四十肩・五十肩の改善への鍵は
早めの受診とリハビリテーション
町田木曽整形外科リハビリテーションクリニック
(町田市/古淵駅)
最終更新日:2025/11/14
- 保険診療
姿勢だけでなく、運動不足、精神的ストレス、スポーツによる肩への負荷や外傷からも生じる肩の痛み。程度に波があり、一時的に緩和したように感じることも多いため、「安静にしておけばいい」と放置する人がいるが、それは危険なこと。「町田木曽整形外科リハビリテーションクリニック」の木村太郎院長によると、痛みの問題だけでなく、可動域の制限や拘縮(こうしゅく)、つまり肩の動きが悪くなってしまう恐れがあるのだという。同院では問診や触診で筋肉の状態や可動域を確認し、レントゲン検査や超音波検査、筋電図、血圧測定などを実施し、総合的に診断を行う。肩の痛みではどのような病気が考えられるのか、また、個別のリハビリテーションプログラムを中心に進めるという同院の治療について詳しく教えてもらった。
(取材日2025年10月20日)
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Q肩の痛みはなぜ起こるのでしょうか?
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A
肩の痛みは、その原因も症状や病名も人によってさまざまです。例えば首から背中にかけて痛みや張りを感じる肩凝り症は、猫背や前かがみなど姿勢の影響だけでなく、運動不足、精神的なストレス、バッグの持ち方や、冷房による冷えから引き起こされることもあるんですよ。そのほか、「四十肩・五十肩」としても知られている肩関節周囲炎は、軟骨・靱帯・腱などの老化による肩関節の炎症が主な原因となりますし、肩腱板内に石灰がたまる石灰沈着性腱板炎、外傷や肩の使いすぎから生じる肩腱板断裂、またスポーツをする方では反復性肩関節脱臼や翼状肩甲などの症状も多く見られます。
- Q受診の目安を教えてください。
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A
「肩が痛い、動かしにくい」と感じたら早めに、できれば1ヵ月以内には一度整形外科を受診してください。痛みに波があって緩和したように感じることもありますが、一時的なものでも後に悪化することもあるためです。また一般的に「肩の痛みは安静にしておけばいい」といわれることもありますが、そうすると可動域が制限されて関節が動かなくなる拘縮を引き起こす恐れがあります。拘縮はリハビリテーションではなかなか治らず、たとえ肩の痛みが和らいでも可動域制限で悩むこともあるのです。特に夜間に痛みを感じたらすぐに整形外科を予約して、受診までは安静にしながらも、無理のない範囲で肩周りを動かしておくようにしましょう。
- Qどのように検査や治療を進めていきますか?
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A
問診や触診で筋肉の状態や可動域を確認し、レントゲンや超音波、筋電図、血圧測定といった検査を行って総合的に診断します。治療はリハビリテーションを基本に、消炎鎮痛剤の投薬やブロック注射などを行いますが、ごく少量のステロイドを用いて痛みの緩和を図る場合もあり、当院では文献などの研究データをもとにした適切な処方を心がけています。リハビリテーションでは、専門知識を持った理学療法士がその人に合った個別のプログラムを作成。筋力強化のための運動療法や、筋肉の血流を改善させて筋緊張を和らげるためのマッサージ療法などを取り入れながら、ご自宅で患部を温める方法や動作のアドバイスも行います。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1問診・触診
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まずは医師による問診や触診を行う。問診では、いつ・どのようなときに痛むのか、肩の動かしにくさなどの自覚症状や、変形性関節症などの既往歴を確認。同院では同席するスタッフが問診の内容を電子カルテに記入している。触診では、可動域や圧痛点、トリガーポイントなどをチェックし、肩腱板断裂を疑う場合には、肩を持ち上げたときに肩峰の下であつれき音があるかどうかも確認する。
- 2検査による身体評価
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レントゲンや超音波検査、筋電図、血圧測定などを実施。これらの検査では、肩関節の関節包、肩峰下滑液包を含む滑液包の炎症や肩腱板断裂の所見を詳しく確認することが可能だ。問診や触診とこれらの検査結果を合わせて総合的に診断を行う。
- 3治療計画の提案
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治療計画については、患者の希望などもヒアリングの上、注射や投薬内容などを決定。リハビリテーションを基本に治療が行われることが多く、同院では医師や理学療法士のほか、柔道整復師も在籍。多職種で意見を出し合い、一人ひとりに合わせた個別のリハビリテーションプログラムを作成している。痛みが強く、急を要すると判断した場合には、検査後すぐに注射や投薬を行うこともある。
- 4治療やリハビリを行い、進捗を評価
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「四十肩・五十肩」としても知られている肩関節周囲炎の場合、急性期には消炎鎮痛剤の処方や注射などを行って安静に努め、症状の緩和を確認しながら運動療法や温熱療法を始めていく。そのほかの病気に関しても定期的に医師が服薬やリハビリテーション後の経過を確認し、必要があれば内容を調整。また症状が重くなかなか改善しない場合には、外部の医療機関で手術を検討することもある。
- 5継続的な通院で再発予防
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肩の症状は回復までに時間を要することもあるが、医師の指示どおりに治療やリハビリテーションを続けることが望ましい。肩関節周囲炎の場合、同院では週に1回程度の継続的な通院で症状の改善と再発予防をめざしていく。また理学療法士のアドバイスを参考に、自宅でも動作や姿勢に気をつけて過ごすことが大切だ。

