大西 祥文 院長の独自取材記事
Smile Design 東京浜松町大西歯科クリニック
(港区/浜松町駅)
最終更新日:2025/09/12

「痛いところや気になるところだけを治療するのは、本当の治療ではない」。そう語るのは「Smile Design 東京浜松町大西歯科クリニック」の大西祥文院長だ。同院では、症状のある歯だけでなく、悪化の原因や患者の本質的な悩みにまで踏み込んだ治療を行っている。鳥の目で俯瞰し原因究明し、虫の目で細部にこだわり、魚の目で先進治療にあたる姿勢から、1日に診る患者は2〜5人程度。すべての工程を大西院長が責任を持って対応している。咬み合わせや原因菌にアプローチする歯周病治療や、痛みや恐怖感を抑えた長持ちするインプラント治療、自然美を追求する審美歯科などのクオリティーを求めて、全国から多くの患者が訪れる。大西院長が考える「本当の治療」とは、一体何なのか。
(取材日2025年8月6日)
原因の除去を重視し、咬み合わせの治療に注力
治療方針を教えてください。

何よりも根本治療を大切にしています。日本の歯科治療の多くは、症状だけを見て痛みや腫れへの対処療法が中心です。もちろん患者さんの訴える症状をなるべく早く解決することが一番ですが、根本の原因に目を向けないと、必ずまた同じことが起こります。多くの方が時間と費用をかけて通院しても、数年後に再治療が必要になる現状は、日本の歯科医療の質を下げていると感じています。私はこの状況を変えたいという思いから、特に咬み合わせに注目し、研鑽を重ねてきました。根本的な原因に向き合い、再発を防ぐ治療こそが、患者さんの歯を守る最善の方法だと考えています。
咬み合わせは全身の疾患と関連が深いのですね。
咬み合わせとは歯の接触状態で、脳神経の中で最も太い三叉神経に密接に関わっています。上下の歯が適切な顎関節の位置で咬み合わないと三叉神経が影響を受け、首凝り・肩凝り・めまい・頭痛などにつながることもあります。重要なのは顎関節の位置と歯並びの咬合平面です。顎関節は耳穴の前にあり、頭蓋骨と首の骨との間でバランスを取っています。この位置を正しく整え、咬合平面を重力に直角にバランスを取ることはとても大切で、私は歯科医師として研鑽を重ね治療に取り入れてきました。顎の位置が整うと姿勢が改善されて、脊柱が整えば、脊柱を通っている神経で機能している内臓、全身の状態が整うことも望めます。さらに脳の扁桃体や前頭前野の血流量が増え、ホルモンバランスや認知機能の向上にもつながります。つまり、咬み合わせは全身の健康に大きく関与し、命の源でもあるのです。
歯周病や口臭治療でも、原因究明の検査をされています。

歯周病や口臭は歯周病菌・口臭原因菌、虫歯は虫歯菌によって引き起こされる「感染症」です。ブラッシング、フロッシング、スケーリング等によって歯垢や歯石などを除去することも重要ですが、悪玉菌がたくさん残っているままでは効果が半減してしまいます。そこで当院では、原因除去の観点から、口腔内の細菌検査を行っています。具体的には「PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)」によるDNA検査を行い、その菌の種類に応じた薬で除菌をしながらクリーニングすることで、歯周病菌や口臭原因菌をより効率的に減らし、根本治療によってお悩みの解決をめざしています。
自由診療中心でその人に合った最善の治療を追求
審美歯科についても伺います。

セラミック治療では、単に白い歯をめざすのではなく、その方の魅力を最大限引き出すような、自然な美しさを追求しています。その美しさも、正しい機能が礎になるのはあまり知られていません。例えば前歯の治療では、前述の咬合平面の歪みを整えて顔の輪郭や目元・口元の歪みにも配慮します。また、咀嚼時の顎の動きや接触状態を考慮することで、セラミックの寿命にも影響します。私は、機能美を兼ね備えた歯列を実現するため、審美歯科のゴールデンルール10を独自にまとめ、診断の指針としています。歯の色味や比率、歯軸の角度や歯茎のラインなど多角的に分析し、位置・形にも気を配って治療しています。また、審美眼を磨くため日頃から美術館巡りなども行い、治療に生かしています。
自由診療についてどうお考えですか。
残念ながら現在の日本の保険診療には咬み合わせの検査項目がなく、歯根の保存治療も世界基準で評価されていません。失われた機能を回復には時間と費用がかかり、保険診療では限界があります。例えば補聴器やコンタクトレンズが自費であるように、⻭科においても「咬める」「味わえる」「話せる」「笑える」などの機能回復は、苦痛を取ることの先にあります。患者さんが何を望み、10年20年先も機能するには何が必要なのか。咬み合わせが体に調和し、魅力を引き立てる自然で美しい⻭が⼿に入れば、治療の繰り返しを防ぎ、歯の⻑持ちにつながり、何よりご自身がその⻭を⼀⽣⼤切にされることでしょう。命の源ともいえる⻭に最善の治療を追求するには、本質的には自由診療でしか実現できないと思っています。
治療の流れを教えてください。

