石塚 卓也 院長の独自取材記事
西新宿いしづかメンタルクリニック
(新宿区/西新宿駅)
最終更新日:2026/04/09
西新宿駅1番出口から徒歩2分、青梅街道沿いのビル3階にある「西新宿いしづかメンタルクリニック」。ブルーグレーと木目を基調とした院内にはアロマの香りが漂い、ホテルのラウンジを思わせる癒やしの空間が広がる。院長の石塚卓也先生は大学病院や精神科単科病院で30年以上研鑽を積んだ、経験豊富な医師。働く人のメンタルヘルスと高齢者の認知症の診療を得意とする。「キャリアの後半は地域医療に貢献したい」との思いから開業を決意。初診には30分をかけて丁寧に話を聞き、公認心理師によるカウンセリングも取り入れながら薬だけに頼らない診療を実践している。取材でも言葉を選びつつ誠実に語るその姿に、日々の傾聴を大切にする診療姿勢がにじんでいた。石塚院長に開業の経緯や診療への思いを聞いた。
(取材日2026年3月17日)
精神科病院の経験を生かした診療と癒やしの空間づくり
まず、開業に至るまでの経緯をお聞かせください。

順天堂大学を卒業後、大学病院に14年間在籍し、難症例や診断の難しい疾患の治療、臨床研究や教育に携わりました。その後は精神科単科病院に移り、17年にわたって精神科救急など重症の入院患者さんの診療にあたってきました。キャリアも後半に差しかかり、残りの医師人生で何をすべきかと考えたときに浮かんだのが、まだ手を伸ばせずにいた地域医療への貢献です。精神科では入院患者さんが年々減少する一方、この20年で外来の患者さんは倍に増えているんですね。重症の方は減り、通院で十分治療できる方が大幅に増えている。患者さんの数ではなくニーズの幅が広がったのです。そうしたニーズが高い現場でこそ力になりたいという思いが、開業の原動力になりました。
西新宿というエリアを選ばれた理由を教えてください。
大学病院や精神科病院での勤務と並行して、20年以上にわたり企業で働く方々のメンタルヘルスに携わってきました。ただ、それまでは企業側の立場での関わりでしたので、今度は治療者としてその知見を生かしたいと考えたのです。西新宿は大型のオフィスビルが立ち並び、都内でも特に就労者が多いエリアです。実際に来院される方の約8割は30~50代の働いている方で、仕事のストレスや人間関係の悩みから不眠やうつ状態になるケースが多いですね。西新宿駅から徒歩2分の立地に加え、都庁前駅や新宿駅からも徒歩圏内で、19時まで診療を行うなど、お仕事帰りにも通いやすい環境を整えています。
院内の雰囲気がとても印象的です。空間づくりへのこだわりを教えてください。

精神科や心療内科というと、どうしても受診への心理的ハードルが高くなりがちです。病院らしい雰囲気があると余計に足が遠のいてしまうので、まず空間から変えたいと考えました。待合スペースはホテルのラウンジをイメージし、座っているうちに眠くなるような癒やしの空間をめざしています。ブルーグレーと木目の色調で統一し、壁には飛騨高山の工房で作られた鉄製のアート作品を飾りました。受付にはアロマディフューザーを置き、モニターでは環境映像や穏やかな音楽を流しています。照明も午前中は明るめの白、夕方以降はオレンジ色と時間帯によって変えるなど、視覚・嗅覚・聴覚から、来ていただくだけでほっとできる場所になるよう工夫しています。また、診察室も患者さんとお話がしやすいように、医師の間に机やパソコンが入らない形で、目と目を合わせてお話ができるように設計しました。
処方だけでは終わらない、生活に寄り添うケアを重視
改めて、どのような症状で来院される方が多いか教えてください。

