呉 兆礼 院長の独自取材記事
くれクリニック
(新宿区/西新宿駅)
最終更新日:2025/12/15
西新宿駅から徒歩約5分、新宿フロントタワーの3階に「くれクリニック」はある。2012年の開業以来、風邪や生活習慣病から循環器・甲状腺疾患まで幅広い内科診療を行っている。「医者ではなく、“居者”。患者さんが安心できる居場所でありたい」と話すのは、呉兆礼(くれ・よしひろ)院長。穏やかな笑顔と落ち着いた語り口に、初対面でもすっと肩の力が抜ける。同院の周辺はオフィス街と住宅地が混在する地域だが、特に地元住民を中心に「かかりつけ医」として頼りにされている。訪問診療にも注力し、地域の健康に寄り添い続ける呉院長。クリニックの特色を尋ねると「特徴らしい特徴がないんです」と笑うが、それこそが、日々「当たり前」のことに丁寧に取り組んでいる証拠だと感じる。謙虚な姿勢から見え隠れする、地域医療への熱い思いに迫った。
(取材日2025年11月11日)
「医療の最初の入り口」としてどんな悩みにも向き合う
まずは、クリニックの特徴を教えてください。

風邪や発熱といった体調不良から生活習慣病まで、幅広く内科診療を行っています。循環器疾患や糖尿病、甲状腺疾患に関しては、各分野を専門とする非常勤医師による診療も実施。私自身は消化器を専門にしています。内科とは「医療の最初の入り口」だと考えています。体調が悪いけれど、どの科に行けばいいかわからない……そんな時こそ、まずは気軽に当院に来てほしいですね。必要があれば、その方に合った医療機関につなぐのも、私たちの役割です。幸い、当院がある新宿区には大学病院や医療センターも多く、より大きな施設へのご紹介もスムーズに行えます。
オフィスビル内に位置するクリニックですが、どんな患者さんが多いですか。
同じビル内や近隣で働いている方もいらっしゃいますが、じつは患者さんの大半が周辺にお住まいの地元の方なんです。西新宿エリアは、長く住まわれているご高齢の方もたくさんいらっしゃいます。そうした方々の「かかりつけ医」として、日々の体調から長年の病気の経過まで、じっくり寄り添う診療を心がけています。
院内でどんな検査ができますか?

胃と大腸の内視鏡検査設備を備えています。いわゆる「胃カメラ」「大腸カメラ」ですね。内視鏡で直接見ることで、初めて見つかる病気もあります。患者さんに抵抗なく検査を受けていただくためにも、できる限り負担の少ない方法を取っています。例えば胃の検査なら経鼻内視鏡を中心に使用し、要望に応じて鎮静下での検査も可能です。大腸内視鏡でポリープが発見された場合は、当院で日帰り切除も対応しています。
治療後も続く、患者の人生に寄り添うために
呉院長はどのようなきっかけで、医者を志したのでしょうか。

最初のきっかけは、子どもの頃に母から聞いたキリスト教のお話です。印象に残っているのが、救世主の奇跡によって、盲目の人が光を取り戻すというエピソード。「そんなことができたら、どんなにすごいだろう」と心を動かされました。現実的には難しいかもしれませんが、それに近いことがめざせる仕事は医者だと考えて、この道を志すようになったんです。栃木の獨協医科大学で学んだ後、地元・東京に戻り、東京女子医科大学の外科に所属することに。外科では、消化器の手術を中心に経験を積みました。その頃培った知識は、内科が主である現在も役立っています。点滴や内視鏡の扱い一つとっても、外科出身ならではの感覚が生きるのではないかと考えています。
もともと消化器外科が専門だった呉院長が、内科をメインに開業したのはなぜでしょうか。
外科で経験を積むうちに、手術だけでなく患者さんの「その後」も大切だと考えるようになりました。もちろん手術も重要なアプローチですが、術後たちどころに健康になるわけではありません。また、病気によっては再発することもありますし、残念ながら現代の医療では完治が望めないケースもままあります。こうした現実と向き合いながら、患者さんの人生に少しでも長く寄り添えるのは、内科医です。そんな思いが、当院の開業につながっています。
訪問診療にも力を入れているそうですね。

もともと、クリニックを開業するなら、訪問診療にも注力したいと考えていました。きっかけは、東京を離れて大分の病院に赴任していた頃のこと。当時も外科に所属してがんの手術などに対応していましたが、再発患者さん、末期患者さんの姿も多くありました。中には長い間入院していて、ずっと病室で過ごしていた方も。最期くらいは自宅に帰って、自分らしく過ごしてもらいたい。けれど、それがかなわず歯がゆい思いをしたことも少なくありません。だったら、医者である私たちが患者さんの自宅に通えばいいのではないか。そんなチャンスがいつかあればと、ずっと考えていたんです。
訪問診療では、24時間365日電話対応をされているとのことですが、大変さは感じませんか。
不思議と、そこまで大変さは感じません。どちらかというと患者さんが遠慮してしまうこともあって……(笑)。心配なことがあれば、気兼ねなくいつでも電話していただきたいです。体調が思わしくないとき、連絡・相談できる場所があるだけでも安心できると思いますから。
患者さんのよりどころとなる“居者”でありたい
診療の際、心がけていることは何ですか?

患者さんの話をしっかりと聞くことです。共通の話題を見つけるなど、話しやすい雰囲気づくりにも気を配っています。病院を訪れる人は、誰もがネガティブな感情を抱えているものではないでしょうか。体調がつらいと、心も暗くなりがちですよね。症状を取り除くだけではなく、最終的に患者さんが安心できるように、しっかり向き合っていきたい。クリニックは病気を治すための場所ですけれども、同時に「安らげる場所」だと感じていただければ、うれしいことです。
公式サイトで掲げている「医者ではなく“居者”になる」というメッセージも印象的です。
大学病院の医局時代、上司だった先生の教えです。医者とは、いつでも患者さんのそばにいて、安心させてあげられる存在だと。常にそばに、というのは物理的には難しいけれど、自身のできる限り患者さんとコミュニケーションを取っていきたい。そうすることで、だんだんと患者さんに信頼してもらえるのだと思います。“居者”として患者さんのよりどころになることが、いつも私の目標なんです。
プライベートでの楽しみや、リフレッシュ方法を教えてください。

身体を動かすのが大好きで、医師会のフットサルチームに参加しています。学生時代はアイスホッケー部に所属していました。その関係で、時々栃木のアイスホッケーチームのリンクドクターも務めています。リンクサイドで試合を観るのは本当に楽しいです。とはいえあくまで「リンクドクター」としての参加ですので、けが人が出ないかいつも心配ではありますが……。選手の皆さんに無理のないよう、見守りながら応援しています。食べることも大好きですね。旅先ではついつい、おいしい食べ物に惹かれてしまいます。一番の好物は、大分赴任時代に出会った「とり天」です。
最後に、今後の展望についてお聞きできますか。
これからも、「地域の町医者」として患者さんの居場所になっていきたい。病気はなるべく早めに見つけて治療することが大切。だからこそ、体調に不安を感じたとき、まず思い出してもらえる存在でいたいです。必要な人に、必要な医療が届くように、日々しっかりと務めていきます。

