河畠 雅子 院長の独自取材記事
Mオーラルケアクリニック
(横浜市都筑区/センター南駅)
最終更新日:2025/12/10
センター南駅から徒歩6分の場所にある「Mオーラルケアクリニック」は、予防歯科に特化したクリニックだ。院長の河畠雅子先生は、これまで複数のクリニックに勤務した経験から、「歯は治療を繰り返せば、どうしてももろくなる。きちんと予防をしていれば、治療の必要はない」という考えにたどり着いた。また、予防は家族が同じ志を持って取り組むのが効果的であるため、ファミリー層が多く暮らす地域で、診療を通して啓発活動を行っている。「内科医師と歯科医師である両親から受け継いだ『患者さんの日常に寄り添う歯科医療』を実践するため、患者さんファーストの予防歯科を提案しています」と語る河畠院長に、予防歯科の大切さ、対話を重視する診療方針、リラックスできる空間づくりへのこだわりなどを聞いた。
(取材日2025年11月21日)
予防からスタートする歯科クリニック
歯科医師をめざしたきっかけを教えてください。

私は、父が内科医師、母は歯科医師という医療一家に育ちました。幼い頃からわが家は暮らしの場であると同時に、父と母が患者さんの声に耳を傾ける診療室でもあったんです。その姿を見て育ったのが、医療従事者としての原点です。特に印象的だったのは、近所で患者さんとすれ違うたびに始まる「立ち話」です。「先生。最近、調子はどう?」などと、まるで家族か親戚のような距離感で会話が始まるのです。私はその光景が大好きでした。単に病気を治療するだけでなく、人生の伴走者のような存在になれる医療のかたちに、強い憧れを抱いたんです。
予防に特化したクリニックを開業したのはなぜでしょうか?
私はこれまで、勤務医として複数のクリニックで働いてきました。その際、歯科衛生士が不在な時期がよくあり、私が代わりにメンテナンスをする機会が多かったんです。治療とメンテナンスを交互に行いながら、切に感じたのは「そもそもきちんと予防していれば、治療の必要はない」ということです。こまめにメンテナンスを行うことで、初期の虫歯などは無理に治療する必要はなくなるんです。つまり、治療も大切ですが、予防はもっと大切であると考えるようになりました。とはいえ、予防に特化したクリニックは少ないですし、ほとんどの患者さんは、何もないのに歯科医院に行こうとは思いません。ですから、何も異常がなくても通いやすい、ケアするための歯科クリニックをつくりたいと考えたんです。
センター南駅周辺を開業場所に選んだ理由を教えてください。

先ほども述べましたが、私も両親と同じく、温かい医療を実現したいと強く思いました。そのため、ファミリー層の多いセンター南で開業したんです。また、予防は、家族で実践することが大切です。例えば、子どもにだけ予防の大切さを説明しても、両親が予防に対する意識がないと、あまり効果がありません。家族は口腔内の細菌も共有しやすいので、同じ志を持って家族で予防に取り組んでもらいたいんです。子どもの頃から歯の健康を大切にすることを当たり前にするために、さらに両親から受け継いだ「患者さんの日常に寄り添う歯科医療」を実践するために、このエリアで頑張っていきたいと考えています。
対話を大切に、患者と二人三脚で歩んでいく
普通の歯科医院が行っている予防とは違うのですか?

一般的な歯科医院は、治療が終わった後、定期検診などで予防をします。しかし、当院は、予防からスタートすることをめざしており、患者さんにもそうした意識を持ってほしいと思っています。ですから、治療ありきの話はしません。そもそも虫歯になったら痛みが生じますし、長い間、治療に通うのも大変です。きちんと予防をすれば、時間もお金も節約できます。また、一度治療した歯は、それだけでリスクになるので、できるなら治療をしないに越したことはないんです。けれど、予防は患者さんと二人三脚でないとできないことです。虫歯や歯周病にならないためにどうするか、患者さんと一緒に歩んでいきたいと思っています。
予防と同じくらい、対話も大切にされていると伺いました。
患者さんは、歯について学校で習ったりしませんから、知らないこと、わからないことが多いんです。ですから、予防が大切なことを伝えていくのは、私たちの職務だと考えています。今はインターネットやAIが普及し、さまざまなことを調べることができるようになりましたが、正しい情報ばかりではありません。そこで大切なのは、患者さん自身が信頼できる歯科医師を見つけ、一緒に予防に取り組んでいくことです。また、予防は歯科医師からの押しつけではうまくいきません。そこで患者さんとの対話が重要になります。対話によって、患者さんのモチベーションも上がるんです。
対話を好まない患者さんも中にはいらっしゃいますか?

話しかけられたくないという雰囲気を出している患者さんには、なるべく少ない会話で治療を進めています。それも対話をしながら探っていますね。一方で、勤務医の頃は、世間話をしにくる患者さんが多かったんです。そうした会話の中でも、歯の健康を維持するためのヒントがないかを常に探っていました。予防歯科は、単に口の中をクリーニングするだけでなく、患者さんにいかに予防の意識を持っていただくかが重要です。予防というのは難しく、虫歯になってから治療してもらうほうが患者さんにとっては簡単なんです。例えば、口腔ケア用品を買いそろえただけで満足してしまう人がいますが、当院はそこで終わらせません。「しっかり使っていますか?」と尋ねて、使っていなかったら理由を聞いて、ほかの方法などを考えたりしています。言葉は悪いのですが、しつこく聞くんです。普通のクリニックなら、そこまでやらないと思います。
患者ファーストのオーダーメイド予防歯科
オーダーメイドの診療をされているそうですね。

スタッフにも対話を重視するように伝えています。そこでライフスタイルや口腔ケアの仕方など、患者さんの情報を聞き取ってもらい、それをもとに一人ひとりに適したホームケアや予防法をお勧めしています。患者さんは、自分で調べればわかることを指摘されるだけなら、わざわざ予防歯科に来る意味がありません。その人に合った提案をすれば受け止められやすく、実践しやすいんです。ひいては歯科医師と患者さんとの信頼にもつながります。わざわざ当院を選んでくださったのですから、患者さんのことを第一に考えるという思いを大切にしたいですね。
内装やスタッフについて教えてください。
歯のメンテナンスは基本的に気持ちの良いことですので、見た目と香りにこだわりました。特に子育て中の方などは、日々の生活とはかけ離れたホテルのような雰囲気の中、リラックスして過ごしてほしいと思います。スタッフは明るく前向きで、困ったことがあっても皆で相談して解決しようとしてくれます。頼りになる、家族のような存在ですね。オープンしたばかりなので、私の色でスタッフを染めるのではなく、皆でクリニックの色をつくっていきたいと思っています。そのため、何をするのもスタッフに聞いて決めています。私とは目線が違うことがあるので、良いと思ったスタッフの感覚は、なるべく取り入れるようにしているんです。
読者へのメッセージをお願いします。

「スタッフが気持ち良く働ける環境は、患者さんにとっても居心地の良い空間になる」という想いを大切に、クリニックづくりをしています。これまで多くの歯科医院で経験を積み、たどり着いたのは、治療を繰り返すほど歯は弱くなるので、「悪くなる前の予防」が重要だということです。「歯科医院が好き」という人は少ないと思います。「何か重要なことが見つかったらどうしよう」「痛くなったらどうしよう」といった不安を持ってしまうんですね。でも、当院は私もスタッフも明るく気さくですし、基本的に痛いことはしませんので、美容院に行く感覚で、気軽にいらしてください。

