野原 太陽 院長の独自取材記事
コスモクリニック
(揖斐郡揖斐川町/揖斐駅)
最終更新日:2026/03/27
畑や山に囲まれた揖斐川町の一角に、北欧のコテージのような佇まいに青い外壁がひときわ目を引く「コスモクリニック」がある。2025年11月に開院した同院の院長・野原太陽先生は、日本神経学会認定神経内科専門医と日本専門医機構内科専門医の資格を持つ脳神経内科のスペシャリスト。日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院で脳梗塞をはじめ多くの症例に向き合い、臨床力を培ってきた。近隣では病院でしか対応できなかった脳神経内科の専門的な診療を身近なクリニックで提供できるのが同院ならではの強みだ。木のぬくもりがあふれる温かな院内で、「ご本人の意思を尊重して一緒に考えていきます」と穏やかに語る野原院長に、故郷での地域医療にかける思いや診療の特徴を聞いた。
(取材日2026年2月26日)
故郷に戻り、脳神経内科の専門医療を届ける
まず、こちらで開院された経緯をお聞かせください。

2025年11月に以前のクリニックの建物や患者さんを継承する形で新規開院しました。ここは私が子どもの頃に通った清水小学校のすぐ近くで、まさに故郷に戻ってきたという心境です。この地域にはご高齢で遠方の病院まで足を運ぶのが難しい方が多くいらっしゃいます。そうした方々にきちんと医療を届けたいという思いが、ここでの開院を決めた大きな理由でした。開院してからは幼なじみや同級生のご両親が来てくださることも多く、「帰ってきてくれてありがとうね」と声をかけていただけたのは本当にうれしかったですね。地域の皆さんの温かさに支えられながら、日々の診療に向き合っています。
院長先生のご経歴と、脳神経内科を専門にされた理由を教えてください。
初期研修を終えた後、日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院で約5年間、三次救急の急性期医療に携わりました。脳梗塞の患者さんを何百例と診た他、てんかんや脳炎など幅広い疾患を経験し、医師としての土台を築けた場所です。内科各科のローテーションも経て、日本神経学会認定神経内科専門医と日本専門医機構内科専門医、2つの資格を取得しました。現在も名古屋大学大学院で研究を続け、大垣市民病院の外来も担当しています。脳神経内科を選んだのは、患者さんのお話から病気の原因を論理的に推理していく診断の過程に惹かれたからです。探偵のように手がかりをたどる面白さと、先輩の技術を目で見て学ぶ神経診察の職人的な奥深さに、今も変わらず魅力を感じています。
クリニックづくりでこだわった点を教えてください。

クリニック名の「コスモ」は、ラテン語で宇宙を意味する言葉です。私の名前の「太陽」と、2人の子どもの名前に込めた「陽」と「月」、この3人に共通する空のモチーフから宇宙というテーマを選びました。ロゴマークにも太陽・地球・月をあしらっています。外壁は宇宙を思わせるネイビーに少しだけ緑を加えたこだわりの色で、院内には太陽系の飾りも設けました。気づいてくださる患者さんもいて、うれしく思います。設備面では、AIが診察中の会話を自動で要約してくれる音声入力カルテを導入しました。キーボードを打つ必要がなくなり、患者さんの目を見てしっかりお話しできるようになったのは大きな変化です。スマートフォンからの予約や決済にも対応し、利便性の向上にも努めています。
丁寧な問診と神経診察で、症状の原因を見極める
脳神経内科にはなじみのない方も多いかと思いますが、どのような症状を診る科なのでしょうか。

