伊藤 実喜 院長の独自取材記事
AMIRI CLINIC
(大阪市中央区/堺筋本町駅)
最終更新日:2026/01/14
堺筋本町駅から徒歩3分、オフィスビルの7階に「AMIRI CLINIC」がある。2024年12月に院長となった伊藤実喜(いとう・みよし)先生は、福岡大学医学部大学院で学位を取得後、フィリピンでのボランティアや再生医療の研究など、幅広く経験を積んできた。「困っている人がいる所に行くのが医師の務め」と語る伊藤院長。診察中は「じっきくん」という相棒を指につけ、時にはマジックで患者の緊張をほぐすユーモラスな人柄も魅力。「医師は治すきっかけ屋のプロ」という信念のもと、糖尿病診療を中心に対応。オンライン診療にも積極的で、将来の医師不足を見据えた医療の形を模索している。フィリピンの貧困撲滅という壮大な夢に向けて走り続ける伊藤院長に、その医療哲学までじっくり聞いた。
(取材日2025年12月2日)
「困っている人を助けたい」原点を忘れない医療を
福岡のご出身だそうですが、医師をめざしたきっかけを教えてください。

私は福岡の田舎で、お百姓さんの家に生まれ育ちました。家には牛や馬がいて、畑では有機農法で野菜を育てる、自然に囲まれた環境でした。高校2年のある日、家の前で作業をしていた祖父が突然倒れたんです。田舎では医師が少なく、父が往診バッグを持った先生を急いで連れてきてくれましたが、間に合いませんでした。祖父は戦後、韓国から引き揚げてきた元専売局の責任者で、「とにかく勉強が大事だ」といつも私に言っていました。その祖父を助けられなかった悔しさから、命を救う医師になりたいと強く思うようになったんです。浪人生活も経験しましたが、なんとか福岡大学医学部に進学し、大学院で学位も取得することができました。
フィリピンでのボランティア活動を始められた経緯をお聞かせください。
叔父がフィリピンのレイテ島で慰霊活動をしていて、手伝ってくれないかと依頼されたのがきっかけです。そこで現地を訪れ、医療を必要としている人が日本だけでなく、世界中にたくさんいるという現実に気づいたんです。レイテ島での経験を通して「困っている人がいたら手を差し伸べるのが医療」という考えが私の原点になりました。医療を受けたくても受けられない方が大勢いる現状を目の当たりにし、患者さんが自分の住む場所で安心して医療を受けられることの大切さを、心から感じました。2022年にはフィリピンマニラに新たにクリニックを開設しました。
そしてAMIRI CLINICで院長になられたのですね。

ええ。大阪で先進的な医療を行うクリニックを始めたいと声をかけていただきました。2024年12月に開業したばかりのクリニックで、堺筋本町駅から徒歩3分という好立地にあります。7階に受付と診察室、6階に保険診療の処置室、8階に自由診療の処置室があり、設備も整っています。内科、糖尿病内科、皮膚科に対応しており、オフィス街で働くビジネスパーソンから外国人患者まで幅広い方々に医療を提供しています。まさに困っている人を助けるという私のポリシーが実現できる環境です。
一人ひとりが持つ免疫力を後押しする診療
糖尿病診療に力を入れておられると伺いました。

「糖尿病の典型的な症状は何ですか?」と聞かれたら、私は「無症状」と答えます。症状がないのが特徴なんです。症状が出てしまった時はもうかなり進行し、手遅れになっていることも。2024年の1年間で透析になった人が約1万人、そのほとんどが手遅れの状態だったというデータがあります。だからこそ早期発見が重要。40〜50歳を過ぎたら年に1回、尿と血液を調べてほしいと考えています。誕生日の時に健康診断を受ける「バースデーチェック」がお勧めです。中国人の患者さんも多く来院されますが、中国は今世界で一番糖尿病患者が多い国なんです。早期発見で透析を回避できる可能性があるので、予防の大切さを伝えています。
診療において大切にされていることは何でしょうか。
私が大切にしているのは、「病気を治すのは患者さん自身の生命力や免疫力であり、医師はその力を引き出す“きっかけ”をつくるプロ」という考え方です。だからこそ、医師の役割は、わかりやすい説明と選択肢の提示。そして、威圧的にならず「患者さんが何をやりたいのか」を尊重することだと思っています。免疫力を高めるための工夫もお伝えしています。具体的には、覚えやすいよう5本の指に例えています。親指は体を温める、人差し指は炭水化物を減らす、中指は筋肉を鍛える、薬指は楽しむ、小指は発酵食品やミネラルで腸を整える。診察では、実際に患者さんの手形を取りながら説明し、最後に日づけとサインを書いてお渡しします。「指はいつも見ていますよね」とお話しすると、皆さん納得してくださいます。こうして、治すきっかけになることを、日常の中で実行していただきたいんです。
診療にマジックを取り入れているそうですね。

