浅越 佑太郎 院長の独自取材記事
東京日本橋 早期肺がん日帰り手術クリニック
(中央区/日本橋駅)
最終更新日:2026/03/31
日本橋駅直結のビル地下2階に、2026年1月開業の「東京日本橋 早期肺がん日帰り手術クリニック」はある。クリニックとしては珍しく、早期肺がんの日帰り手術を専門に扱っている。院長の浅越佑太郎先生は、国立がん研究センター中央病院で数多くの肺がん手術に麻酔科の医師として携わり、「元気な早期肺がんの人ならば日帰り手術が可能」という考えに至った。すべての手術の麻酔を浅越院長自ら担当し、術中管理から術後の痛みのコントロールまで一貫してサポートする体制を整えている。「肺がんを日本人のがんによる死亡数第一位から外すこと」を最終目標としてめざす浅越院長に、日帰り手術について聞いた。
(取材日2026年2月3日)
早期肺がんの日帰り手術に特化
このクリニックを開業された経緯をお聞かせください。

国立がん研究センター中央病院での勤務が長かったのですが、そこは数多くの肺がん手術を行っている施設でした。私自身も患者さんの術前・術中・術後の管理を数多く経験させてもらう中で、外科の先生と「元気な早期肺がんの人だったら、日帰り手術が可能だ」という臨床的な感覚を共有するようになったんです。鼠径ヘルニアの日帰り手術がクリニックで増えてきているように、早期の肺がんも同じようにできると考えました。入院しなくていいなら入院はしたくないというのが患者さんの本音だと思いますので、日帰り手術専門のクリニックを開くに至りました。
先生が麻酔科を専門に選ばれたのはなぜですか?
麻酔はもちろんのこと患者さんの体のコントロールを幅広く行えるのが麻酔科の特徴です。手術中の麻酔だけでなく、術後管理や、手術前にその患者さんが全身麻酔を受けられるかどうかという内科的な判断も、麻酔科医師の範囲なんです。「麻酔しかできない医師は麻酔科医じゃない」という考え方が根づいていて、救急科外来で呼吸状態が悪化した重症の患者さんが来れば、集中治療室の先生が降りてきて自分で初期治療の準備を整えてから連れていく。その先生こそが麻酔科の医師なんです。内科のことも外科のこともわかり、重症な患者さんを自分のコントロール下で管理して集中治療に携わっていける。そのカバー範囲の広さに惹かれて麻酔科を選びました。
執刀される外科の先生方についても教えていただけますでしょうか。

国立がん研究センター中央病院にいた時から、ずっと一緒に手術を進めてきた先生たちにお願いしています。1人は現在も国立がん研究センター中央病院で科長を務めており、もう1人は駒込病院の部長です。麻酔科の医師というのは、いろいろな先生の手術を見ますし術後管理も担当します。私は集中治療室でも働いていましたから、術後合併症でICUに来る患者さんを何人も診てきました。当院で執刀をお願いしているのは、そうした経験の中で「この先生なら任せられる」と思える方々です。当院では外科の医師も麻酔科の医師も固定していて、医療の質にこだわって診療しています。
丁寧な痛みのケアでスムーズな日常への復帰をめざす
日帰り手術の対象となるのはどのような方ですか?

肺がんの手術は大きく分けて4種類あります。片方の肺をすべて取る肺全摘、肺の「葉」を一つ取る肺葉切除、さらに小さな区域を取る肺区域切除、そして肺の表面にある小さながんだけを取る肺部分切除です。当院で行う日帰り手術の対象は、この肺部分切除で取りきれる範囲の方に限定しています。実は肺がんと診断された方のうち手術ができるのは半数以下に過ぎず、半数以上は発見された時点で手術が難しい状況になっているんです。肺がんは初期段階ではほとんど症状が出ないため、症状が出てから検査をした方は手術できないことも多い。しかし早期に発見することができれば、部分切除で治療することができます。残る肺が多いほど術後の心肺機能も確保できることが見込めますから、がんだったことを忘れて日常生活に戻ることも期待できます。
手術や術後の痛みについて、不安を感じる方も多いかと思います。
術後まったく痛くないかといえば、それはうそになります。ただ私は麻酔科の医師ですので、痛みの管理はお任せください。患者さんに合った痛み止めの種類と量をきちんと調整すれば、夜眠れる程度の痛みに抑えられることが望めます。傷口の痛みに加え、肋骨の間を走る肋間神経が障害されることによる痛みも出ますので、それぞれに対応した薬も処方します。大切なのは、痛くなってから飲むのではなく、痛くなることが予測されているなら先に飲んでおくこと。薬を飲んでから効果が期待できるようになるまでには時間がかかりますから、先に飲んでおけばつらい時間を減らすことが見込めます。術中の麻酔管理についても、細心の注意を重ねて薬をコントロールしています。
検査から手術、帰宅までの流れを知りたいです。

