稲毛 恵 院長、吉野 華苗 先生の独自取材記事
あしたばウェルケア歯科
(千葉市中央区/西登戸駅)
最終更新日:2025/12/15
千葉市中央区登戸で親子3代にわたって医療を提供している「あしたばウェルケア歯科」。稲毛恵院長は、コロナ禍で内科クリニックを閉院した父を元気にしたいと、2025年10月に開業を決意。同じく口腔外科出身の吉野華苗先生と二人三脚で診療にあたる。同じ医局の先輩後輩であり、ママ友、同僚でもある2人。その息はぴったりで、互いを高め合うような関係性が感じられた。飾らず自身の気持ちに真っすぐな稲毛院長と、冷静に状況を見る吉野先生。タイプは違えども、患者との信頼関係を第一とする方針は同じだ。口腔外科の専門性を生かした治療から、訪問診療でのケアまで、幅広い世代の健康を支える地域密着型の歯科医院をめざす同院。開業の経緯や診療への思い、今後の展望について話を聞いた。
(取材日2025年11月11日)
父を元気にしたいという思いで開業
開業に至った経緯について教えてください。

【稲毛院長】父がここで内科クリニックを営んでいたのですが、新型コロナウイルス感染症の影響もあって閉院してしまい、元気がなくなってしまって。私が開業したら、父も元気になれるかなと思ったのが一番の理由でした。この場所は、もともと祖母が歯科医院を開いていた思い出深い場所。開業後には幼なじみや地域の方々から驚くほどのお花をいただき、周りの方々からの支援を改めて感じています。
お二人はどういったご経歴をお持ちですか?
【稲毛院長】私は昭和大学歯学部を卒業後、千葉大学の口腔外科に入局し、10年以上口腔外科で研鑽を積みました。病院では他職種との連携を学び、抜歯などの外科処置も数多く経験しました。その後は訪問診療を中心とした歯科医院で働き、ケアマネジャーと認知症ケア専門士の資格も取得しています。
【吉野先生】私は東京歯科大学を卒業後、千葉大学口腔外科に入局し、約2年後に父の歯科医院に入職しました。千葉県内の一般歯科クリニックや、精神科に併設された歯科などでも勤務歴があります。高齢の父から承継したクリニックは、現在は夫が院長となり運営しています。稲毛院長と私は同じ医局出身ですが、当時は直接の交流はなかったんです。子ども同士が同級生になったことで偶然再会。前職のクリニックでもご一緒することになり、今回こうして診療に携わることになりました。
なぜ吉野先生と診療を?

【稲毛院長】吉野先生の人柄は一緒に勤務していてよく知っていましたし、信頼できる先生なのでお願いしました。開業してみると本当に事務作業が多く大変だったのですが、吉野先生がいてくれたおかげで何とか運営できています。
【吉野先生】稲毛院長の診療への真摯な姿勢を知っていたので、ぜひお手伝いをしたいと思いました。自分の経験なども生かしながら稲毛院長が診療に専念できる環境を作れればと考えています。地域貢献という意味でも、ここで一緒に診療できることをうれしく思います。
診療で大切にしていることを教えてください。
【稲毛院長】私は「話を聞く」ことを大切にしています。まずは他愛もない話から始めて、信頼関係を築いてから治療を始めるようにしています。患者さんが言葉で表現していることは、本当に望んでいることと異なる場合がありますから、じっくり話を聞いて本音を見つけ出すことが大切です。笑顔で帰っていただける瞬間が、一番やりがいを感じます。
【吉野先生】私は患者さんとの「人と人」のお付き合いを大切にしたいと思っています。特に訪問診療では、ご家族を含めた包括的なケアが重要です。「これは駄目」「こうしないと」ではなく、患者さんやご家族が、困っていることや望んでいることに寄り添った診療を行う。そうすることで、一つずつ信頼を積み重ねていけると思っています。
口腔外科の強みと訪問診療への取り組み
診療体制や診療方針について教えてください。

