岸 輝樹 院長の独自取材記事
医療法人社団 秀勇会 岸歯科診療所
(横浜市保土ケ谷区/天王町駅)
最終更新日:2025/12/02
相鉄本線天王町駅から徒歩5分に位置する「岸歯科診療所」は、40年以上地域のかかりつけ医として多くの患者の口腔内の健康維持に貢献してきた。現在2代目院長を務めるのは、2019年に父親から同院を引き継いだ岸輝樹(てるき)先生。できるだけ長く自分の歯で生活が送れるようにと予防歯科に尽力。その上で、虫歯になる原因を追究し30年先まで見据えた治療を行うことにもこだわっている。小児期からのケアを重視して矯正や口の使い方のトレーニングにも注力し、高齢で通院が難しい患者には、訪問歯科診療も行う。幅広い年代の患者を温かな笑顔で迎える岸院長に、診療の特徴や大切にしていることなどを聞いた。
(取材日2025年7月15日)
治療のいらない状態の維持が理想。「予防歯科」に注力
クリニックの設備の特徴や、診療に対するこだわりを教えてください。

当院はこの地で40年以上診療している歯科医院ですが、お子さんやその親御さん、そしてご高齢の方が多く来院するため院内設備を改善しました。土足で上がれるようにして段差をなくすことで、ベビーカーや車いすもスムーズに診療室に入ってもらえるようになっています。動線が良くなり、待合の患者さんからは見えないように配慮もしつつ、私たち歯科医師や歯科衛生士にとって動きやすくなりました。ユニットの周りは広く、ドアのない開放的な造りになっています。見渡しが良く他の場所の把握もでき、さまざまな対応がしやすくなっているのは患者さんにとってもプラスだと思います。診療面では、以前よりも予防歯科に力を入れるようになりました。長くご自身の歯で過ごしていただくには子ども時代からのケアが大切なため、小児歯科も併せて新たな技術を取り入れるなど、幅広い対応をするようにしています。
地域で長く診療されていますが、今特に注力しているのはどのようなことでしょうか?
患者の皆さんにもっと予防意識を高めていただけるよう、予防歯科には特に注力していますね。特に、小児の予防歯科には積極的に取り組んでいます。本来は生涯、自分の歯で生活できるのがベストで、そのためには子どもの時の歯の状態と歯に対する意識が大事だと考えているからです。矯正するのも当然早いほうがお勧めで、当院では最近マウスピース型装置を用いた矯正を導入しました。歯並びに影響する口腔習癖の改善を図る「口腔筋のトレーニング」は以前から取り入れていましたが、中にはトレーニング用のマウスピースを使いづらいと言う子もいますし、何より矯正が必要なお子さんがかなり増えてきたためです。マウスピース型装置を用いた矯正は、ワイヤー矯正で挫折しがちなお子さんも扱いやすく、きれいな歯並びがめざせることがメリットです。今後も患者さんがより良いアプローチを選択できるよう、さまざまな方法を採用していきたいですね。
小児歯科において大切にしていることを教えてください。

私は治療以前に、お子さんが成長していく過程で、正しく口を使えていないことが多く、それが後々の疾患などにつながる可能性もあることをまず知っていただきたいと思っています。ですから、お子さんと親御さんに口腔筋トレーニングの重要性や指導の内容についてわかりやすく説明することを大切にしています。歯並びが悪いのは何かしらの悪習癖が原因にあることが考えられますが、もう少し踏み込み「口の使い方」を考える必要があると思っています。当院では、矯正は永久歯に生え替わってから実施しますが、その間に口の筋肉の使い方を見直す機会がなければ、そのまま成長してしまうでしょう。口の機能の成長は顔周りにも関係し、口の機能が健全に発達しないと、将来的に顎関節症や睡眠時無呼吸症候群などを引き起こす要因になり得ます。舌、呼吸、姿勢、唇と、それぞれの動かし方のトレーニングをしたり、患者さんに合わせて器具を使ったりしています。
原因を追究した上での治療方針の決定にこだわる
診療の際に気を配っていることや心がけていることはありますか?

