大久保 天進 院長の独自取材記事
オリーブこどもクリニック
(大阪市中央区/谷町四丁目駅)
最終更新日:2026/02/09
2025年12月、谷町四丁目駅と天満橋駅からそれぞれ徒歩約8分の場所に開業した「オリーブこどもクリニック」は、待合室を設けない完全個室制という独自のスタイルで診療に取り組んでいる。院長を務める大久保天進(てんしん)先生は、小児科やアレルギー科の疾患に幅広く対応しながら、発達障害や赤ちゃんの頭の形の診療にも力を入れてきた。さまざまな不安から子どもの受診をためらいがちな保護者の心理的ハードルを下げるため、全8室の個室を用意。2歳の息子を持つ父親でもあり「自分が診ていた患者さんが、いつか自分の子どもを連れてきてくれるのが夢」と穏やかな表情を見せる大久保院長に、クリニックのめざす「第二のおうち」像や、診療にかける思いを語ってもらった。
(取材日2026年1月15日)
気軽に何でも相談できる「第二のおうち」をめざして
まずは、こちらで開業された経緯を教えてください。

小児科医になった時から、一人のお子さんを長く診ていきたいという思いがありました。生まれた時から小学生、中学生、高校生と大きくなっていく過程を見届けられるのが小児科の魅力だと感じていたからです。ところが医局に所属していると、1年から2年で病院を異動することが多く、腰を据えて一人のお子さんの成長を見守ることが難しかったんですね。青臭い話かもしれませんが、自分が診ていた患者さんがいつか大人になって、今度は自分の子どもを連れて来てくれる、それが私の夢なんです。その夢をかなえるには、やはり開業しかないと考えていました。いろいろなタイミングが重なり、やるなら今だと思い切って開業に踏みきった次第です。
こちらではどのような診療をされていますか?
私は日本アレルギー学会アレルギー専門医の資格を持っていますので、喘息やアトピー性皮膚炎などアレルギー疾患全般に対応しています。また、以前勤めていた病院で赤ちゃんの頭の形を診る外来を立ち上げた経験があり、向き癖などで頭の形が変形してしまうお子さんへのヘルメット治療も近く開始する予定です。生後3ヵ月から6ヵ月という限られた期間にしかできない治療なので、気になる方は早めにご相談いただければと思います。そのほか発達障害への対応や、NICU(新生児集中治療室)での勤務経験を生かした新生児疾患の診療も行っています。当院では赤ちゃんから高校生まで幅広く診ていますし、一緒に来られたお父さんお母さんの風邪なども診させていただいています。
この場所を開業地に選ばれた理由はありますか?

この地域は子どもがたくさん生まれる一方で、一人世帯の方も多いエリアなんです。初めて親になる方が多いということは、育児の経験がなく、わからないことや不安を抱えている方もたくさんいらっしゃるはず。実は私自身、小児科医になってしばらくしてから子どもができたのですが、それでも「こんなこともあるのか」と気づくことがたくさんありました。専門家の自分でさえそうなのですから、そうでない方はなおさら不安が大きいだろうと思うんです。だからこそ、ちょっと気になることがあった時にふらっと立ち寄れて、何でも気軽に聞ける場所にしたい。困った時に「あそこに行けば何か答えをもらえる」と思ってもらえるような、「第二のおうち」のようなクリニックをめざしています。
感染症も周囲も気にせず受診できる完全個室制
待合室を設けていないと伺いました。その理由を教えてください。

