吉澤 脩人 院長の独自取材記事
大井歯科クリニック
(品川区/大井町駅)
最終更新日:2026/01/29
大井町駅西口から徒歩4分、再開発が進みながらも下町の人情味が残る街並みの中に「大井歯科クリニック」はある。2025年に継承開業した同院だが、この場所で歯科医療が始まったのは約40年前のこと。木目を基調とした落ち着いた院内は前院から引き継いだもので、長年通い続ける患者にもなじみ深い。院長の吉澤脩人先生が掲げる理念は「予防を愉しむ」だ。「歯科医院は歯を削るところではなく、そうならないようにする場所」と穏やかに語る吉澤院長は、美容院感覚で気軽に通え、一人ひとりに合ったブラッシング方法などを提案する歯科医院をめざしている。取材では、予防歯科への思いや大井町で根差していく展望についてじっくり話を聞いた。
(取材日2025年12月23日)
40年の歴史を継承しつつ「予防を愉しむ」歯科医院へ
まずはクリニックの成り立ちや特徴についてお聞かせください。

当院は2025年に継承開業したばかりのクリニックですが、実はこの場所にはおよそ40年前から歯科医院があり、前院の先生、そのまた前の先生も継承という形で診療を続けてこられたため、15年、20年と長く通い続けてくださっている患者さんが多くいらっしゃるんですよ。そうした信頼関係を途切れさせないよう、内装もあえて変えずに木目を基調とした落ち着いた雰囲気を残しています。大井町とは今、再開発が進んで新しいビルや商業施設が建ち始めていますが、一方で昔ながらの下町の人情味も残る場所。都心のわりに温かさを感じられるのが魅力ですね。既存の患者さんを大切にしながら、この町で自分なりの予防歯科を実践していきたいと考えています。
先生が歯科医師を志したきっかけを教えてください。
正直なところ、最初から強い志があったわけではありません。高校時代はバレーボールに打ち込んでいて、将来のことは漠然としていました。ただ、親が歯科医師で、診療所と家が併設されていたので、歯科医療は身近な存在だったんです。子どもの頃、診療所に遊びに行くと、患者さんから「大きくなったね」と声をかけていただいて、それがうれしかった記憶があります。高校の先生に背中を押されたこともあり、それなら資格を持っておいたほうがいいかなと歯学部へ進みました。歯科医師になってからは、時間がたつにつれて自覚が芽生え、患者さんと向き合う中でやりがいを感じるようになっていきましたね。
開業に至った経緯やクリニックの理念についてお伺いします。

歯科医師になってからは大型商業施設内の歯科医院などで、老若男女さまざまな患者さんを診てきました。多くの方を効率良く診る病院と、一人ひとりにじっくり向き合う病院の両方を経験する中で、ある考えに至ったのです。それは「歯の健康は八割方、患者さん自身のセルフケアで決まる」ということ。しっかり歯を磨けるように導ければ、治療は減り、健康寿命も延ばせるはずだと。そこで掲げた理念が「予防を愉しむ」です。愉快の「愉」という字を使っているのは、歯を守ることを義務ではなく心から楽しんでほしいという思いから。歯科医院はどうしても行きたくない場所と思われがちですが、美容院のような感覚で気軽に通えて、アパレルショップで服を選ぶように自分に合った歯ブラシをアドバイスしてもらえる。そんな身近な存在をめざしています。
自分に合った歯ブラシを知ることが予防の第一歩
予防歯科では具体的にどのようなことを行うのでしょうか。