最も多いのは不眠の訴えです。寝つきが悪い、途中で目が覚める、疲れているはずなのに眠れないといった症状です。また、安静にしているのに動悸がする、頭が重い、頭痛が続くなど体に不調が現れる方も。こうした症状は心の不調のサインである可能性がありますので、気になった時点で早めにご相談いただけたらと思います。当院に来られる方のほとんどは、皆さんご自身の意思で受診を決めていらっしゃいます。心のメンテナンスをしながら普通に働き、生活しているという感覚の方がとても多いんです。以前に比べてメンタルクリニックへの受診のハードルは大きく下がっていますし、ちょっとした不調を早い段階でケアできることが、地域のクリニックとしての大切な役割だと考えています。
診療ではどのようなことを大切にされていますか。
初診では約30分をかけて、症状がいつ頃から始まったのか、現在の状態はどうか、仕事や日常生活にどんな影響が出ているかを丁寧にお聞きします。必要に応じて薬物療法は行いますが、それだけで終わりにはしません。日常の過ごし方や職場の人間関係へのアドバイスなど、ご本人が持つ回復力を引き出すサポートも大切にしています。お困り事をしっかりお聞きした上で、医療的なサポートやアドバイスができる形を取りたいと常に思っています。「丁寧に話を聞いてほしい」という理由で来院される方も多く、患者さんの訴えに真摯に耳を傾け、処方についてもきちんと説明する。そうした基本の姿勢を何よりも大事にしています。
カウンセリングも重視されているそうですね。

はい。月に2回、公認心理師によるカウンセリングを実施しています。じっくり時間をかけてお話を聞いてもらえる場として、必要な方にはご案内しています。私たち医師はどうしても医学的な観点からのアドバイスが中心になります。一方で公認心理師は、日々の生活に密着した話やコミュニケーションの取り方、物事の考え方の整理など、より実践的なサポートを得意としています。医師の診療と心理師による心の整理はそもそも位置づけが異なりますので、2つの視点から関わることで患者さんの気づきが増え、回復につながることが期待できるのです。また、再診からはオンライン診療にも対応しています。お忙しい方や通院のタイミングが合いにくい方にも、継続的にケアを届けられる環境を整えました。
我慢せず早めの受診を。幅広い世代の心を支えたい
今後、さらに力を入れていきたい分野はありますか。

現在は働く方のメンタルヘルスサポートが中心ですが、将来的には高齢者の認知症診療にも力を入れていきたいと考えています。大学時代から高齢者医療に携わっており、認知症の診断や治療は得意分野の一つです。西新宿の北側には北新宿や中野坂上エリアなど住宅地が広がっていて、長く住んでいる方が多く高齢化が進んでいます。ご本人だけでなく、ご家族からの認知症に関するご相談にも対応していますので、気になることがあれば遠慮なくお声がけください。また、金曜日と一部の土曜日には、非常勤の女性医師との二診体制で診療を行っています。女性のメンタルヘルスに詳しい医師ですので、将来的には女性の心身の健康をサポートするグループワークの実施も構想しています。
先生にとって、日々の活力になっていることは何ですか。
患者さんに喜んでいただけたときが、やはり一番うれしいですね。働きづらさを少しでも和らげて差し上げることできれば、と常々思っています。人から見ると些細と思われるような悩みも、患者さんにとっては大きな問題なのです。これは精神科病院で重症の患者さんを診ていた頃には気づけなかった視点で、だからこそ日々の診療に確かなやりがいを感じています。またプライベートでは、ジムでの筋力トレーニングとゴルフが欠かせないリフレッシュ法です。自分自身がメンタルを健やかに保つためにも、体を動かすことはとても大事だと実感しています。心身のバランスを保ちながら、これからも患者さんの回復を支えていきたいですね。
最後に、読者へメッセージをお願いします。

メンタルの不調は、ご自身では気づきにくいことが多いものです。最初に現れるのが頭痛や動悸、おなかの不調といった体の症状で、まさかそれが心から来ているとは思わない方も少なくありません。内科で検査をしても異常が見つからなければ、一度メンタル面を疑ってみていただきたいと思います。何よりも大切なのは、我慢しないことです。「こんなことで受診していいのかな」と迷う必要はまったくありません。メンタルクリニックを受診される方は年々増えていますし、心のケアを受けながら日々を送ることは自然なことになってきています。早めに相談していただくことが回復への近道になります。当院はリラックスできる環境づくりを大切にしていますので、気になることがあればどうぞ安心して受診してください。