代表的な症状でいうと、頭痛、手足のしびれ、動かしづらさ、けいれん、物忘れなどが挙げられます。神経は全身に張り巡らされていますから、手や顔の動き、足の感覚まで幅広く診ていく科です。具体的な病名としては片頭痛や緊張型頭痛、てんかん、脳梗塞の他、手根管症候群という手首の神経が圧迫されて指にしびれが出る病気や、頸椎症・腰椎症なども含まれます。脳神経内科の大きな特徴は、「どの科にかかればいいかわからない」という症状の原因を見極める鑑別が得意なところです。整形外科の病気だと思っていたら実は脳梗塞だった、というケースもあります。こうした鑑別は通常病院で行われることが多いのですが、身近なクリニックで受けられるのは当院の強みだと考えています。
実際の診察はどのように進められるのですか。
脳神経内科の診察は、まず丁寧な問診から始まります。患者さんのお話を詳しく伺い、病気の原因を推理していくのがこの科ならではの進め方です。例えば頭痛であれば、痛みの程度を10段階でお聞きしたり、ズキズキか締めつけるような感じか、どのくらい続くか、頻度はどの程度かを細かく確認します。問診の後は神経診察に移ります。目や手指の動き、筋力を調べ、打鍵器というハンマーで腱反射を確かめたり、音叉で振動の感覚を診たりと、全身にわたって神経の状態を評価します。しびれや動かしづらさが主訴であれば診察時間は5分~10分ほど、全身を診ると20分程度かかることもあります。神経診察は神経内科専門医の技術そのものですから、クリニックでも病院と同様に行えるのは大きな利点です。
特に注意すべき症状や、受診の目安について教えてください。

特に気をつけていただきたいのは、50歳以上で高血圧症や糖尿病、脂質異常症をお持ちの方です。急にしびれや麻痺が出たら、すぐ受診してください。一過性脳虚血発作といって症状が短時間で消えてしまうこともありますが、数日以内に本格的な脳梗塞に至る場合がありますので、「一時的だったけれど怖かった」という段階でご相談いただけると早期の対応につながります。若い世代では、片頭痛が20代から30代の女性に多く、仕事に差し障ることも少なくありません。よく使う薬で改善しない場合にも神経内科専門医なら次の選択肢をご提案できます。てんかんについても新しい薬が出てきていますので、妊娠・出産なども含め、将来を見据えた治療が可能です。精密検査が必要な際は、私自身が外来を持つ大垣市民病院へスムーズにおつなぎすることもできます。
すべての世代に寄り添い、地域に安心を届けたい
脳神経内科の他に、どのような診療をされていますか。

内科としては生活習慣病、つまり高血圧症や糖尿病、脂質異常症の管理が診療の中心です。脳神経内科の領域では脳梗塞後のフォローアップや、パーキンソン病、ALSといった神経難病の方も診させていただいています。小児科も診療しており、風邪やインフルエンザなどの急な体調不良の他、予防接種や入園時の健診にも対応しています。実際に2歳のお子さんから100歳を超える方まで幅広い年齢の患者さんが来院されていて、ごきょうだいそろって感染症にかかった場合にはご家族まとめて診察することも。正しい医学をお届けすることはもちろんですが、目の前にいるのは一人の人間ですから、ご本人の気持ちや意思を尊重して一緒に考えていく姿勢を常に大切にしています。
今後、力を入れていきたいことや展望をお聞かせください。
私は大学時代に軽音楽部でドラムを始め、今もかつての勤務先の仲間とジャズバンドを組んで年に1度クリスマスコンサートを開いています。院内のBGMにもジャズを流しているんですよ。この音楽への思いを医療にも生かせたらと考えています。また、まだ準備段階ではありますが、ゆくゆくは診療時間外にクリニックのスペースを活用して、お子さんにも参加いただけるような小さなコンサートが開けたらいいなという夢も持っているんです。
最後に、読者へのメッセージをお願いいたします。

地域の皆さんに安心を届けたい……その手段が医療であると考えています。この地域の方々にとって脳神経内科の診療はこれまで、ある程度遠方の総合病院まで足を運ばなければ受けられないものだったかと思います。当クリニックでは頭痛やしびれ、物忘れといった気になる症状について、神経内科専門医の立場から丁寧にお話を伺い、原因を一つ一つ見極めてまいります。「どの科にかかればいいかわからない」というときこそ、気軽にご相談いただける場でありたいですね。内科や小児科としても幅広く対応しておりますので、ご家族皆さんのかかりつけとしてお役に立てればうれしく思います。何か少しでも気になる症状があれば、どうぞお気軽にご相談ください。