【稲毛院長】基本的に外来は私が、訪問診療は吉野先生に担当してもらっています。他院や病院との連携も重視していることの一つです。何か異常を見つけたら、すぐに紹介状を書いて適切な医療機関につなげています。例えば入れ歯の調整で来院された方の骨露出を発見した場合や、舌が痛む患者さんに舌がんの可能性がある場合には、早急に病院へ紹介する必要があります。素早い連携を得意としていることは、口腔外科で研鑽を積んだたまものかもしれません。
【吉野先生】訪問診療では認知症の方やそのご家族のケアも大切にしています。どんなに認知症が進んでも「人生の先輩」である患者さんへのリスペクトは忘れません。一人暮らしの方が私たちの訪問を楽しみにしてくださることも多く、口腔ケアだけでなく心のケアも含めた診療を心がけています。
他に注力されている取り組みを教えてください。
【稲毛院長】専用ルームを設けてビタミン点滴や美容施術も行っています。私自身、疲れたときに点滴を受けたので、患者さんにもそうした場を提供したいと始めました。ビタミン点滴は歯茎の血行を促進するため歯周病の治りを早めたり、抜歯後の治癒を早めたりすることも期待できます。また、美肌効果も期待できます。近隣に美容系の女性医療者が少ないこともあり、女性歯科医師による施術の点でもお役に立てるのではと考えています。また、内科の医師である父と問診などで連携できることも当院ならではの強みです。点滴を受けながらゆっくりできる時間は、忙しい現代人とって貴重なリフレッシュタイムです。歯科治療だけでなく全身や心の健康もサポートできる場所をめざしたいです。
矯正専門の歯科医師も診療に入られているとか

当院では、月に1度、矯正専門の先生に来院いただき診療していただいております。実は私の学生時代の同級生で、現在は東京歯科大学病院にも在籍している先生です。現場でもご活躍されながら歯科医療の発展に貢献されている先生ですので、私自身も信頼を置いている先生です。矯正治療は完了まで一定の期間が必要になります。さらに保険適応がされないため、ご費用も安くない治療です。だからこそ患者さんとの関係性を大切にしています。料金設定も最初にご提示する金額内で治療を進めてまいります。矯正を始める前の無料相談も行っておりますので、ぜひお気軽にご相談にいらしてください。
地域とともに歩む健康づくりの拠点へ
スタッフの方々との関係性はいかがですか?

【稲毛院長】実は開業にあたって、昔一緒に働いていた歯科衛生士さんたちが集まってくれたんです。一度リタイアされた方も、私がぜひにとお願いして承諾してくれました。優しくて気心の知れた方々と働きたかったので、本当にありがたいことです。「稲毛先生の人柄を慕って」と言ってくださる方もいて、一肌脱いでくださった皆さんには感謝するばかりです。また、月1回は私の幼なじみの矯正を専門とする歯科医師も来てくれています。内覧会では近所のお子さんたちの矯正相談が多く、とても好評でした。こうした人のつながりが、このクリニックの大きな財産だと思っています。
ラジオ体操など、ユニークな取り組みもされているそうですね。
【稲毛院長】毎週月曜日と水曜日の朝9時にラジオ体操を実施しています。もともとは父を元気にしたいという思いから始めたのですが、「せっかくなら来られる人に参加してもらおう」と地域の方にも開放しています。父の患者さんで、毎回参加してくださる方もいらっしゃるんです。父も患者さんの前ではきちんとしなきゃという意識が働くようで、良い刺激になっています。実は整形外科の医師の夫から、開業祝いに贈られた筋肉量測定器があるんです。歯科医院での使い道に困っていましたが、今後は筋肉量を測定して、その人に合った筋力アップ体操なんかも取り入れたいと考えています。また、高齢になっても元気でいるには歯が残っていることがとても重要です。口腔ケアを入り口に全身の健康づくりを始めて、地域の皆さんの健康寿命の延伸に貢献できればうれしく思います。
今後の展望を聞かせてください。

【稲毛院長】「みんなで元気になれたらいいね」というクリニックにしていきたいです。院名の「あしたばウェルケア歯科」には、健康・歓迎・心配りを大切にし、アシタバのように生命力あふれる存在でありたいという願いを込めました。高齢者の訪問診療から子育て世代の健康サポートまで、幅広い世代のニーズに応えていきたいと考えています。「こうしなければならない」ではなく、「大丈夫だよ」と伝えていけるような優しいクリニックでありたいですね。地域の皆さんが少しでも心が軽くなったと思ってもらえるように、吉野先生とスタッフみんなで頑張っていきます。
自由診療費用の目安
自由診療とは歯列矯正/40万円~、ビタミン点滴/8,000円~

