石上 貴之 院長の独自取材記事
歯科石上医院
(港区/表参道駅)
最終更新日:2022/10/18

表参道駅から5分ほど歩き、青山骨董通り近くにあるのが「歯科石上医院」だ。祖父、父の後を引き継いで院長を務めるのは、石上貴之先生。米国南カリフォルニア大学で補綴を極め、2021年11月に帰国。2022年6月に3代目院長に就任した。石上院長のほか、歯内療法、インプラント、口腔外科、矯正を得意とする歯科医師が集まり、チーム医療を提供するのが同院の大きな特徴だ。丁寧に言葉を選びながら自身の考えをしっかり伝えてくれる石上院長に、留学で得たことや同院の特徴、患者への思いなどじっくり話を聞いた。
(取材日2022年9月2日)
アメリカ留学で専門的な知識と技術を習得
こちらの歯科医院は、2022年6月にお父さまから継承されたそうですね。その経緯をお聞かせください。

2009年に東京歯科大学を卒業し、翌年に同大学歯学部附属病院で歯科医師臨床研修を修了しました。その後、1年間韓国のキョンヒ大学歯学部附属病院補綴科へ留学し、帰国後から5年間は東京医科歯科大学大学院の医歯学総合研究科スポーツ医歯学で研鑽を積みました。2018年から3年間は私の専門である補綴をさらに極めたいという思いから、米国南カリフォルニア大学へ留学し、補綴に関する技術を磨きました。そして、帰国後の2022年6月から父の後を引き継ぎ開業しました。たくさんの患者さんを診たいという思いがあったので、早くから父の後を継ぐつもりで考えていましたね。
なぜアメリカで補綴を学ぼうと思われたのでしょうか?
韓国に留学していた時に、この先勉強するなら歯科分野でリードしているアメリカへ行ったほうがいいという話を聞いたのが始まりです。また、アメリカでは論文をたくさん読んだ上で、エビデンスに基づいた診断を行うことが重視されるんです。適切な診断ができれば、必然と治療方針も決まっていきます。当時の私はどんな理由があってこの治療をするのかという部分が曖昧なことがありました。そのため、アメリカへ行ったら日々の臨床の中で感じていた疑問を解消できるかもしれないという思いで、留学を決めました。時代的に中堅や若手の歯科医師が留学する人が増えていたことも決断を後押ししましたね。
学ぶにあたって日本とアメリカの違いを感じられたのはどのような部分でしょうか?
やはり大きく違うのは、アメリカでは論文を読む機会が圧倒的に多いということです。患者さんに説明する際、エビデンスがあるのとないのとでは大きく変わってきます。多くの論文を読み込んだ結果、私自身の中に疑問がないので、わかることはしっかり伝えることができますし、逆にわからないことはわからないと言えるようになりました。
アメリカでの思い出深いエピソードを教えてください。

留学して半年は英語を理解するのに苦労しました。留学するにあたってTOEFLを受けて点数はクリアしているのですが、やはり実際に話すのは違いますよね。いろいろな人がいるので、なまりもありますし、初めは聞き取れないこともありました。しばらくはレコーダーで録音して後で聞き直したり、友達に聞いたりしていました。言葉の面でも苦労しましたが、何より私が在籍していた講座のトップの先生がとても厳しかったんです(笑)。例えばプレゼンテーションをするとかなり詰められましたし、発言できないと指摘されました。多くの講義、レクチャーなどがありとても大変でしたが、その先生のおかげで、専門的な知識と技術を得ることができましたし、かなり鍛えられましたね。
各専門分野の歯科医師が集まりチーム医療を提供
こちらの歯科医院の特徴について教えてください。

私の専門である補綴のほか、インプラント、口腔外科、歯内療法、矯正の先生が在籍しており、それぞれの歯科医師の知識や経験、技術を統合したチーム医療を行っています。治療のゴールを決めて、そのためには何が必要かを考えて私が治療計画を立て、施術ごとに先生方に担当していただき、治療を進めていきます。治療を始める際にはトリートメントレターといって、診断結果や治療期間、治療計画、金額、起こり得るリスクなどを書面で説明して、治療を始めるようにしています。また英語を話せる歯科医師で構成されていますので、外国の方も安心してお越しいただけると思います。
ホスピタリティーも大事にされているそうですね。
私がアメリカでよく言われていたのは、「口の中を見る前にまず心を見なさい」ということです。困っている人は、精神的につらい思いをしているので、歯を見る前にまずは患者さんが困っていることは何なのかを見なさいと言われていました。ですので、まずは困っていることを聞き出すことに時間をかけます。初回は話だけで終わってもいいと思っています。この歯科医院へ通いたいと思ってもらうためにコミュニケーションをしっかり取って、信頼関係を築いていきたいですね。
そもそもの話になるのですが、補綴とは具体的にどのような治療をするのでしょうか。

補綴とは、失った歯や欠けた歯を人工物で補う治療方法です。つまり、詰め物、かぶせ物、インプラント、入れ歯など、どの歯科医院でも行われる治療です。例えば前歯がなくて治すことになった場合、前歯の位置をどこに置けば機能的にも審美的にもその方の顔貌に合うのかというのを考えるわけです。口の中だけでなく表情や見た目も考慮し、患部にとってどの材料や補綴方法が最適なのかを診断し提案することができるのが私の専門です。海外では、治療が複数歯に及ぶと専門医の治療を受けることが多いです。歯を一本かぶせる時でさえ、たくさんのことを考えます。統計的に歯は削れば削るほど、将来的に何か起こるリスクが高くなりますので、削るときもあらゆる角度から考えて長持ちするように削っています。
地元の人にとってのかかりつけ医になりたい
治療の際にはどのようなことを心がけていらっしゃいますか?

お口の中の写真をこまめに撮って記録して、患者さんにもお見せしています。それから、先ほどのホスピタリティーの話にもつながりますが、コミュニケーションをしっかり取るようにしていますね。患者さんも、治療するにあたってチームの一員になってほしいんです。どんなに良い治療をしても患者さんの協力がなければうまくいきません。治療は長期にわたることが多いので、患者さんもチームの一員になってもらって、一緒にゴールへ向かいましょうということを伝えています。
歯科医師をめざそうと思われたのはお父さまやおじいさまの影響でしょうか?
そうですね。小さい頃から見ていて自然と興味を持ちました。子どもの頃から比較的手先が器用なほうでしたし、性に合っているなとも思います。歯科は自分の手を動かして治療するじゃないですか。機能的にも審美的にも治療できるのは歯科医師ならではだと思うんですよね。大変ですが、うまく治療を進められたときの達成感も大きく、患者さんが笑ったときの笑顔を見るととてもうれしくなります。父や祖父から影響を受けてなった歯科医師ですが、とてもやりがいを感じています。
今後の展望について教えてください。

アメリカで学んだことを東京で体現したいと考えている同志が集まったので、まずはチーム医療で患者さんからの信頼を得たいと思っています。なるべく多くの患者さんにいらしていただきたいですね。そして当院がチーム医療の良いモデルとなって、今後同じような歯科医院が増えるといいなとも思います。当院は自由診療ですが、個人的には地元の方にとってのかかりつけ医になりたいと思っていますし、地域の歯科医療に貢献したいなと思っています。アメリカでとても良いものを学んできたので、患者さんや若手の歯科医師に還元していきたいですね。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療/45万円~
ワイヤー矯正/72万円~
部分矯正/12万~36万円
初期根管治療/9万9000~13万2000円
再根管治療/11万~15万4000円