はい。マジックを取り入れている理由は、「人は五感でつくられている存在」だと考えているからです。見る、聞く、味わう、香りを感じる、触れ合う。こうした五感が満たされると、人は自然と楽しい気持ちになり、リラックスし、不安や痛みも和らぎます。しかし医療現場では治療や検査が中心で、五感に働きかける機会が少なくなりがちです。そこで私は、マジックを通して患者さんに「楽しむ時間」を届けたいと思いました。マジックは年齢や言葉の壁を越え、目の前で起こる出来事として直感的に伝わる魅力が、不安を軽減し、心をほぐすきっかけになるのです。実際に、病気で強い痛みを抱え、表情が乏しかった高齢の患者さんを往診した際、マジックを披露すると、お孫さんが大喜びし、後日奥さまから「主人が笑ったのを久しぶりに見ました」と声をかけていただきました。その一瞬の笑顔が、患者さんやご家族にどれほど大きな意味を持つかを、強く実感しました。
オンライン診療なども取り入れ医療の未来を支える
オンライン診療にも積極的に取り組まれているそうですね。

保険診療で高血圧、糖尿病、高脂血症などの慢性疾患に対応しています。特に精神疾患の方にはメリットが大きいんです。うつ病や不眠症で服薬されている方は人と会いたくない心理があるので、リモートのほうが本音を言っていただけるんですね。診察室に看護師がいると話したくないという方も、オンラインなら安心して相談できるのではないでしょうか。仕事の休憩時間に「お薬がなくなりました」と連絡いただければ、すぐ処方できます。相談しにくい悩みも、インターネットで処方できる体制を構築中です。わざわざ来院しなくても、効率良く治すきっかけを提供できるクリニックをめざしています。
今後の医療体制についてどのようにお考えですか。
医師が2万人不足する「2030年問題」が取り沙汰されています。医師が効率良く働くには、リモートが最優先だと思います。マイナ保険証を活用すれば、駅の診療ボックスで血圧測定や検査キットでの診断も可能になります。過疎地域ではコンビニや郵便局、町役場にボックスを設置し、リモートで薬を処方する。何かあれば地域の連携病院に電話一本で患者さんを送れる体制も作れます。都会型と過疎型、2つのパターンのリモートクリニックが必要になるでしょう。効率良く治すきっかけをすぐ提供できるクリニックをめざすことで、医療現場の逼迫(ひっぱく)を緩和できると考えています。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

私は1993年PCAM奇術世界カナダ大会で優勝し、日本奇術協会特別会員のDr.マジックとして診察中やフィリピンでマジックを披露しています。実は協会には「初対面の人にはマジックを見せる」という決まりがあるんです(笑)。指につけている相棒「じっきくん」と一緒に楽しい診療を心がけています。じっきくんという名前は、中学時代に先生が私の名前「実喜(みよし)」を読み間違えて生まれたあだ名なんです。もちろん、私の信念は変わりません。困っている人がいる所に行くのが医師の基本的な務め。その思いを胸に患者さんの希望に寄り添いながら、幅広く対応しています。また個人的には幹細胞を用いた研究に着目しています。当院では生活習慣病など慢性的な疾患はもちろん、自分の体を長く健康に保ちたいという方から、従来の治療法では改善が難しい病気を抱えた方など幅広く対応しておりますので、何か困ったことがあれば気軽にご相談ください。
自由診療費用の目安
自由診療とはボツリヌス毒素製剤注射/6万4900円