がん患者さんにとっての時間は、私たちが思っている以上に貴重です。がんと判明し、手術が必要と告げられてから1ヵ月も待つのは、精神的にかなりつらいもの。当院では術前検査を1つの部屋で行い、採血、呼吸機能検査、エックス線検査、心電図検査を合わせても約10分で終わります。検査結果に問題がなければ手術日を決め、最短で翌日、遅くとも1週間以内には手術ができる段取りを組んでいます。金曜や土曜に手術を行えば、土日を休んで月曜からお仕事に復帰することも望めます。手術自体は約1時間で、回復室で2時間ほど様子を見てから帰宅していただきます。朝8時半に来院されれば、お昼前にはクリニックを出られると思います。日帰りですのでご家族への説明も大切にしており、帰りには必ず付き添いの方に来ていただくようお願いしています。
肺がんは早期発見が大切。CT検査の受診を
早期発見のために大切なことを教えてください。

一言で言えば、CT検査を受けていただくことです。多くの方が健康診断でエックス線検査を受けていると思いますが、エックス線では肋骨や心臓の裏に隠れてしまい、小さながんが見つからないことが多いのです。CTなら輪切りで何枚も写真を撮るため、ごく早期の段階で発見することが期待できます。そのため、喫煙者はエックス線ではなくCT検査を受けたほうが良いと考えています。40歳を超えた喫煙者の方はぜひ一度受けていただきたいですね。また最近は40代、50代の非喫煙女性に肺腺がんが増えているといわれています。当院では無料の電話相談やメール、メッセージアプリでの相談も受けつけていますので、気になることがあればお気軽にご連絡ください。
今後の展望をお聞かせください。
まずは早くがんを見つけ、適切な治療につなげていきたいですね。入院している間は筋力も落ちますし、動かないでいると肺が膨らまなくなって肺炎を起こすこともあります。患者さんのことを考えれば、退院できる人は早く退院したほうがいい。早く見つけてサッと手術して、日常に戻ることをめざす。そういう流れをつくりたいと思っています。最終的な目標は、肺がんを日本人のがんによる死亡数第一位から外すことです。肺がんは日本で最も多くの方が亡くなっているがんですが、早期に見つけることができれば治療できる可能性が非常に高い。それなのに多くの方が亡くなっているのは、本当にもったいないことなんです。もちろん安全第一ですので、少しでも心配な点がある場合は国立がん研究センター中央病院や駒込病院に紹介する体制を整えています。日帰りで手術できると判断した方だけを当院でお引き受けしています。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

昔のイメージから肺がんになったら助からないと思っている方も多いかもしれませんが、早期に見つかれば決してそんなことはありません。部分切除でも肺がんを治療することができます。何事もなかったかのように、がんだったことを忘れて日常生活に戻ることも期待できます。ですからあまり怖がらずに、CT検査を受けてみてほしいんです。最近は被ばく量の少ない低線量CTもあり、短時間の検査で終わります。1回もCT検査を受けたことがない方は、とりあえず1回、何もなければ2年おきくらいに受けていただければと思います。もしCT検査を受ける方が増えたら、がんによる死亡数第一位が肺がんでなくなる日がきっと来ると信じています。できものを取るくらいのイメージで、気軽に相談に来ていただければうれしいですね。

