菊地 夕子 院長の独自取材記事
渋谷リリー皮膚科クリニック
(渋谷区/渋谷駅)
最終更新日:2025/12/26
渋谷駅から徒歩5分、A2出口から徒歩1分、文化村通り沿いのビル3階に2025年開業した「渋谷リリー皮膚科クリニック」。院長の菊地夕子先生は、順天堂大学医学部卒業後、シンガポールで研鑽を積んだ日本皮膚科学会皮膚科専門医だ。海外生活も長くその経験を生かし、英語診療にも対応している。渋谷には保険診療を行う皮膚科が少ないことから、地域住民や渋谷で働く人々をまずは保険診療でしっかりと診察を行うことを重視している。白と木目を基調とした落ち着いた院内は、子どもから高齢者まで安心して受診できる雰囲気だ。にこやかな笑顔で論理的に話す菊地院長は、皮膚症状だけでなく生活背景まで聞き取り、患者に寄り添う診療を心がけている。シンガポールでの経験を生かした英語診療への思いや、地域医療への取り組みについて話を聞いた。
(取材日2025年12月1日)
英語にも対応。保険診療メインの皮膚科が渋谷に開業
先生は海外の医療機関でも学ばれてきたと聞きました。

はい、順天堂大学医学部を卒業後、大学院も修了し、2009年にシンガポールへ渡りました。海外で働いてみたいという思いと、英語力を伸ばしたいという気持ちがあり、渡航を決意したんです。現地では15年間、日系クリニックに所属していました。シンガポールでは自費診療が基本なので、その分、一人ひとりの患者さんにしっかり時間をかけて対応するスタイルでした。そうした経験を積む中で、「自分でも開業したい」という思いが次第に強くなりました。子どもの日本語教育も考え、帰国を決めたのはその頃です。英語診療の経験を生かせる場所として選んだのが、外国人も多く活気のある渋谷でした。この物件は以前皮膚科クリニックだった居抜きで、内装を少し変えるだけで活用できたのは本当に幸運でした。2025年9月に開業し、シンガポールで培った「ゆっくり、しっかり診る」という診療スタイルを、日本でも実践していきたいと考えています。
先生が医師を志されたきっかけを教えてください。
小学6年生のとき、病気で入院した際に担当してくださった女性の先生がとても素敵な方で、そのとき「こんな職業もいいな」と思ったことがきっかけです。当初は小児科の医師をめざしていましたが、長く続けることを考えると、赤ちゃんから高齢者まで診療できる科目が良いと思うようになりました。皮膚科を回った際、幅広い年代を診療でき、美容的な分野にも興味があった私は、強く惹かれました。今は、20年前には想像もできなかったほど美容医療が盛んになりましたが、しっかりとした皮膚科の知識が適切に美容医療を行う上で欠かせないことには変わりありません。皮膚科専門医としてこれまで積んできた経験から、皮膚のベースをちゃんと理解した上で、患者さん一人ひとりに合った診療を提供できると自負しています。
なぜ渋谷での開業を選ばれたのでしょうか?

実は渋谷エリアには保険診療で皮膚科診療を行っているクリニックが少ないんです。美容クリニックはたくさんありますが、湿疹やアトピー性皮膚炎など一般的な皮膚疾患を保険で対応されている場所が限られています。松濤など渋谷周辺に暮らす方々や渋谷で働く方々を、まずは保険診療でしっかりと診察することが大切だと考えています。また、渋谷は外国人観光客や在日外国人も多い地域です。皮膚科の悩みを抱えていても、英語が通じなくて困っている方も多いと聞きます。私はシンガポールで日本語診療の心強さを実感した経験から、今度は英語で診療を受けられる環境を提供したいんです。外国人の方には院内処方も行って、ここで診療を完結できる体制を整えています。地域医療と国際対応の両立をめざしていきたいですね。
先進的な治療から保険適用のレーザー治療まで幅広く
アトピー性皮膚炎など慢性的な皮膚疾患への取り組みについて教えてください。

