伊藤賀敏院長の独自取材記事

川崎かかりつけクリニック

(川崎市川崎区／川崎駅)

最終更新日：2025/12/15

川崎駅から徒歩4分、京急川崎駅から徒歩1分。2025年12月開業の「川崎かかりつけクリニック」。院長の伊藤賀敏（のりとし）先生は、心臓血管治療や救急医療のスペシャリストとして川崎幸病院の心臓病センターで副センター長を務めた。その後、大手美容クリニック川崎院の院長として美容外科にも携わった、循環器と美容の「二刀流」で診療を行う医師だ。「かかりつけという言葉に強い思いがある」と語る伊藤院長は、祖父から受け継いだ地域医療への思いを胸に、失神診療や睡眠時無呼吸症候群などの専門的な治療から美容施術まで幅広く対応。「美と健康を支える人生のかかりつけ医として真摯に対応していきたい」と、患者一人ひとりに寄り添うアットホームな診療をめざす伊藤院長に、開業にかける思いや診療スタイルについて聞いた。

（取材日2025年11月28日）

祖父から受け継いだ思いを胸に、循環器と美容の二刀流
失神診療から美容施術まで専門性を生かした診療を提供
川崎の地で実現する、新しいかかりつけ医のかたち

祖父から受け継いだ思いを胸に、循環器と美容の二刀流

開業に向けてどのような思いで準備してきたのでしょうか。

実は、祖父が名古屋大学医学部卒で、愛知県で開業医をしていました。私も幼稚園の頃、祖父の診療所によく遊びに行っておりました。祖父は、私が小学校に入る直前に急逝したのですが、お葬式に街の人たちの長蛇の列ができ、みんな涙ながらにお線香をあげて祖父との思い出を語ってくださいました。その光景が今でも忘れられません。だからこそ「かかりつけ」という言葉には特別な思いがあり、祖父の思いを引き継いでいきたいという強い気持ちで開院を決意しました。「川崎かかりつけクリニック」の名前には、診療するだけでなく、患者さんの人生に寄り添い、趣味を通じても交流できるような、「美と健康を支える人生のかかりつけ医」になりたいという思いを込めています。また、「かかりつけ」の英語表記を悩みましたが、「皆さまのクリニック」と思っていただけるように「Kawasaki Your Clinic」と命名しました。

循環器内科の道に進まれた経緯を教えてください。

奈良県立医科大学時代は、部活や趣味に没頭しつつ、試験は常に100点をめざして、寝る間も惜しんで勉強していました。循環器の道を選んだ理由は突然死を予防したいと思ったからです。特に急性心筋梗塞に伴う心停止症例への「人工心肺補助装置」の導入という、脳機能の維持を図りながら、詰まった心臓の血管を広げるための緊急処置をする治療を専門にしてきました。光栄なことに「心臓救急」において、国内外で数多くの講演や実技指導の機会もいただきました。2014年から石心会川崎幸病院で心臓病センター副センター長や循環器科副部長兼救急・総合診療部副部長、医局長などさまざまな役職をさせていただき、熱い仲間と患者さんの命を救うことに全力を注いできました。石心会川崎幸病院の先輩方・同僚たち、患者さんに心から感謝しています。

循環器内科から美容外科にも挑戦された理由は何でしょうか。

開業医になっても手術を続けたいという思いがあり、美容外科の手術に興味を持ちました。2019年から湘南美容クリニックで見学や勉強を重ねる中で、患者さんに喜んでいただきたいと思うようになりました。美容クリニックの先生方は、患者さんに喜んでいただくために、美しくなるための施術に情熱を注ぐ熱い方ばかりでした。2022年から川崎院の院長を務めましたが、全国から患者さんがご来院くださいました。皆々さまに心から感謝しています。これまでの経歴から、美容施術でも日本循環器学会循環器専門医の技術を生かし、エコーで血管走行を確認することで腫れの少ない施術を工夫して行います。循環器と美容、どちらもかなり本気でやってきた自負があります。「美と健康」そして「人生のかかりつけ医」として、今後も尽力していきたいです。

