稲森 晋平 院長の独自取材記事
尾張旭いなもり整形外科
(尾張旭市/印場駅)
最終更新日:2026/03/27
印場駅を最寄りとする「尾張旭いなもり整形外科」は、2025年11月に開業した。薬局に隣接し、目の前に駐車場があるため車でのアクセスも容易だ。白やグレー、ベージュで統一された院内は、シックで落ち着いた雰囲気。院長の稲森晋平先生は、骨粗しょう症治療に伴う合併症に関する治療が専門だ。診療では痛みを取り除くための治療に加え、予防を重視しているという。リハビリテーションにも注力しており、再発防止や体調管理まで対応することを診療の柱としている。稲森院長のこれまでの歩みや同院の特徴、今後の意気込みなど話を聞いた。
(取材日2026年3月10日)
痛みが発生する前の「予防」を重視した診療
開業前は、複数の医療機関に勤務されていたのですね。

愛知医科大学を卒業した後は、同大学病院の整形外科に入局しました。その後は、医局から派遣され、複数の病院で勤務しましたね。2020年からは地域医療を学ぶために名古屋市天白区の元八事整形外科・形成外科へ入職、その後、副院長に就任しました。機器が充実していて患者数も多い、クリニックとしては規模が大きい整形外科でありつつ、地域の患者さんとより近い距離感で向き合える環境でもあったので開業する前にそちらで経験を積めたことはとても良かったと思っています。
病院で勤務をされていた頃は、どんな患者さんを診ていらっしゃったのでしょうか。
骨折や人工関節などの手術を担当し、術後の経過も診ていました。また、骨粗しょう症に伴う合併症の研究もしていました。骨粗しょう症は、治療をすることが大切なのはもちろん、発症する前に予防をすることが大切。大腿骨の骨折に関するデータで、先進国の中で日本は骨折の数がとても多いということも言われています。骨粗しょう症に関しては啓発活動から治療まで、もっと積極的に取り組む余地があると考えています。加齢とともに骨が弱っていくという事実があまり知られていないことは、大きなリスクがあります。例えば「腰が痛む」と来院した患者さんにエックス線検査をしてみたところ、圧迫骨折をしていたというような事例も珍しくありません。予防ができる部分もあるので、力を入れていきたいと考えています。
骨粗しょう症の早期発見に注力されているのですね。

はい。骨の状態を精密に診断するための骨密度測定装置を導入しています。着替えをして検査に臨まれる方も多いので個室に設置しました。骨密度を測定する手法はいくつかありますが、当院では腰椎と大腿骨を測定する機器を用いて検査を行っています。この検査法は比較的精密な診断ができるとされています。検査の結果、骨粗しょう症の傾向がみられた場合には、主に投薬とリハビリで予防と進行抑制をめざしていきます。骨粗しょう症は男性より女性に多く見られ、特に閉経後に進行しやすいという特徴があります。自治体から検診のクーポンが届くと思うので、ぜひ活用してもらいたいですね。
MRIやリハビリ室など、充実した設備がそろう
MRIなどの検査機器を含めて設備が充実していますね。

