幡手 隆雄 院長の独自取材記事
たかおクリニック メンタル総合ケア
(江東区/門前仲町駅)
最終更新日:2026/03/19
都営大江戸線と東京メトロ東西線の門前仲町駅から徒歩1分。精神科・心療内科を診療する「たかおクリニック メンタル総合ケア」は、2025年10月に開業した。平日は夜9時半まで診療を行い、働き盛りの世代の心の健康を支えている。院長の幡手(はたて)隆雄先生は、都内や埼玉県の病院で一般精神科の研鑽を積んだ後、精神神経系の病気全般を専門に扱う晴和病院で発達障害と睡眠障害の専門外来を担ってきた専門家だ。患者の話をよく聞き共感することと、わかりやすい言葉で丁寧に説明することを重視し、二人三脚で病気の出口をめざす。「一人で迷わず、気軽にご相談を。考える頭は、2つあったほうがいいですから」と優しくほほ笑む院長に、診療や患者への思いについて語ってもらった。
(取材日2026年2月25日)
一般精神科を土台に発達障害と睡眠障害も専門的に診療
精神科をご専門とされたきっかけとご経歴をお聞きします。

父と祖父が医師でしたので、僕も自然と医師をめざすようになりました。精神科を専門としたきっかけは、精神科救急を有する病院で研鑽を積んだことです。精神科の研修では、かなり調子が悪い状態で入院された患者さんが、3ヵ月以内の治療を終えて帰って行かれる姿がたくさん見られたのが印象的で、この道を志しました。初期研修を終えた後、東京科学大学に入局。大宮厚生病院でさらに研鑽を積み、うつ病や躁うつ病、統合失調症、アルコール依存症、てんかん、認知症など、精神科の一般的な病気の診療をたくさん経験させていただきました。精神科は、患者さんの状態が少しずつでも、わかりやすく良くなっていくようつなげられるところが魅力だなと思っています。
どういった経緯で開業に至ったのですか?
開業前は新宿区にある晴和病院で、発達障害と睡眠障害の外来を担当していました。現在も勤務しており、クリニックとの二足のわらじです。晴和病院は睡眠障害の中でも過眠症を得意としており、ナルコレプシーや突発性過眠症の他、クライネ・レビン症候群といった特殊な疾患も扱っているため、基本的にご紹介で来院される、非常に複雑な病態をお持ちの患者さんがほとんどです。そんな中、精神科的な問題で困っている方が気軽に受診できる場所を作り、社会復帰の一助になれたらいいなという思いもあって。精神科の病気全般を診られるようになった自負もありましたので、開業に至りました。門前仲町はもともと好きな街なんです。働き盛りの世代の方がたくさん暮らしているのですが、精神科のクリニックは比較的少ないこともあり、親和性を感じてこの街を選びました。
実際にどのような患者さんが来院されますか?

主に20代から30代くらいの若い方がいらしてます。悩みにはだいたい3つのパターンがあり、そのうち1つは適応障害です。職場での人間関係や仕事量に押しつぶされて、調子を崩してしまう。このようなストレス性の病気でいらっしゃる方が多いですね。2つ目がうつ病です。遺伝的な要素や体質など、体の中から出てくる内因性の病気で、若い方は特に生物学的要因の大きい躁うつ病のケースがほとんどですね。そして3つ目は発達障害や睡眠障害で、最近ご相談が増えている印象を受けます。
前向きに治療に臨めるような寄り添った診療
診療を行う上で大切にされていることを教えてください。

開業前の経験で患者さんに共感することの大切さを学び、現在も心がけている部分です。精神科には認知行動療法をはじめ、さまざまな治療技法があります。もちろんこのような技法も重要ではありますが、もっと基本的な、しっかりと話を聞くことや、患者さんにわかりやすい言葉で説明してあげることの積み重ねが、関係を築く上で非常に重要であると考えています。会話で心がけているのは、患者さん中心に話をしてもらうこと。患者さんは会話の中で、病気を見分けるヒントとなることを言われます。それを精神科の専門用語に切り替えて、再度患者さんに確認しながら状況を整理していきます。精神科の場合、うつ病であればこの形、統合失調であればこの形というように、疾患によって表出される症状の形があるので、それがセットで表れているかどうかの確認も欠かせません。
患者さんにはどのようなアプローチをされるのでしょうか。
基本となるのは、精神療法です。悩みを聞いて、原因がストレス性のものか、環境に由来するものか、内因性の病気であるのかを見分けることが僕の仕事です。ストレスや環境が原因であれば、環境調整をしたり、カウンセリングを受けてもらいます。病気そのものが原因であれば薬物療法を行うこととなりますが、「精神科の薬を飲みたくない」という患者さんも当然いますので、治療の選択肢を提示し、患者さんご自身に選んでいただいています。
薬を使った治療に関してはいかがですか?