失神診療から美容施術まで専門性を生かした診療を提供

特に力を入れたいという失神診療について教えてください。

循環器全般を診療できますが、失神診療に特に力を入れています。川崎市だけで年間約1万人、1日約30人もの方が失神しています。朝礼で倒れる学生のような自律神経の乱れによる反射性失神はそこまで怖くありませんが、前駆症状のない失神は心臓が原因で10～30秒程度心停止していることがあります。これは失神全体の20～30%と多く、突然死のリスクとなります。こうした患者さんには植え込み型長時間心電図モニター（ICM）で24時間365日管理します。胸にマイクロチップを入れることで、患者さんがどこにいても不整脈を検知でき、私のスマートフォンのアラームが鳴る仕組みです。心臓が止まった証拠によりペースメーカー適応や不整脈治療の判断ができます。失神診療は突然死の予防と生活の質の向上につながると考えています。

睡眠時無呼吸症候群の治療にも注力していくそうですね。

睡眠時無呼吸症候群は夜中ずっと脳が起きている状態になるため、血圧が上がりやすく交感神経の興奮で不整脈も出やすくなります。診断はご自宅で検査キットを用いて検査していただき、その結果に基づいて治療方針を決定します。また、当院では睡眠時無呼吸症候群の治療を行う際、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病や一般内科疾患も総合的に診療します。患者さんの健康を多角的にサポートしていきたいです。

美容施術で大切にしていることは何ですか。

施術においてはもともとの美しさを尊重しながら、あくまで「自然な仕上がり」をめざしています。循環器専門医としての技術を生かして、エコーで血管の走行を確認してから施術することで、腫れが少なくなるようにしています。患者さんにご希望の予算を伺い、その範囲内でベストを尽くすことを心がけています。私自身、痛みが苦手なため、痛みに対する工夫も最善を尽くしています。私は医師歴25年目で心臓救急が専門領域ですので、施術中の不整脈や血圧変動、そして重篤なアレルギー反応などの急変対応にも自信があります。光栄なことに、勤務医時代にはこれらの経験に基づいた施術を求めて、全国から患者さんがご来院くださっていたように思います。皆さまにお喜びいただけるように誠心誠意尽力いたします。

川崎の地で実現する、新しいかかりつけ医のかたち

川崎駅近くで開業された理由を教えてください。

2014年から川崎で働き、2026年で13年目となります。川崎は人情味あふれる大好きな街です。羽田空港から20分、品川・横浜から電車で8分というアクセスの良さから、市外からも患者さんが通いやすいと思います。また、発熱患者さんと美容診療の方との接触を避ける工夫として、美容診療は朝9時半から午後2時、循環器・内科診療は午後2時から午後5時半、発熱している方は午後4時以降のみと診療時間を分けています。発熱の外来はオンライン診療を積極的に行います。診察の上で電子処方箋をメッセージアプリで送信できるようにし、内服薬の自宅配達も可能にするなど、感染対策と利便性の両立を図っています。美容施術や循環器診療の方にも安心して来院いただけるよう工夫しています。私にとっても親しみ深い川崎で、皆さまに医療を通して安心を届けられたらうれしいです。

診療を支えるスタッフの皆さんについて教えてください。

現在、非常勤も合わせて10人のスタッフが在籍しています。私が最も重視したのは言葉選びが上手であること。「たかが一言、されど一言」という言葉のとおり、たった一言で人は簡単に傷つき、たった一言で救われることもあると思います。その重要性を理解し、ホスピタリティーにあふれ、人として尊敬できるスタッフが在籍してくれています。医学知識も豊富で、定期的な勉強会や急変対応のシミュレーションも実施予定です。患者さんに対する熱い思いを持つ、信頼できるメンバーがそろっています。

今後の展望と、読者へのメッセージをお願いします。

クリニック名の英語表記を「Kawasaki Your Clinic」としたのは、当院を「皆さま自身のクリニック」だと思ってほしいから。一般的なクリニックのイメージを超え、皆さまと音楽の演奏会や野球観戦をするなど、アットホームでフレンドリーな雰囲気をつくっていきたいと思っています。循環器と美容は一見すると異なる分野ですが、どちらも「かなり本気で」取り組んでいます。医師人生をもう一回やり直すとしても、同じ道を進みたいと思うほど、どちらも奥深くて本当に面白い領域です。今まで出会ったすべての方々に心から感謝し、「美と健康を支える人生のかかりつけ医」として、真摯に患者さんに寄り添っていきます。ぜひお気軽にご相談ください。