丸尾 一貴 院長の独自取材記事
啓明腎泌尿器科・皮膚科
(札幌市中央区/西線11条駅)
最終更新日:2026/02/25
2025年10月、札幌市電・西線11条駅から徒歩12分の場所に開業した「啓明腎泌尿器科・皮膚科」。丸尾一貴院長は、札幌医科大学を卒業後、札幌医科大学附属病院、NTT東日本札幌病院、北海道立子ども総合医療・療育センターなど複数の病院で、泌尿器科を専門とする医師として診療に携わってきた。膀胱炎などのオーソドックスな疾病はもとより、特に女性の尿失禁について、その心情に寄り添った診療を行っている。一次医療の従事者としてがんなどの重篤な病気の早期発見に尽力。日本皮膚科学会皮膚科専門医である妻とともに夫婦で地域に信頼される医療を提供していきたいと話す丸尾院長に、その思いを聞いた。
(取材日2026年1月23日)
初診から術後まで一貫して、責任を持って診る
医師をめざしたきっかけを教えてください。

きっかけは、小学生の時に祖父母が急逝したことです。祖父は交通事故、祖母は体を悪くして立て続けに亡くなりました。一瞬で命を奪い去る病気や事故は祖父母の人生もそうなのですが、残された父母や私の人生も大きく変えてしまい、たいへんつらいものでした。そんな幼少期のつらいイベントを経験したことは私の人生にとって、人を救うための理由となる大きな糧となりました。そして自分の人生を人助けのため、もちろん事故や病気など、痛みや苦しみで困っている人とそのご家族を救いたいと強く思いました。人に手助けできる仕事は何かと強く考えた結果、医師という職業に強く憧れを抱きました。
泌尿器科を選んだのはなぜですか。
泌尿器科は、外科と内科の要素を併せ持っていて、一人の患者さんを最初から最後まで診ることができます。例えば、内科で腫瘍を見つけた場合、手術は外科が担当し、その後また内科に戻すなどいろいろな垣根がありますが、泌尿器科ではがんの発見から手術、術後のケア、再発した場合の抗がん剤治療まで一貫して担当します。発見した疾病について、最初から最後まで責任を持って診ることができるというのは、医師冥利に尽きますし、自分の気持ちとフィットしていました。また、泌尿器科は守備範囲が広く、それぞれの臓器で機能が異なることも魅力的でした。あとはちょっと恥ずかしい話ですが、学生時代に先生が手術をする姿を見て、かっこいいなと思ったことも理由の一つです。自分がこうなりたいという明確な医師像がその時に生まれました。
開業のきっかけについてお聞かせください。

医師になってからは、主に札幌市内の病院に勤務していました。私の専門は女性の泌尿器科ですが、小児についても勉強するべきだと考え、子ども総合医療療育センターで、尿路奇形などの先天的な泌尿器科疾患や、尿崩症などの患者を診ていた時期もあります。開業医をめざしたのは、やはり病気を最初に見つけたい、プライマリケアを行いたいと思ったからです。それと、患者さんと話すことが好きなので、寄り添えるような医療がしたいと考えました。漠然とした話なのですが、例えば、初診の段階ですでにがんが進行している患者さんの場合、死とどう向き合えるかということが大切になります。勤務医時代、亡くなるまでの短い間でも患者さんが少しでも楽しめるように心がけ、最後にやり残したことはないかお聞きした時に「ありがとうございました」と言っていただいたことは、今でも心に残っています。
尿漏れなど女性のデリケートな悩みに寄り添う
どのような診療が受けられますか。