まず、患者さんの主訴をなるべく早く短期間で解決するよう努めます。しかし、それは応急措置であって、次に原因を考えていきます。具体的には、咬み合わせや歯周病原因菌の検査・精密な分析をして、問題点を洗い出します。そして、問題点に対する最も効果的な治療法を考え、「治療計画書」を作成していきます。患者さんには治療計画書に基づいて、現状と悪くなった原因を丁寧にご説明し、機能面や審美面を踏まえた、よく咬めて、奇麗で長持するための具体的な治療内容・費用・期間のご提案を時間をかけて説明します。賛同してくださった方には、工程を含む治療計画書を作成して最短コースで治療できるように最後までのアポイントを取ってもらい治療に入ります。当院には、どこに行っても何をやっても駄目だった、という方が全国から多く来られます。そんな方のお悩みを、最短で根本的に解決して差し上げたいと願っています。
患者に対し「最善を尽くすか無か」
歯科医師として何がやりがいですか。

クリニック名に「Smile Design」と冠しているのは、関わる周りの人を笑顔にしていきたいという思いからです。人間は本来、誰かのために何かをし、喜ぶ姿を見て幸せを感じる生き物だと思っています。自分の欲求を満たす喜びは一瞬ですが、人に与えた喜びはその人の心に一生残ります。そうした体験を多くの人に届けることが、歯科医師としての人生の価値を決めると考えています。スタッフに対しても環境や待遇を整えていますが、私自身の患者さんに対する姿勢こそが、クリニック全体の理念として浸透していると感じています。その想いに応えるように、実際に勉強熱心なスタッフが多いですし、少数精鋭の組織を築けていると思っています。
開業にあたっては随分苦労されたとか。
赤坂の山王病院の歯科医長を務めていた頃から、「歯科医師は匠人で、自分で開業してこそ一人前」と考え、自分の腕で勝負したいと思っていました。私の家は、祖父・父・私と100年以上続く歯科医師家系で、父は岡山で歯科医院を経営していました。しかし、私の理想は質の高い自由診療を提供できるクリニックだったため、あえて東京の地で挑戦することにしたのです。1997年に浜松町の駅ビル内の狭い居抜き物件で開業しました。資金も乏しく、壁のペンキ塗りまで自分で行いましたが、以前勤務していたクリニックの院長から治療ユニットのお古を譲ってもらったり、勤務医時代の患者さんが多数来院してくださり、受付やスタッフとして来てくれた人もいました。運転資金もほとんどなかったものの、開業直後から1週間先の予約が埋まり、胸をなでおろしたのを覚えています。振り返れば、節目節目で本当に人に助けられた、ついてる人生だったなと思います。
読者へメッセージをお願いします。

私はクリニックを⼤きくしたいという⽬標はなく、⽬の前の悩める⽅のために助けになりたい一心で、技術と知識を智慧に昇華し、研鑽を重ねてきました。私が属してるスタディーグループIPSGの哲学である「Das beste oder nichts:最善か無か」は、私の治療方針の指針でもあります。「咬める」「しゃべる」「味わう」「笑う」ことは、人間の尊厳に関わることであり、歯科医師はその根本を支える存在です。だからこそ、最善の治療以外に選択肢はないと考えています。これからも精魂込めた治療で、最善を尽くし、患者さんが歯と顎口腔機能を長く維持し、豊かな人生を送れるよう尽力します。そのためには私たちは常に研鑽を続け、この奥深い⻭科の世界で、⽣涯進化をしていきたいと⼼から願っています。
自由診療費用の目安
自由診療とはセラミックインレー/8万2500円~、セラミッククラウン/14万3000円~、インプラント治療/27万5000円~、ドイツ式義歯治療/63万円~、歯周病治療/7万3700円~、「PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)」を用いた細菌DNA検査/1万5000円