西洋医学に漢方を取り入れ
症状の改善をめざす
代官山パークサイドクリニック
(渋谷区/代官山駅)
最終更新日:2025/05/15


- 保険診療
漢方薬は「即効性がない」と思う人もいるが、1967年に保険適用が開始され約60年がたつ、歴史ある治療薬だ。漢方治療の最大の特徴は、患者一人ひとりの体質や全体のバランスを重視したオーダーメイドの治療であること。これにより、人間が本来持っている自然治癒力を引き出すことを図り、症状の緩和や疾患の改善につなげていく。「代官山パークサイドクリニック」の岡宮裕(おかみや・ゆたか)院長は、西洋医学と東洋医学の漢方薬を有機的に組み合わせ、体に負担の少ない医療をめざしている。そんな岡宮院長に、漢方薬と西洋薬の違い、漢方薬に適した症状、市販の漢方薬を服用する際の注意点などを聞いた。
(取材日2025年4月28日)
目次
漢方治療は、患者一人ひとりの体質や全体のバランスを重視したオーダーメイド治療
- Q漢方薬と西洋薬の違いについて教えてください。
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A
▲代官山駅から徒歩2分のところにある
漢方薬と西洋薬は、基本的なアプローチや成分が異なります。漢方薬は、患者さん一人ひとりの体質や全体のバランスを重視し、自然由来の生薬を複数組み合わせて作られます。これにより、人間が本来持っている自然治癒力を引き出し、症状の緩和や疾患の改善につなげます。西洋薬と比較すると副作用が少ない傾向があるのも特徴です。一方、西洋薬は、特定の症状や疾患に対して科学的根拠に従い化学合成された単一成分。症状を起こしている器官に直接アプローチし、ピンポイントで治すという目的で用いられています。漢方薬よりも短期間で症状の改善をめざすものが多いです。
- Q漢方薬を用いた診療の特徴について教えてください。
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A
▲患者の症状に合わせてオーダーメイドの治療を
最大の特徴は、それぞれの患者さんの体質や症状に合わせたオーダーメイドの治療であることです。西洋医学とは違って、同じ病名の患者さんでも同じ漢方薬が適しているとは限らないため、個々に合わせた漢方薬を選択するのです。また、漢方医学では、心と体を一体として捉え、全体の調和を図る「全人的医療」を重視します。原因が特定できない症状や未病の状態でも治療が可能ですし、1つの薬に複数の成分が含まれているため、多彩な症状に用いることができ、さらにそれは、薬の副作用を抑えることにもつながります。
- Qどんな症状に適用できるのでしょうか?
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A
▲西洋薬が体に合わなかった人も相談を
例えば、風邪、頭痛、胃腸障害、冷え症、不安神経症、肩凝りなど、急性疾患から慢性疾患まで幅広い症状に適用が可能です。慢性的な片頭痛、腰痛、肌荒れ、ニキビ、アレルギー、便秘など原因が特定しにくい慢性的な不調や、根本的な体質改善をめざす際にも用いられます。そのほか、病名が診断できないけれど何となく具合が悪い方、複数の症状がある方、西洋薬でアレルギーが出やすい方にも適しています。また、更年期の症状は精神的な不調と区別がつきにくいため、漢方などの東洋医学を取り入れた柔軟な診療が望まれます。
- Qこちらの診療の特徴を教えてください。
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A
▲体質を見極めて改善をめざす
漢方内科外来では、まず患者さんの「証(しょう)」を診るところから始めます。証とは、東洋医学的な見地で判断する体質のようなもので、おなかの張り具合、舌の状態、脈、血圧、まぶたの裏側の状態などを診て診断します。こうした東洋医学的診断に加え、尿検査、血液検査などの西洋医学的な検査も組み合わせ、患者さんの体質や現在の健康状態を詳しく診断した上で、体に負担の少ない漢方薬を処方します。定期的な検査を組み合わせると、診断や治療の精度向上も期待できるでしょう。副作用の少ない漢方薬による治療を希望される方、慢性的な症状の改善や根本的な体質改善を希望される方は、お気軽にご相談ください。
- Q市販の漢方薬を服用する場合の注意点があれば教えてください。
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A
▲市販の薬などの併用については、相談してほしいと話す岡宮院長
いくつか注意点があります。まずは、用法・用量を守ることです。飲み合わせにも注意が必要です。ほかの漢方薬や西洋薬、サプリメントとの併用は、成分が重複する可能性があるため、医師か薬剤師にご相談ください。また、漢方薬も「薬」ですから、当然、副作用があります。漢方薬の副作用では、胃もたれなどの消化器症状や、湿疹やかゆみなどの皮膚症状が最も多いといわれています。これらは比較的軽い副作用なので、ほとんどの場合、服薬を中止すれば症状も収まりますが、万が一症状が続く場合は専門家に相談しましょう。妊娠中や授乳中の服用も必ず医師に相談してください。