アトピー性皮膚炎には、今は注射薬など良い結果が期待できる治療があります。長期間ステロイドを使われている方には、積極的に新しい治療をお勧めしています。ご自宅で自己注射できるように練習を一緒に行いますし、針が怖い方は通院していただいても構いません。特にお子さんは都からの助成もあります。ほくろやできものについては、まず良性か悪性かの診断をしっかり行ってから治療方針を決めます。安易に取るのではなく、きちんと診断をして「これは大丈夫なので時間があまりかからない取り方でできますよ」「これはちょっと心配なのでしっかり検査しましょう」と、その辺も自信を持って判断できます。また、最近では筋力トレーニングの際に飲用する動物性プロテインが原因でニキビが悪化する方も多いので、生活習慣も含めてアドバイスしています。
レーザー治療や美容皮膚科の診療について詳しくお聞かせください。
血管に対して使用するレーザーと、しみやそばかす、あざなどのメラニン色素に反応するレーザーを導入しています。これらはお子さんの血管腫や赤いあざ、太田母斑の治療に使用でき、保険診療として提供できるんです。大人の赤ら顔は保険外になりますが、まずはきちんと診断して「これは保険です」「これは保険適用外で、自費の診療になりますよ」と明確にお伝えします。粉瘤などの日帰り手術も対応しています。美容皮膚科については、いきなり受診するのに抵抗を感じる方も多いと思います。診察の中で「これは悪性ではありませんので、美容的な治療もご検討されますか」という形でご案内できる体制を整えています。皮膚科専門医として皮膚のコンディションを見ながら、皮膚が弱い方でも安全面に配慮した美容面の施術サポートできるのが強みです。
診療で大切にされていることは何でしょうか。

皮膚の症状だけでなく、「忙しいですか?」「眠れてますか?」といった生活スタイルも丁寧にお聞きするようにしています。生活がハードだと皮膚の調子にも影響しますからね。ホルモンバランスが原因と考えられる場合は、婦人科の先生と連携し、ピルの使用をお勧めすることもあります。また、子育て中のお母さんからは、皮膚の相談と一緒に育児の悩みを打ち明けられることもあります。私も2人の子どもを育てているので、お母さんたちの大変さはよくわかります。これからもゆっくりじっくり診る姿勢を大切に、患者さんに寄り添って、小さなお子さんからご高齢の方までしっかり診療していきたいと思っています。
地域の人にも外国人にとっても頼れる存在をめざして
スタッフ体制や院内の雰囲気について教えてください。

当院は豊富な経験を持つ女性スタッフばかりなので、高い技術と落ち着いた雰囲気が特徴です。院内は白と木目を基調とした品のある空間で、どなたでも安心して受診できる雰囲気を大切にしています。施術室は3室あり、どのお部屋も広々とした空間でゆったりと施術を受けていただけます。週6日、夜7時まで診療しているので、仕事帰りの方も通いやすい体制です。スタッフ一同、患者さんが安心して通える環境づくりに努めています。
今後特に力を入れていきたい分野についてお聞かせください。
英語での診療にも力を入れていきたいと考えています。海外から旅行で訪れた方や、留学や仕事で滞在されている方の中には、どこに行けばよいかわからず不安を抱えている方が多いと思います。私自身、シンガポールにいた時に日本語で相談できる先生がいることが非常に心強かった経験があります。そのため、英語でコミュニケーションを取り、病気への不安を少しでも軽減したいと考えています。一方で、地域密着の姿勢も大切にしていきたいですね。医師会にも参加しているため、他の科目の先生方との連携も取れる体制です。インフルエンザのワクチン接種なども行い、地域医療の貢献にも力を入れています。
読者へのメッセージをお願いします。

小さなお悩みでも早めにご相談いただければ、適切なアドバイスができると思います。特に女性の方で、デリケートゾーンの悩みがあっても受診のハードルが高く、ずっと悩んでいる方も少なくありません。女性医師になら相談しやすいと思いますので、あまり悩まず、ぜひ早めにご相談ください。当院では皮膚科専門医として、まずは保険診療でしっかり診察し、必要に応じて美容面のサポートもするというハイブリッドな診療を行っていきます。渋谷には皮膚科の保険診療をメインにするクリニックは少ないため、地域の皆さんのお役に立てればと思っています。どうぞお気軽にご相談ください。
自由診療費用の目安
自由診療とは大人の赤ら顔に対するレーザー/顔全体:3万円 ※症例により異なりますので、詳しくはクリニックへお問い合わせください