当院では、来院される度に汚れの染め出しを行います。どこに磨き残しがあるのかを患者さん自身の目で確認していただき、それを毎回繰り返すことでブラッシングの上達をめざします。通い続けるうちに「前より汚れが減った」と実感できると、歯磨きへのやる気もきっと上がるでしょう。さらに今はテクノロジーも発展していますから、染め出しの結果を記録として残し、ご自宅でも見返していただけるようにしていきたいと考えています。もう一つ大切にしているのが、患者さん一人ひとりに合った歯ブラシや歯磨き粉をアドバイスすること。歯並びや口の中の状態は人それぞれですから、まるで服のコーディネートのように「この方にはこの組み合わせがお勧め」と提案します。自分に合ったマイブラシセットで、オーラルケアを楽しんでいただければうれしいですね。
患者さんへの指導で工夫されていることはありますか?
お仕事や家事で忙しい方が多いので、歯磨きの回数よりも「質」を高めることを重視しています。毎日何十回磨いても、同じ場所が磨けていなければ意味がありませんから。一回のブラッシングでどう動かすか、どこを意識するかをお伝えするようにしていますね。ただ、一度にあれこれ言うと歯科医院に行くのがおっくうになってしまうかもしれないですよね。だから毎回一つずつ、少しずつステップを踏んでいくんです。「今回はここだけ意識してね」と伝えて、次回また染め出しの結果を見ながら次のアドバイスをする。長いお付き合いになるわけですから、そんなに急ぐ必要はないんですよ。患者さんの汚れ具合や生活スタイルに合わせて、オーダーメイドで指導内容を変えていくことを大切にしています。
診療体制や雰囲気についてもお聞かせください。

当院は基本的に少人数体制で、ゆったりと時間を取って診療しています。効率を追うよりも、一人ひとりとしっかりコミュニケーションを取りたいという思いがあるからです。特にメンテナンスで来てくださる方には、お口の状態だけでなく、日々の生活の話もお聞きすることがあります。ご近所さんが来てくださることが多い地域ですし、高齢の患者さんの中にはおしゃべりを楽しみに来てくださる方もいらっしゃいますから、そういう時間も大切にしたいですね。また、土日も診療を行っているのは、平日お仕事で来られない会社員の方や学生さんのためです。基本的には予約された方が優先ですが、突発的な痛みなど急患にも柔軟に対応しています。当院で難しい症例については、大学病院などへご紹介することも可能ですので、安心してご相談ください。
歯を削る場所ではなく、守る場所でありたい
歯科医師としてやりがいを感じる瞬間を教えてください。

一番うれしいのは、患者さんから「ありがとう」と言っていただける瞬間ですね。自分が関わったことでその方の生活の質が上げられたら、歯科医師として大きなやりがいを感じます。今、当院には前院の時代からの患者さんで、3歳から通い始めて今は17歳という方がいらっしゃるのですが、一人の患者さんを生まれてから高齢になるまで診ることができるのも、この仕事の醍醐味ではないでしょうか。口は体の入り口ですから、そこが汚れていれば全身に影響が及びます。口腔ケアをしっかり行えば、全身の疾患を防ぐことにもつながると考えています。歯の健康から健康寿命を延ばしていく。心も体も健康に、最後までおいしいものを食べていただく。そんな目標を持って、日々の診療に向き合っています。
今後の展望についてお聞かせください。
まずは今いらっしゃる患者さんに、これからも通い続けていただけるクリニックになること。それが第一です。前院から続く歴史と信頼関係の構築を途切れさせないようにしながら、少しずつ自分の色を出していければと思っています。めざしたいのは、痛みがあるから来るのではなく「歯磨きがうまくなりたい」「もっと自分の歯を守りたい」という気持ちで通ってくださる患者さんを増やすこと。予防に対する意識を持った方々と、長いお付き合いができればうれしいですね。歯の健康に関わりの深い食生活についてもアドバイスできるように、現在は勉強中です。なお、矯正治療については前院の先生が引き続き担当してくださっているので、ご希望の方はお気軽にご相談ください。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

歯科医院にあまり通ったことがない方にも、将来のために予防を始めてほしいと思います。治療で痛い思いをしないために、痛くなる前にお越しください。また、「歯ブラシってたくさん種類があって、どれを選べばいいかわからない」というお悩みでも構いません。どんな質問でも気軽に相談していただければと思います。私は歯科医院を「歯を削るだけの場所」だとは思っていません。そうならないようにする場所、歯を守る場所へと転換していくことが、これからの歯科医療には必要だと考えています。自分の歯にちょっと興味を持った時、ふと気になることがあった時に頼っていただける存在でありたい。「予防を愉しむ」という理念のもと、皆さんのお口の健康を一緒に守っていけたらうれしいです。
自由診療費用の目安
自由診療とは矯正/40万円~