「原因を考えた上で治療をする」ということを心がけています。例えば「歯並びが悪い」に対してなら、「なぜ悪くなったのか」をしっかり探った上で矯正の方針を決めることが大切なのではないでしょうか。原因を探るために、患者さんには生活面でのことを伺うのはもちろん、できるだけ細かくお話を聞いて記録も取るようにしています。また、もちろんすでに虫歯になっている所は治療しますが、考え方として重視したいのはやはり「予防歯科」。極力、治療が必要にならないようにしていけたらと思っています。「悪くならないようにするにはどう気をつけられるか」という点に注力して、患者さんや親御さんにわかりやすいようにお伝えすることも大切ですね。
インプラントにも注力されているそうですね。
はい。人によっては入れ歯だと生活の質が落ちてむしろ健康を損なう可能性がある方もいらっしゃいますので、選択肢として取り入れています。しっかり噛んで食べられる状態を維持することや、治療において他の歯を犠牲にせず天然歯を大事にすることは、患者さんが長く健康でいるのに重要なことです。その点でインプラントは向いている治療法ですので、お勧めすることがありますね。腫れるのがつらいという方も負担の少ない埋入に努めますし、骨の量や質が適応でなかった方も埋入できるようになったので、患者さんの助けになれればうれしいです。
どのような患者さんが多く来院されますか?

地域柄もあり、また訪問歯科診療もしているので、一番多いのはご高齢の方ですね。父の代からある歯科医院なので長年通ってくださっている患者さんもたくさんいらっしゃいます。訪問歯科診療は横浜市保土ケ谷区歯科医師会との地域連携で訪問するのですが、伺った先で、ケアマネジャーさんからさらに別の方の依頼を頂戴することもあります。当院での診療がメインなので、行ける限りではありますが対応しています。小児歯科では、当院に通っていただいているお子さんの親御さんに紹介されて来てくださるような方もいらっしゃいますね。
「治療をしたくない」という人ほど来てほしい
子どもの矯正の考え方と初期アプローチについて教えてください。

子どもの矯正では、歯並びだけでなく顔の筋肉の発育にも着目してアプローチをします。治療は歯科医院だけで完結するものではなく、家庭での生活習慣や親の協力が不可欠です。初回の説明とヒアリングには十分な時間をかけ、適切な生活習慣まで丁寧にお聞きします。最近では口呼吸のお子さんが多く、CTで鼻粘膜の状態を確認することもあります。アレルギーが疑われる場合は小児アレルギー科を紹介し、まずは鼻呼吸ができる状態を整えることもあります。原因に応じた対応を徹底することで、より効果的な矯正につなげています。
今後の展望を教えてください。
「悪くなってからの治療」をもっと減らして、予防メインの歯科医院になっていくのが理想ですね。ただ、患者さんにとって予防とは何をするのか、想像しにくいかもしれないなと思うことがあります。ですが、機能面が整っていて健康な歯というのは見た目も自然できれいなものなんです。そこで、患者さんには「きれいな歯をめざしましょう」とお伝えするようにしています。当院では、歯の健康をビジュアルでわかりやすくするため、口腔内スキャナーを2台導入し、写真を撮って可視化しています。患者さんにモニターで見てもらうことで、理解を深めていただければと思ってのことです。患者さんが写真を見て「汚れていて恥ずかしい」と感じられるかもしれませんが、その気持ちが意識の改善につながることもあるんですよ。こうしたやりとりを地道に重ねながら、予防の重要性をさらに広めていきたいです。
読者にメッセージをお願いします。

治療をしたくない方ほど、ぜひいらしてほしいです。歯科医院に抵抗がある方も、きっかけはホワイトニングなどでも良いと思いますし、きれいな歯や顔つきでいるために行ってみようという気持ちでご来院ください。きれいな見た目と正しい機能が兼ね備えられた健康的な歯をめざし、保ち続けるために伴走します。また体が衰える「フレイル」の始まりは口の機能不全ともいわれるため、ただ噛めるだけでなく唾液が出る、飲み込めるなど、口の機能がしっかり使えているかの確認も大切です。ご高齢でしたら入れ歯にならないように診ていきますし、お子さんに関しては正常な発育をチェックしていきます。歯科医院は歯の悪い部分を治療するだけではなく、健康でいるためにどう予防するかを知れる場でもあるので、お気軽にいらしてください。
自由診療費用の目安
自由診療とは成人矯正/58万円~、小児のマウスピース型装置を用いた矯正/11万円~、インプラント/42万円~、ホワイトニング/オフィスホワイトニング:5万5000円〜、ホームホワイトニング:3万3000円
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。

