうまくいかなくて、自分の殻に閉じこもる方も多いようです。実は社会的に名を成し遂げている方の中にもこういう方は結構いらっしゃいますよ。

その場合はどのような治療をされるのでしょうか。

診断が難しいため、しばらく経過を観察する場合もあります。本来は、画像診断や血液学的診断のような精密検査をしたり、心理学の専門家の意見を聞いたりして、総合的に診断するべきだと思いますが、そこまでしなくてもと言われる患者さんが多いのも事実ですね。病気の疑いがある場合は正直にお伝えします。その上で例えば、障害が原因で挫折したり落ち込んだりしている、うつ症状や不安障害がみられる場合は、二次的に発生している症状に対して薬をお出しして、できるだけ、その人らしい在り方が維持できるように支援するのが務めだと思っています。最近は成人の注意障害に対して適応があるとされる薬も出てきていますね。副作用も少ないので、その薬を使い始めていますが一定の効果があるようです。

とはいえやはり心療内科に抵抗のある方もまだいらっしゃるのではないでしょうか。

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病気に対する知識はあるけれど、その先にどんな治療があるかがわからないからでしょうか。問診表には、どんなことに困っているのかをご自身の言葉で書いていただき、その方のバックグラウンドや訴えを把握します。ストレスがあるのであれば、その内容やその方にとってどのようなストレスなのかを評価します。特殊な障害と呼ばれるものか、神経症、うつ病系、統合失調系の範疇にあたるのか、身体の病気や薬物による影響なのか、などを診断します。精神医学の領域は生物学的検査をしたら必ず分かるというものではありませんから、自分の経験に基づき習得した、「職人の技」で判断したとしか言いようがないことも多いのですが…。じっくりお話ししながら、患者さんの表情や話の内容を慎重に探っていきます。患者さんは必ずしも初診のときに、すべてを正直に正確に伝えてくださっているとは限りませんからね。ひょっとしたら本当のことを言えていない、あるいは事実と違うことを伝えているかもしれないということも含みながら評価しています。その上でまず診たてられたことをお伝えして、患者さんがどのような支援を求めているのか、例えば薬の処方なのか、環境の調整なのか、あるいは心理療法やカウンセリングを求めているのか、それすら分かっていないのかなど、一つずつ把握していくわけですね。結局その場で決められないのであれば、「周りの方とよく相談して次回またお会いしたときにどうしていきたいかを教えてくださいね」と伝えて一旦お帰りいただく場合もあります。薬の処方を希望されるのであれば、効果と副作用をお伝えして、同意を得られれば処方します。決して一方的に薬を飲みなさいということはありませんよ。

困ったことがあったらまずは相談してほしい

精神科、心療内科の医師を目指されたのはなぜですか。

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最初は、作家になりたいと思っていました。小学生の頃、誕生日に全集ものの本を買ってもらうのがうれしくてね。特に「ドリトル先生」シリーズは面白くて、買ってもらうと1日で読み終えた記憶があります。でもそのうちに物書きになっても芥川賞をとるのでなければ食べていけないなって気付いたんです。地道に手に職を付けてからと、当時もう一つの希望で周囲にも勧められていた医学の道に進むことを考えました。そのときに、できれば医師で作家のなだいなださんや北杜夫さんみたいに、文学的な思考と医学を融合できるというライフスタイルの精神科医に憧れたんです。現在そうなれたかどうかはいささか疑問ですが、でもこの仕事を選んでよかったと思っています。患者さんがよい方向に向かうという信念を持って診療することで、患者さんから信頼していただける医師でありたいと思います。

どんな症状があったときに、心療内科にかかればいいのでしょうか。

困ったことがあったらまずは相談に来ていただきたいということでしょうか。ただほとんどの方は、「どのくらい」「どんな風に困ったとき」に心療内科にかかっていいのか迷われるようですね。当クリニックのホームページにも書きましたが、ご家族の事情や職場、学校での交友関係、お仕事の内容や進路など、「このくらいのことで」などと思わないでください。理由が漠然としていても、1週間も2週間も悩み続けて、考え込んでどんどん先が見えなくなってしまい困り続けているのであれば、受診を考えていただいた方がいいと思います。また身体の不調があるなら、まず内科や整形外科、脳外科など他の診療科に相談に行ってもいいかもしれません。でもそこに行ったときに何か問題があると言われず、自分の困っていることが解決されないのであれば、心療内科の受診も選択肢にいれていただきたいです。困っていたら、まず受診を考えてみる、考えてみて迷ったら、家族や友人など身近に相談できる人やいきつけの医療機関に行って、どうしてもだめで最後に心療内科にたどり着く、でもかまいません。失恋や親との関係悪化、他にもどんなささいなことでもご相談ください。

ドクターズファイル読者へのメッセージをお願いします。

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心療内科の領域というと、なかなか自分には関係ないと思われている方が多いと思います。例えばワーキングマザーと呼ばれる働く女性の方は、子育てと仕事の両立や仕事に対する向上心、そしてご主人や家族との関係などにおいてストレスを感じられることが多いと思います。ストレスは人を鍛える部分がある半面、「これくらいは耐えなくちゃ」と人に思わせるところがあります。ストレスが過度なのかは、休日などのくつろいでいい時間にくつろげているか? と、ちょっとひいたところから考えられるといいのではないかと思います。もし自分でわからなかったら、ご主人やご家族、ご友人などの第三者に、「私って疲れてみえない?」「他の人と比べてどう見える?」などと、尋ねてみてください。お仕事をされていない方は、家事や子育てはもちろん、ご主人やお姑さん、主婦仲間などとの人間関係におけるストレスがかなり色濃いようです。そういうときは本当に休めていないことが多いんです。自分が休めているかどうかがわからない場合は、自分らしい考え方が保てているか、好きなことができているかを振り返ってみてください。買い物に行っていない、今まで好きだったことに興味が持てない、子どもがかわいいと思えない、ご主人が邪魔に感じるなど、軽重はあると思いますが、それまでの自分と違う考え方や行動パターンを少しでも感じたら、それは、黄色信号、赤信号かもしれません。どんなささいなお話も伺いますので、まずは気軽にお電話をいただければと思います。

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