設備面では、先ほどお伝えした骨密度測定器の他、エックス線検査機器、AIを搭載した先進のゼロヘリウムMRIを導入しています。当院のMRIは撮影時間が短く、検査時の音も比較的抑えられているのが特徴です。撮影時間が長いと負担も大きいですから、その点でメリットは大きいのではないかと思います。また、被ばくの心配なく撮影をすることができるのも特徴ですね。MRIはエックス線では診断が難しい骨折、靭帯や軟部組織の損傷などが疑われる際に使用します。精度の高い検査から診断、治療までを一貫してスムーズに進められることは当院の強みだと自負しています。また、院内はバリアフリー設計とし、お手洗いも多目的トイレを採用しました。松葉杖をついて来院される方や深く座るのが大変という方もいますので、そういう方に配慮した高さの椅子を待合室に設置しています。
リハビリ室はガラス張りで開放感もあり、広々としていますね。
リハビリ室を周りから見えやすい位置に配置すること、スペースを広く取ることにこだわりました。リハビリ室には電気治療器、腰や足が痛む方のためのウォーターベッドや、頚椎・腰椎けん引器、骨折用の超音波機器などを備えています。医師、理学療法士、事務スタッフなどが連携して患者さん一人ひとりに適したリハビリメニューを提供しています。最近はスマートフォンを長時間見ることでストレートネックになってしまう、いわゆる「スマホ首」の方も多いんです。当院ではマッサージなど従来のリハビリメニューだけでなく、姿勢や歩行に関する指導も行い、痛みが出る前に予防することをめざしています。また、スポーツをしている方には、体を痛めにくいフォームのアドバイスをすることもあります。リハビリ室にボールなどスポーツ用品が置いてあるのはそのためです。近隣の高校でスポーツに打ち込んでいる学生さんも通われています。
リウマチがご専門の先生がいらっしゃることも特徴的ですね。

リウマチの治療は奥が深いですので、自分で診るより専門家に診ていただきたいと考え、愛知医科大学整形外科の主任教授である高橋伸典先生に月に2日、外来をお願いしています。高橋先生のご専門は、関節リウマチや変形性関節症の治療です。「教授」と聞くと、受診のハードルが高く感じるかもしれませんが、高橋先生はとても穏やかな先生ですので、安心して受診してください。手術が必要となった場合、同大学病院をはじめとする医療機関と連携して治療を行います。
痛みがひどくなる前に、気軽に来院を
先生が医師をめざし、整形外科を選択された経緯をお聞かせください。

代々医師の家系でして、父方と母方の祖父、そして父も医師です。幼稚園の頃、将来の夢を書いた紙をタイムカプセルに入れたことがありました。30年後くらいに自宅へカプセルが送られてきたので中を見てみたところ、「お医者さんになりたいです」とすでに書いてありました。この道に進むよう両親から強制されたことはまったくありませんでしたが、医療に携わる家族の姿を見て育ったことが、今に通じているんでしょうね。祖父はそれぞれ外科と内科で開業しており、父は麻酔科の勤務医でした。私自身、子どもが好きなので小児科にしようか、それとも父と同じ麻酔科にしようか、と診療科を決めるときには迷いもありましたが、治療や手術の結果を目で見て認識しやすい点で整形外科がいいな、と。当時の医局の雰囲気が良かったことも決め手となりました。
患者さんと接する上で心がけていらっしゃることはありますか。
患者さんが威圧感を感じないような対応を心がけています。こちらは何げなく発した言葉でも、患者さんの捉え方によってはマイナスな印象を与えてしまうこともあるのでなるべく意図が伝わるようにお話ししています。もちろん人と人とのお付き合いなので相性の良し悪しも関係する部分だとは思っています。患者さんからは、「先生の話を聞いたら楽になった」と言ってもらえるケースもあります。「病は気から」という言葉があるとおり、こちらの言葉一つで患者さんのつらさが軽減されることもあるので言葉選びは大切だと思います。高校まで関西にいたので、つい関西弁が出てしまうのですが、なるべく出ないよう気をつけています(笑)
今後の展望と、読者へのメッセージをお願いします。

今後は理学療法士の増員や柔道整復師の採用などで今以上に体制を強化して、患者さんに対するケアをさらに充実させていきたいと考えています。また、身内に美容皮膚科の医師がいますので、将来的にはそちらと連携して美容に関するメニューを提供していくことも思い描いています。整形外科には、我慢に我慢を重ねて来られる方が多いのですが、痛みが限界に近くなってからではなく、そうなる前に来院していただけるようになっていきたいですね。そして、痛みを取ることを図るだけでなく、患者さんの小さな不安にも寄り添い、良きサポート役となるようなクリニックにしていきたいと思います。

