小野 浩 院長の独自取材記事
小野歯科
(品川区/北品川駅)
最終更新日:2025/12/12
北品川駅から徒歩約2分の「小野歯科」。院長を務める小野浩先生は、相手の緊張をほぐすような、やわらかな笑顔と軽やかなユーモアが印象的だ。院内を彩るグリーンは、筋金入りの緑好きだという小野院長のこだわりによるもの。「数少ないカラー写真のほぼすべてで緑色の服を着ていた」というエピソードをはじめ、緑トークを聞くだけで思わず笑顔になってしまう。治療に関しては、咬合学を基盤に「噛み合わせのバランスを整えること」をゴールとし、歯・骨・顎関節といった口全体の調和を丁寧に見極めながら、日々の診療にあたる。その技術と人柄に惹かれ、同院には老若男女問わず多くの患者が長く通い続けている。今回は噛み合わせに精通する小野院長に、技術を磨いた下積み時代から、クリニック開業100周年を見据えた展望までを語ってもらった。
(取材日2025年11月21日)
知識を吸収し、技術を磨いた下積み時代
ご経歴と専門分野について教えてください。

私の専門分野は、噛み合わせや顎関節を研究する「咬合学」です。日本歯科大学在学中、今は閉院してしまいましたが渋谷の丸山歯科クリニックでアルバイトを始めました。師匠である丸山公一先生は、サンフランシスコで歯科医療の技術指導機関を主催していたトーマス・F・バスタ先生のもとで咬合学を学んだ経験を持ち、非常にクオリティーの高い治療を行っていた方です。私は顎の動きを再現するための一つの道具として咬合器を使用しています。一般的には平均値を基準にした「平均値咬合器」が使われます。一方、バスタ先生は十人十色の患者さんごとの顎の傾斜角度などを詳細に計測できる「全調節性咬合器」を早くから取り入れ、活用していました。この学問の奥深さに感銘を受けた丸山先生は、日本での普及に尽力されたのです。そんな丸山先生に「ここで働かないか」と誘われ、私は1986年に丸山歯科クリニックへ就職しました。
咬合学を専門とする先生のもとで技術を磨いたのですね。
最初の1年間は治療を行わず、診療の後ろで見学するだけでした。まさに下積み時代です。丸山先生はとても熱心で、診療後にもさまざまなことを教えてくださいました。例えば「ワックスアップ」という技術があります。これは模型上でワックスを使い、歯の理想形を作製するもので、本来は歯科技工士の領域です。しかし、「自分でできなければ良い形成はできない」というのが丸山先生の教えでした。練習に没頭していると深夜0時を回ってしまい、慌ててビルから退出したことが何度もあります。平日はそんな日々で、週末にはバスタ先生やアメリカから来日した歯科医師の講習会に参加しました。この経験が私のすべての基礎になったのです。真剣に取り組んで本当に良かったと、今でも心から思います。
咬合学を学び、歯の治療のゴールは「噛み合わせのバランスを整えること」という考えに達したのでしょうか?

そうですね。当時の日本の歯科大学では、噛み合わせの教育は残念ながら十分とはいえませんでした。噛むという行為は、実際に物を噛む歯や歯を支える骨、栄養を与える歯茎、口を開閉する筋肉、軸となる関節など、すべてがそろってこそ成り立ちます。その調和をめざす学問が咬合学です。人間はそれぞれ、十人十色ですから。一人ひとりに適した噛み合わせにアジャストすることが欠かせないと考えています。
患者のデンタルIQを上げることも重要視したい
下積み時代を経て、1993年からこちらで勤務されていらっしゃるのですね。