一番の理由は感染症対策です。以前、大きな病院で働いていた時「感染症をもらうのが怖くて受診を控えていました」という患者さんがいらっしゃいました。その時は「もっと早く来てほしかったな」と思ったのですが、私自身も子どもを持ってみて、その気持ちがよくわかるようになりました。もう一つは、待合室でお子さんが走り回ったり泣いたりすることへの親御さんの気遣いです。特に発達障害を抱えているお子さんは集団でいることや周りの音が苦手なことも多く、外出自体がご家族にとって大きなストレスになっている場合があります。個室に入ってしまえば、多少騒いでいても周りを気にする必要がありません。受診への心理的ハードルを少しでも下げられたらという思いで、この体制にしました。
受付から会計までは、どのような流れになりますか?
まず受付で保険証などを提示していただいた後、ブザーをお渡しして個室にご案内します。順番が来たら私が各部屋を回って診察し、必要に応じてその場で検査も行います。会計の準備ができるとブザーが鳴りますので、受付でお会計をしてお帰りいただく流れです。待合室がないため、ウェブでの予約と問診の入力をお願いしています。順番待ちのシステムを採用しており、ご自宅で待機していただき、順番が近づいたら来院していただくイメージですね。また、ホームページからクレジットカードを登録しておいていただくと会計待ちの時間がなくなり、処方箋をお渡しした時点ですぐにお帰りいただけます。院内の滞在時間を短くするためにも、ぜひご協力いただければ幸いです。
この体制ならではのメリットがあれば教えてください。

大きなメリットは、ワクチン接種の時間帯を設ける必要がないことです。一般的な小児科では発熱の患者さんとワクチン接種を受ける方を分けるために時間帯を区切っていますが、当院は完全個室なので、どの時間帯でもワクチンを打つことができます。「この時間に行かなければ」という縛りがないのは、忙しい親御さんにとって大きな利点ではないでしょうか。来院された方に「いつでもワクチンを打てるのがありがたい」「感染症の心配がない」と喜んでいただけたらうれしいですね。個室は全部で8部屋あり、うち2部屋は広めに造っているので、双子のお子さんや大きなお子さんにも対応できます。まだ開業して日が浅いので、このシステムには未知の部分もありますが、患者さんと一緒に育てていくチャレンジだと思っています。
「診た子が親としてまた来てくれる」という夢を追い
診療において大切にされていることを教えてください。

子ども第一で考えることを大切にしています。この子のために何が必要かを、ご両親と一緒に考えながら良い治療を探っていきたいと思っています。もう一つ意識しているのは、優しい声かけです。体調の悪いお子さんを連れて来られた親御さんは、心身ともに疲弊していることが多いですよね。普通の対応をされただけでも、冷たく感じてしまうことがあると思うんです。だからこそ、スタッフにも「つらそうな方にはこちらから声をかけていこう」と伝えています。また、診察の最後には「何か他にありませんか?」と必ず伺うようにしています。「診療と関係ないことなんですけど……」と、聞きたいけど遠慮して聞けないということがないように心がけています。
院内の雰囲気づくりでこだわった点はありますか?
個室は周りが見えない分、お子さんが圧迫感を感じないよう広めに設計しました。各部屋にアクセントクロスや絵を取り入れ、ベッドに描かれたキャラクターも部屋ごとに変えています。待ち時間にはタブレットやテレビではなく、絵本を置くことを選びました。絵本の読み聞かせや間違い探しなど、親子のコミュニケーションの時間にしてほしいという思いからです。処置室にはプロジェクターを設置していて、採血の時には天井に映像を映すことで、お子さんの緊張を和らげるようにしています。クリニック名の「オリーブ」は、母が運営しているデイサービスセンターの名前からいただきました。平和や繁栄の象徴とされるオリーブに、両親への感謝の気持ちと、お子さんを大切にしたいという思いを込めています。
最後に、今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

目標は、長くこの地で医療を続けていくことです。そしていつか、かつて診ていた患者さんが自分の子どもを連れてきてくれたら、これほどうれしいことはありません。私自身にも2歳の息子がおり、公園に行ったり、遠出をしたりと休日はできるだけ一緒に過ごすようにしています。親として子育ての大変さを実感しているからこそ、同じように頑張っている親御さんの力になりたい。当院ではアレルギーや発達障害といった専門的な疾患から、発熱や便秘などの一般的な症状まで幅広く対応しています。病気のことに限らず、育児で気になることがあれば何でもご相談ください。完全個室なのでどの時間帯でも受診しやすく、感染症の心配も少ない環境を整えてお待ちしています。

