細井 洋平 院長の独自取材記事
細井ファミリークリニック
(さいたま市南区/武蔵浦和駅)
最終更新日:2025/12/25
武蔵浦和駅・南浦和駅から徒歩約15分の閑静な住宅街に、2025年11月に開院した「細井ファミリークリニック」。細井洋平院長は幼少期に喘息で小児科医の診療を受けていた経験から自らも医師を志し、病院で小児科診療を研鑽。自身が育った地元での開業を決めた。小児科をメインとしながら、幅広い年齢層が受診できるファミリークリニックとして地域医療に貢献する同院。明るく清潔な雰囲気の待合室は天井が高く作られ、待ち時間をゆったりと過ごすことができる。また、院内がバリアフリー設計で、授乳室、子ども用トイレなどの設備がある点もうれしいポイントだ。「小さいお子さんが“先生、ありがとう”と言って帰る、そんな風景に憧れていました」と話す細井院長に、クリニックの特徴や診療の際の心がけなどについてじっくりと話を聞いた。
(取材日2025年12月1日)
子どもの笑顔を守り、家族に寄り添う地域のかかりつけ
医師をめざされたきっかけを教えてください。

僕はこの地域で生まれ育ちました。小さい頃に喘息の治療のため、当院からもそれほど離れていない場所にあるクリニックに通っていたんです。そこで出会った小児科の先生が、いつも優しく声をかけてくれて、不安だった気持ちが楽になったことを今でも覚えています。その経験がきっかけで、「自分もこんなお医者さんになりたい」と思うようになりました。小学生くらいの頃はぼんやりとした夢でしたが、高校生になって進路について考えるようになった頃に、小児科医になりたいという思いが強くなっていったんです。そのため医学部を受験する頃には、進路は小児科一択。迷うことはありませんでした。今こうして地元で開業し「あの頃の僕が感じた“安心”を、今度は僕が届けていきたい」そんな気持ちで診療にあたっています。
開業されるまで、どんな経験を積んでこられたのでしょうか?
医学部時代には、小児科だけでなく産婦人科や感染症など、子どもの健康に関わる幅広い分野を学びました。微生物の研究所では感染症の仕組みに触れ、病気の背景を深く理解する経験も積みました。その後、さいたま市民医療センターやキッコーマン総合病院で、小児科一般から新生児医療まで幅広く診療。勤務医時代には、アトピー性皮膚炎や花粉症、喘息などのアレルギー疾患にも対応し、外来で多くの親御さんと向き合ってきました。子どもの頃から「町医者になりたい」という夢を持っていたので、大学病院で働いていた頃は、重症の患者さんを診ることも多く、正直心苦しくてきつい時期もありました。でも、その経験が今になって大きな財産になっています。重症例を診てきたからこそ、病気の背景やリスクを広い視野で考えられるようになり、ちょっとした症状にも早く気づけるようになったんです。
こちらのクリニックではどんな診療をしているでしょうか?

小児科を中心に、ご家族みんなが安心して通えるファミリークリニックをめざしています。お子さんが風邪をひくと、お母さんやお父さんも体調を崩してしまうこと、よくありますよね。そんな時に「みんなで一緒に診てもらえたら……」という親御さんの気持ちに応えたいという想いから、ご家族そろって受診できる体制を整えました。当院では、小児科に加えて内科診療にも対応していますので。風邪、胃腸炎や腹痛、貧血、慢性便秘など、日常的な症状もご相談ください。もちろん、お子さんだけでなくお一人での受診も大歓迎です。赤ちゃんからご高齢の方まで、幅広い年齢層の方に寄り添いながら、地域の皆さんの健康を支えていきたいと考えています。
わかりやすい言葉で話し、患者の小さな変化も感じ取る
お子さんの診療で、心がけていることは何ですか?