当院は私で3代目です。先代である父が倒れたことをきっかけに、丸山歯科クリニックから戻ってきました。患者層としてビジネスパーソンが中心だった丸山歯科クリニックとは異なり、こちらは入れ歯の方やお子さんが多かったんです。そのおかげといってはなんですが、小児歯科や入れ歯治療など、対応できる分野が増えました。現在は地元の保育園の園医でもあり、品川保健センターの1歳半検診や3歳児検診にも行きますので、よくお母さん方から質問を受けます。特に多いのは「仕上げ磨きをさせてくれない」「虫歯予防はどうしたら?」といったお悩みですね。私がアドバイスするのは「自分の歯磨きをお子さんにやらせてあげる」です。お母さんがお子さんに歯磨きをしてもらって「気持ち良いね」と言うのをを聞けば、お子さんは「歯磨きって気持ち良いんだ」と感じ、自ら歯を磨くようになりますよ。虫歯の予防について広めていくことも、私の大きなやりがいです。
患者さんとのコミュニケーションにおいて、重視していることはありますか?
患者さんのデンタルIQを高めることも、歯科医師の大切な役目だと思っています。説明の時間を長めに取り、知識を共有することを心がけています。専門用語を並べず、世間話のような雰囲気で、わかりやすく伝えるようにしています。白衣ではなくポロシャツで診察するのも、患者さんの緊張を和らげたいからです。ちなみに……今日は取材なので、せっかくだからと大好きな緑のポロシャツを着てきました。私は小学生の頃から緑好きで、今も院内の壁やフレーム、スリッパ、スマホのケースなど、できるかぎり緑でそろえています。私の軸は「咬合学」と「緑」で、この2つは一生ぶれないでしょうね。緑のものが目に入ると、思わず写真を撮っちゃうんですよ。緑にライトアップされた東京タワー、緑色のクリームソーダ、ほうれん草のクリームパスタとか。よくスタッフに写真を見せています。
そのエピソードから、スタッフさんとの仲の良さがよくわかります。

皆で遊園地やテーマパークに行くこともありますよ。私は、歯科医師・歯科衛生士・受付・助手は皆同じラインにいて、輪をつくる仲間だと考えています。一人でも欠けたらきれいな輪にはなりません。実際に手術や治療を行うのは歯科医師である私ですが、全員が知識を共有できるように勉強会を実施しています。そうすることでアシスタントは2手3手先を読むことができて手術や治療がスムーズに行えますし、診察後に受付スタッフが患者さんから治療について質問された際もきちんと答えられる。結果的に、患者さんのデンタルIQ向上にもつながると思っています。
患者・歯科医師・スタッフとの「チーム」で治療する
医療の進歩や時代の変化で感じることはありますか?

30年前と比べて、CTの登場で技術は格段に向上し、より精密な診断につなげられるようになりました。他分野の歯科医師や医師との連携も進み、患者さんが抱える病気への理解もしやすくなりました。マイクロスコープや口腔内スキャナーはアップデートされる度に先進の物を導入しますが、薬や治療法はエビデンスを精査した上で採用を判断しています。技術の進歩で患者さんへ提供できる治療の質は向上しましたが、基本はやはり噛み合わせです。今はAIが噛み合わせを分析して起こり得る問題を提示する時代になっていますが、実際に治療するのは人の手です。先進技術はあくまで補助として考え、繊細な咬合学は人が行い患者さんに届けるという姿勢は変わりません。
2029年にはクリニック開業100周年を迎えますね。
そうなんですよ。開業は1929年の6月4日と聞きました。100周年目最初の患者さんのために、小さいくす玉でも買ってこようかなと思っています。私の娘も歯科医師になったので、継いでもらえれば100周年以降も続いていくかと思いますが、私自身はとにかく100周年までは頑張るつもりです。患者さんの性格や生活習慣、歯ぎしりの有無、噛み合わせなどを丁寧に分析して「インプラントが良い」「入れ歯のほうが良い」など選択肢を提示し、患者さん自身が選べるようにしたいです。そして患者さんのデンタルIQを高め、治療の意味を理解していただきたいです。私としては、これからもクオリティーの高い治療を提供し続けたいと考えています。
読者へのメッセージをお願いします。

歯は、われわれ歯科医師やスタッフだけでは治療することはできません。患者さんとの「チーム」で治療するものです。毎日私がお家に行って歯磨きするわけにもいきませんから、まずは知識をつけていただくことが大切だと思っています。歯科医院に来るのは365日のうちの数日で、健康な歯を保つためにはそれ以外の日がとても重要です。われわれはそのお手伝いをさせていただきます。チームでお口の問題に取り組み、治療した後の状態を維持できるように、長いお付き合いができたらと思っています。皆さんがリラックスし、痛みなくすべてが調和した治療をめざしていますので、よろしければ一度ご相談ください。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療/44万円~、ハイブリッドセラミックインレー/3万8500円~