精神科の場合は少し難しい部分もあって、例えばうつ病と診断された方に対して、いくつかある薬の選択肢の中で、1つの薬しか効果が見込めないことがしばしば起こり得ます。そのため「効果が期待できない場合、次はこの薬を使いましょう」と、あらかじめ優先順位と見通しを伝えることが大切です。患者さんが安心して治療に臨めるよう、行き当たりばったりではなく、治療計画を丁寧に説明することを意識しています。また、精神科の薬は高いプラセボ効果が見込めると言われており、患者さん自身が「治療を頑張ろう」と思っていなければうまくいかないことも多いんです。いかにして患者さんのやる気を引き出せるかという点も治療の大きなポイントかもしれないですね。こちらの押しつけではなく、患者さんと一緒にやってみるというスタイルで、日々の診療にあたっています。
こちらならではの診療はございますか?
当院の得意分野の一つが、発達障害です。その中でも特に僕は、日中の眠気にお困りで、ADHD傾向のある女性の診療を専門的に行ってきました。仕事中に居眠りをしてしまうなど、社会生活に大きく影響する可能性がありますので、適切な治療を行うためにも受診いただければと思います。また、当院は睡眠検査に非常に強い晴和病院と提携関係にあるので、スムーズなご紹介が可能である点も強みであると考えています。晴和病院は、さまざまな睡眠疾患に対応可能な検査環境を整えている医療機関です。当院に来ていただければ適切な鑑別診断ができると思いますので、お気軽にご相談ください。
勤怠の乱れは受診のサイン。一人で悩まず気軽に相談を
平日は夜遅くまでまで診療を行われていますね。

はい。火曜から金曜は14時半から21時半まで、土曜と日曜は10時半から18時半まで診療を行っています。僕は現在も晴和病院に勤めているため、午後からしか開けられないというのが正直なお話なのですが、働かれている方の中には午後しか受診できない方が結構おられると思うんです。僕自身、病院に行きたくても、時間の問題でなかなか行けないという経験が何度もありました。皆さんに受診してもらいやすい診療時間に設定できているのではないかと思います。
精神科はどんな時に受診すべきですか?
現役世代の方であれば、調子が悪い時、はじめに出てくる症状は、遅刻や欠勤が増えるといった勤怠の乱れです。あるいは、友達との約束に行けなかったり趣味を楽しめないなど、土日休みのどちらも動けないような場合。他にも、よくわからないけれど涙が出てくるといった症状のある時は、受診のサインといえるでしょう。これらの原因がストレス性のものであれば休むしかありませんが、中にはうつ病が隠れているケースもあります。うつ病の場合、できるだけ早く治療を開始することによって、つらい症状が早く改善しやすくなることが見込めますので、体がだるい、頭がぼーっとして動けないなど、いわゆる制止症状が目立つ時は、早めに受診されることをお勧めします。
今後のご展望と、読者へのメッセージをお願いします。

ありがたいことにたくさんの患者さんにいらしていただいており、初診の方をお断りすることも増えてきてしまっている状況です。今後はドクターを増やして間口を広げ、患者さんが困っている時にすぐに受診できる体制を整えていきたいです。また、心理検査やカウンセリングを当院で行えるように専門のスタッフに入っていただいて、より受診しやすいクリニックづくりに努めてまいります。悩んだり、困っている時は1人で迷わず、どうぞお気軽にご相談ください。考える頭は、2つあったほうが良いですから! 患者さんのお悩みについて、一緒に考えていくことができたらと思います。