診察では、お子さんにわかりやすい言葉で話すことを心がけています。お子さんはとても素直なので、触診で痛みがあればすぐに表情や仕草に出ます。聴診などでも、そうした小さな反応を見逃さないことが大切です。継続的に診ているお子さんなら、いつもとの違いに気づけるよう、細やかに観察しています。また、親御さんの声にもしっかり耳を傾けます。「なんだかいつもと違う……」という直感は、とても重要なサインになることが多いんです。だからこそ、保護者の方の言葉を大切にしながら診察を進めています。できる限り一人ひとりと時間を取り、表情や仕草にも注意を払いながら、丁寧に診ること。それが僕の診療の基本です。
最近の子どもの疾患や症状で、気になる傾向はありますか?
新型コロナウイルスの感染拡大以降、「気持ちが悪い」「頭が痛い」といった理由で学校に行けないお子さんが増えているように感じます。心療内科に関わる症状を示す子どもも少なくありません。以前、総合病院に勤務していた頃は、周囲の開業医の先生方から、こうしたお子さんの検査依頼を受けることも多くありました。また、子どものアレルギー、特に花粉症は年々増加傾向にあります。喘息はコントロールがしやすくなってきた一方で、小さい頃から花粉症に悩む子が増えているのです。当院では、採血によるアレルギー検査を行い、適切な治療につなげています。ご家庭では、食欲の低下、朝起きられない、頭痛や腹痛を頻繁に訴えるなどの変化があれば、早めに相談してください。
エックス線検査室もあるそうですね。

病院勤務だった頃、地域のクリニックに通うお子さんの咳が長引くと、親御さんが「肺炎ではないか?」と心配されて病院に連れてこられるケースが多くありました。ほとんどの場合、かかりつけのクリニックにはエックス線検査の設備がなく、病院で詳しく撮影してほしいというご要望だったんです。その経験から、地域のクリニックでも迅速に検査できる環境を整えたいと考え、エックス線検査室の導入を決めました。開院して間もない頃、検査で肺炎を早期に見つけられたケースもあり、導入して良かったと感じています。エックス線検査は、咳や発熱が長引く場合や、胸の痛み・呼吸の異常がある時に特に役立ちます。かかりつけの医院で検査ができることは、親御さんにとっても大きな安心につながりますし、必要に応じて速やかに専門医療機関へ紹介することも可能です。「不安をできるだけ早く解消したい」という想いで、設備面も工夫を重ねています。
小児科経験豊富なスタッフとともに地域医療に貢献
スタッフの方々についても教えてください。

ありがたいことに、当院の看護師や事務スタッフは小児科での勤務経験がある方ばかりです。看護師はみんな、お子さんへの接し方がとても上手で、頼もしい存在です。浣腸などの処置にも慣れていますし、当院ではアレルギー検査のために小さなお子さんの採血を行うことがありますが、採血が上手なスタッフがそろっているので安心です。毎朝の朝礼では「患者さんお一人お一人を大切にしましょう」という言葉を共有し、スタッフ同士も日常会話を交えながら、笑顔でコミュニケーションを取っています。これからもチーム全員で、地域の皆さんに寄り添っていきたいと思います。
院内を設計する上で、工夫されたところはありますか?
診察室は3部屋あるのですが、そのうちの1つは発熱の外来専用にして、一般の患者さんと待合室で同席しないよう、動線を分けています。これは新型コロナウイルスの感染症拡大時の経験なども踏まえ、計画していたことの一つですね。また、院内はすべてバリアフリーに設計していて、ベビーカーのまま待合室から診察室、トイレまで段差なしで移動できます。子ども用トイレを併設した広めのトイレルームも設け、待合室の横には授乳室もあります。車での通院もしやすいようにと、駐車場は5台分確保しました。待合室にはデジタルサイネージを設置し、呼び出しや情報提供に活用することで、少しでも快適な時間を過ごせるよう工夫しています。「ここに来れば安心」そんな場所でありたいと考え、細部まで心を込め設計しました。
今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

僕自身が小さい頃に通っていたクリニックで、子どもが「先生、ありがとう」と笑顔で帰っていく姿に憧れていました。当院も、そんなふうに子どもたちから喜んでもらえる場所にしたいと思っています。もちろん、お子さんだけでなく、ご家族も含めて地域の幅広い年齢層の方々に頼っていただける存在になることが目標です。風邪や発熱、咳などのちょっとした症状でも、「ここなら安心!」と思っていただける雰囲気を、スタッフと一緒につくっていきます。困ったことがあれば、どうぞ気軽にご相談ください。皆さんの不安を少しでも早く取り除き、笑顔で過ごせる毎日をサポートしたいと考えています。