腎臓、膀胱、前立腺、尿管、精巣などの病気を広く診ています。手術だけでなく、膀胱炎などのオーソドックスな疾病も診ます。エコーや膀胱鏡、エックス線などの機器類をそろえており、血尿で来院された場合、がんが隠れていないか見逃さないようにしっかり検査を実施しています。薬で改善できそうな患者さんには適切な薬を選択して治療を進めていきます。泌尿器科は他の科よりも受診することが恥ずかしくてハードルが高い、来院しづらいと思われる方が多いかもしれません。そこは寄り添っていきたいですね。昨今はSNSなど情報の発信源が多いので、ご自分でいろいろ調べて心配になって来られる方が多くなりました。当院には女性も男性も来られますが、特に女性の受診率が上がってきたのはいいことだと思います。
どのような患者さんが多いですか。
中でも多いのが、尿漏れの悩みを持つ40~50代の女性の患者さんです。ちょっと歩いただけで尿漏れしてしまったり、外出先でトイレに向かう途中で漏らしてしまった結果、外出が怖くなったり、それが原因でうつになったりとメンタル面にも影響が出ているケースがあります。また、膣の緩みでお悩みの方もいらっしゃいます。日本では泌尿器科と婦人科が分かれていますが、海外では今、その垣根がなくなってきています。女性ホルモンの低下が原因で、膣炎になったり膀胱炎を繰り返したりというケースもありますので、泌尿器科医として婦人科も知っておかねばならない状況になってきていると思います。もちろん、がんを強く疑う場合は婦人科の領域ですが、感染症や尿漏れや膣の痛み、性交痛などは泌尿器科でも診ていかないといけないと思っています。日々勉強ですね。
女性の尿漏れの悩みに寄り添うために、実施していることはありますか。

尿漏れは骨盤底筋の筋力低下によって起こりますので、骨盤底筋体操を続けることで改善が期待できます。服薬という方法もありますが、薬は補助剤でしかないので限界がありますし、薬が作用するためにはある程度骨盤底筋のベースが整っていることが必要です。骨盤底筋体操は筋力トレーニングと同じで、毎日やらなければならないものですが、外来でいくらやり方を教えて毎日やってくださいねとお伝えしても、患者さん任せになってしまいます。そこで考えたのが患者さんに集まってもらう形で、正しい骨盤底筋体操のやり方をお伝えする機会をつくっております。尿漏れの治療方法や、薬はこういうものがありますということをお伝えしつつ、体操が正しくできているか確認するのがいいと考えたからです。女性限定になりますが、今後も定期的にそういったことをやっていきたいですね。
病気を早期発見し、病院につなぐことが使命
院内のこだわりはありますか?

プライバシーが強い領域のデリケートな悩みで来院する方が多いので、待合室での看護師の問診などは泌尿器科、皮膚科ともにプライバシー保護の観点から行っておりません。また、腰の骨折などが原因で排尿できなくなった患者さんもいらっしゃるので、車いすとの対面通行ができるように廊下も広く作りました。私の実家が花屋でして、私自身も花が好きなので、院内はプリザーブドフラワーなどを飾っています。
常に新しい分野を勉強されているとか。
レーザーを用いて女性の尿失禁の改善につなげられないかという観点で研究が進んでおり、早期からその動向に注目しています。また、その研究のスペシャリストから学ぶなど知識のアップデートに努めています。従来、尿失禁の手術は、開腹して骨盤底にテープやメッシュを入れ、膀胱をハンモックのようにつり上げて固定するという方法が取られてきました。しかし近年、術後感染症などの懸念から、その方法を禁止する国も出てきました。また、そもそも手術は嫌だという人もいるので、今後また新しい選択肢が出てくるといいですね。
今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

手遅れになる前に病気を発見することが、冒頭にもお話ししました、私のめざす理想の医師の役割だと思っています。がんを早く見つけることが使命、というと大げさかもしれませんが、患者さんに「来て良かった」と思ってもらえるような診療をして、悪いものが見つかったら病院につないで行きたいですね。皮膚科は日本皮膚科学会皮膚科専門医の妻が診療を行っております。女性医師として、また母親としての経験も踏まえ、皆さまにとって1番身近で頼れるクリニックになれるよう日々精進していく所存でございます。泌尿器科も皮膚科もどんな些細なことでも結構ですので、ぜひご相談ください。

