大原 宏介 先生の独自取材記事
大原歯科医院
(品川区/荏原中延駅)
最終更新日:2025/09/11

中延の地で40年近く診療を続けてきた「大原歯科医院」は、近隣の再開発に伴い、2025年に移転。4階建てのビルで新たなスタートを切った。父から同院を引き継いだ大原宏介先生は、これまでの治療型の診療スタイルから予防型にシフトするため、院内の設計からこだわったという。とりわけ1階で対応する小児歯科に力を入れるにあたり、通いたくなる診療体験の提供を重視し、さまざまな工夫を凝らしている。2、3階は完全個室の診察室で、成人の診療を行う。どちらの診療でも患者の「こころよさ」を診療コンセプトに掲げるという大原先生に、予防型の診療スタイルに舵を切った理由などについて語ってもらった。
(取材日2025年8月19日)
治療型から予防型の歯科医院へ
リニューアルしてこちらに移転したそうですね。

当院は父が開業し、40年近く駅のすぐそばで診療を行っていましたが、マンションの再開発で立ち退くことになり、この場所にビルを建てて移転しました。ちょうど代替わりをしようとしていたタイミングでしたので、従来の痛くなったら治療しにくる治療型から、予防歯科に注力する予防型の歯科クリニックへと診療内容もシフトしていこうと考えました。予防歯科では子どもの頃から健康意識を高めることは欠かせませんので、小児歯科に特に力を入れています。そこでリニューアルに際し1階を小児歯科専用のフロアにしました。診療前に歯科医院に慣れてもらうために歯に関する知識を楽しく学ぶ、デンタルリトミックなどができるスペースも造り、初診のお子さんには保育士の資格を有するスタッフがアクティビティーを提供する時間も設けています。院内の明るい雰囲気もあってか、ここに移転してから怖がって泣いてしまう子はほとんどいないんです。
予防型の歯科医院をめざした経緯を教えてください。
大学卒業後すぐの頃に、予防歯科に注力している先生のプレセミナーを受講して感銘を受け、自分が歯科医院をやるときは予防型の歯科クリニックをつくりたいと心に抱きました。その思いを根底に持ちつつ、11年ほどインプラント治療や審美歯科、補綴などに力を入れる大きな医療法人に勤め、さまざまな先進の歯科医療の経験を積みました。その後、当院を継ぐとなった時に、改めて予防歯科を学ぶ必要があると考え、西八王子や静岡県にある予防歯科に特化した歯科クリニックでも勉強させていただきました。特に、静岡の歯科クリニックは小児歯科診療専用の建物があり、そこで口腔育成に絡めたデンタルリトミックも実施していたことから、当院でも取り入れることにしたのです。
実際、予防型の歯科医院へとシフトされていかがですか?

当院はもともと「何かあったら来てくださいね」という治療型の歯科医院でしたから、勉強に行った先の先生には「予防型に切り替えるのは難しい」と言われていました。ですが、私としては長年来てくださっている患者さんも、既存のスタッフたちも一緒に治療型から予防型へシフトさせたかったのです。予防歯科に特化している歯科クリニックは、「決められた予防プログラムについて来られなければ他へ行ってもらって良いですよ」という厳しい所もあるのですが、そういう患者さんを振り落とすような体制は私の理想としているものではなく、自然と患者さんの健康意識が高まるような歯科クリニックにしたいと思いました。患者さんが「来て良かった」「また来たいな」と思い、自然と長く予防に通っていて、無理なく口の中の健康維持に取り組めている、そういう歯科クリニックでありたいと考えています。
患者の「こころよさ」を満たす歯科医療の提供を
診療のコンセプトとして、どのようなことを掲げていますか?

