舌を鍛えて唾液を十分に分泌
口腔機能低下症のトレーニング
マチコ歯科
(北区/東十条駅)
最終更新日:2026/03/09
- 保険診療
私たちの生命は食事や呼吸によって保たれている。口はその入り口であり、またコミュニケーションの基本となる会話を行う重要な器官だ。噛む、飲み込む、呼吸する、話すなど、口や喉が持つ働きを「口腔機能」といい、それが衰えると食事などに困難を来し、さらには誤嚥性肺炎の原因となったりと全身の健康にも影響することがある。80代になるとほとんどの人が口腔機能の衰えを感じるそうだが、「マチコ歯科」の小杉真智子院長によると、50代でも思いあたることがあれば、また何もなくても70代からの検査を勧めている。人生100年時代に必要な「口腔機能」と、その衰えが及ぼす問題、それを予防するための方法について、小杉院長に教えてもらった。
(取材日2026年2月20日)
目次
口腔機能の低下はトレーニングで改善が図れることも。舌を鍛え、唾液を十分に分泌して、健康な口と体を
- Q「口腔機能」とはどのようなものを指すのですか?
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A
▲丁寧な説明と温かな雰囲気が印象的な小杉院長
口腔機能とは口や喉が持つさまざまな働きのことです。具体的には、噛む、飲み込む、呼吸する、話すなどが挙げられます。これらを維持するためには、健康な歯を保つだけでなく舌や喉の筋肉の動きも重要です。例えば「食べる」という行為は、食べ物を歯でしっかりと咀嚼した上に、それを舌で送り込んで飲み込むという一連の動きで成り立っています。舌の動きが悪いと食べ物が正しく送り込まれずに肺に入ってしまい、誤嚥性肺炎の原因になることもあります。また唾液の分泌が不十分だと、特にパンのような乾いた食べ物が喉に詰まったりむせてしまうかもしれません。当院では虫歯や歯周病だけでなく、このような口腔機能の衰えにも着目しています。
- Q口腔機能が衰えたときに出る症状や原因を教えてください。
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A
▲患者一人ひとりの生活背景に寄り添ったアドバイスが特徴
舌の筋肉がうまく動かなくなると、ろれつが回らないと感じることがあります。脳梗塞などの脳神経疾患でない場合、その多くは加齢による筋肉の衰えによるものです。舌は筋肉でできており、体の他の部位と同じように、鍛えないと弱くなってしまうんですよ。その他にも、飲み込みにくい、むせやすい、口が乾くなど、舌の老化や唾液の分泌量低下によりさまざまな症状が現れます。舌の表面にある白く見える「舌苔」が厚くなり、口臭や誤嚥性肺炎の原因となることもありますね。このような症状が何度か続くようであれば、それは口腔機能低下症のサインかもしれません。
- Q口腔機能の低下を放置すると、どのようなリスクがありますか?
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A
▲総合的に診療を行う環境が整っている
食事が取りにくくなるということが体にとって最も大きなリスクです。生命の維持には栄養が必須で、口は食べ物の入り口ですから。咀嚼や嚥下が困難になって栄養が取れなくなれば、体の至るところに影響が出てしまいます。また、食事は人間の本能的な欲求であり、見た目や香りを楽しんだり、噛み心地や味を感じたりと、五感をも刺激するもの。何かしらの方法で栄養を取り入れることができても、口から運ぶおいしい食事にはかなわないと思います。その他にも歯周病と糖尿病の関係性のように、口腔内の状態が全身に及ぼす影響は大きいです。唾液には口腔内を清潔に保つ役割もありますから、その分泌が減ると口腔内の状態も悪くなってしまいます。
- Q口腔機能低下症の検査について教えてください。
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A
▲機能に応じたオーダーメイドの治療を進める
口腔内や舌の衛生状態、乾燥、噛む力、舌の力や動き、咀嚼や嚥下を、それぞれ専用の機器などで検査します。「オーラルフレイル」として広く知られるようになった口腔機能低下症には診断基準があり、50歳以上の方ならば保険診療で検査を受けられます。80代になるとほとんどの方が口腔機能の衰えを感じますが、人生100年時代、いつまでもおいしく食べて笑顔で過ごすためには「予防」の意識が大切です。少しでも気になることがあれば50代でも早すぎることはありませんし、何もなくても70歳を過ぎたら検査を受けることをお勧めします。定期検診での虫歯や歯周病のチェックと合わせて、口腔機能低下症の検査も受けるのが良いでしょう。
- Q口腔機能低下症だった場合、どのような治療を行うのですか?
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A
▲舌や口周りの筋力トレーニング方法や自宅ケアのポイントも伝える
口腔機能低下症と診断された場合には、2~3ヵ月ごとに目標を立てて改善をめざします。ご自宅でのケアがメインとなり、具体的な内容は、舌のストレッチや発声トレーニング、唾液腺を刺激するマッサージ、舌のクリーニングなど。そのための専用器具や使用方法については歯科医師や歯科衛生士からお伝えし、同時に食事内容や噛み方といった日常生活で取り入れやすいアドバイスも行います。すぐに効果が見られないからと諦めずに、楽しみながら毎日の習慣にしてください。そうして1ヵ月間ご自宅で続けた結果をまた歯科医院で測定し、当院では歯科衛生士がその内容についてわかりやすく説明をします。