当院では患者さんの「こころよさ」を大切にしています。単なる不快のない状態ではなく、通うたびに気持ちが安らぎ、満たされるような「こころよさ」を定義として、予防歯科を通じて健康になること、患者さんのご要望がかなうこと、通院が楽しくなるような居心地の良さ、スタッフ一人ひとりの患者さんに寄り添った温かい接遇という4つを掲げています。患者さんの要望をかなえながら健康も維持できるよう、自由な発想で対応し、定期的な通院が義務にならず、「わくわくする自己投資」と思っていただける歯科医療の提供をめざします。
小児歯科で重視しているのはどんなことですか?
遊びながら自然とお口の健康につなげていけることが小児歯科のコンセプトです。遊んでいたら自然と知識が身につくような歯科版テーマパークをつくりたいと思っています。歯科医院が初めての子や苦手な子には、もともと幼稚園の先生だったスタッフが、ピアノを弾いたり、紙芝居をしたり、お子さんがタッチして遊べるプロジェクションマッピングを体験してもらったりして楽しくなってきたところで診療ユニットに座ってもらいます。難しそうなら親御さんの膝の上で診ることもできます。小児歯科では特に楽しく、心が弾む体験ができるように診療を行っています。
成人の予防歯科について教えてください。

2、3階に完全個室の大人用診察室を設け、エステに行くような感覚で予防歯科に通っていただける歯科クリニックをめざしました。従来のスケーリングではなく、痛みを感じにくいパウダーメンテナンスを取り入れています。実際の流れとしては、オーラルヘルスケアプログラムという予防管理システムにのっとって検査を行い、予防プログラムの立案、評価、メンテナンスを実施しています。患者さんのご要望に寄り添いながら、一人ひとりの未来の健康にとって最適な方法を考えています。患者さんが納得できるような治療方法を一緒に計画しながら期待を超えられるような結果となれるよう日々向き合っています。
口腔の健康維持がかなう、自然と通いたくなる場所に
その他にクリニックの特徴はありますか?

父が成人専門、私が小児専門で診療を行い、矯正歯科専門の歯科医師も2人診療に携わっています。私は歯内療法も専門として経験を積んできましたので、歯周病治療やマイクロエンド(精密根管治療)、インプラント治療にも対応しています。当院では小児歯科を担当していますが、患者さんが求めるものに幅広くお応えできることも強みかもしれません。また、親子で気軽に通っていただける歯科クリニックをめざし、親御さんが診療中は1階でお子さんを預かることもできますし、エレベーターで上がっていただきベビーカーごと診察室に入って診療を受けていただけます。自動受付・自動精算のシステムを導入し、受付から会計まで、待ち時間をなるべくつくらないことにもこだわりました。
今後、何か新しいことを取り入れるお考えはありますか?
デジタル技術にも興味があり、今はオリジナルアプリを作っているところです。遊びながら予防を学べるものなのですが、小児歯科のスペースにはプロジェクターがあるので、そこで投影させてお子さんに体験してもらえたら良いですね。また、いずれは自宅にいながら予防歯科が受けられたらとも考えています。デジタル技術はお口の健康をもっと身近にできるものだと思っています。
最後に、地域の方へのメッセージをお願いします。

「お口の健康を100年先まで」というビジョンを掲げています。歯科への受診が美容院に行くように日常の一部になって、ここに来るのが当たり前になる、そんな存在になりたいと思っています。そして、気づいたらお口の健康が維持できていることが理想です。それにはまず地域の方に愛される歯科医院になることが大事だと思っています。スタッフたちにも、通ってくれている患者さんを大切にしてねとよく伝えています。通ってくれている患者さんが、「また来たい」とずっと感じていただける歯科医療の提供を心がけています。患者さんから「次の予約いつですか」と言っていただけたらうれしいですね。お子さんに対しても、自然に通いたいくなる仕組みづくりに努めていますので、赤ちゃんからご高齢の方まで一緒にお口の健康維持に取り組んでいきましょう。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療/(1ヵ所あたり)44万円~、精密根管治療/(1回につき)3万3000円~
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。