膝や股関節が痛いときも取り組める
ジグリングで健やかな日々を
ウェルネス秋葉原ZEROクリニック
(千代田区/岩本町駅)
最終更新日:2025/10/15


- 保険診療
膝や股関節の痛みが気になりながらも放置している人もいるだろう。しかし、生涯にわたって自分の足で歩きスポーツなども楽しみたいならば、手遅れにならないうちに何らかの対策を講じたいところだ。例えば変形性膝関節症だったとしても、早期なら運動療法に取り組むこともできる。ただし「強度が高い運動はかえって膝などを壊す原因にもなるので注意してください」と語るのは「ウェルネス秋葉原ZEROクリニック」の院長を務める齋藤吉由先生だ。軽度の機械運動である「ジグリング」というエクササイズを、メディアなどを通じて広めてきた齋藤先生。ジグリングとはどのようなものなのかと併せて、日常生活の中で気をつけるべき点などを詳しく教えてもらった。
(取材日2025年9月20日)
目次
膝や股関節に痛みがあれば、専門家へ早めに相談を
- Q膝や股関節を傷めないようにスポーツを楽しみたいのですが。
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A
▲スポーツ障害の予防と早期対応で、体づくりを支援
趣味でスポーツを楽しんでいる方は間違ったトレーニングから運動障害を起こしてしまうこともあります。スポーツ推薦をめざす中学生・高校生が、頑張りすぎて故障してしまうケースも看過できません。お子さんはもちろん大人でも、どこまでが「今やるべきメニュー」なのか見極めるのはとても重要です。私はこれまで、スポーツ整形外科の研鑽も積み、強みの一つとしてきました。そうした経験を生かし、誰もがスポーツを長く楽しめるようにサポートしています。まず、膝や股関節を痛めないように予防しながら、問題が起きたときには複雑な運動療法ではなく、まずは軽い機械運動であるジグリングを紹介しています。
- Qジグリングとはどのようなものなのでしょうか。
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A
▲膝・股関節への負担に配慮したジグリングで無理のない健康習慣を
ジグリングは俗にいう貧乏ゆすりですが、国内外で膝や股関節はもちろん、全身の健康維持に役立つ可能性が考えられるとして、研究が進んでいます。私の恩師の井上明生先生が、変形性股関節症へのアプローチとして活用できるのではとその可能性について提唱され、私はそれを膝関節に応用するための取り組みを長年続けてきました。膝の場合は足を伸ばして行うのがポイントです。少しでも違和感があればすぐに中止するなど、頑張りすぎないのも大事です。近年の研究では、こうした運動がひいては生活習慣病や認知症の予防につながることもわかってきています。全身への良い影響が期待できる、エイジングケアのためのエクササイズとも言えるでしょう。
- Q健康法というとウォーキングが思い浮かびますが……。
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A
▲膝に優しい“ながら運動”で、健康とエイジングケアを両立
厚生労働省は成人男女の1日の目標歩数を8000歩としていますが、忙しい毎日を過ごしている方には厳しいですよね。また、歩きすぎはかえって膝の軟骨をすり減らしてしまいます。一方、ジグリングならば膝にあまり負担がかからず、座りながらはもちろん、寝たままでもできます。1日に合算して1時間行うのが理想的ですが、細切れでも構いません。仕事や家事と平行して「ながらエクササイズ」として取り組んでいただければと思います。デメリットとしては、他人の小刻みな運動を見てイラッとするミソキネシアの引き金になることです。人種や文化は関係なく周りの人を不快にする可能性があるので、人目につかないところでやってみましょう。
- Q日常生活で膝や股関節の病気を予防するための注意点は?
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A
▲変形性膝関節症の予防には、食事だけでなく“動く生活”が重要
まず、しっかりと体重をコントロールするようにしましょう。太っているほど膝にかかる力も大きく、どうしても変形性膝関節症を発症しやすくなってしまいますし、減量が膝の痛みの軽減につながる例もあります。体重を落とすためには食生活の改善も必要ですが、それだけでは不十分。変形性膝関節症だけではなくさまざまな疾患の根本原因にtoo much eating(食べすぎ)ではなくtoo much seating(座りすぎ)があるという点を、もっと啓発していきたいと考えています。実際、アメリカでは健康志向の高まりで摂取カロリーは減っているのに生活習慣病が増えているんですよ。
- Qこちらでは生活習慣のアドバイスもしていただけるそうですね。
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A
▲姿勢と生活習慣の見直しで、慢性的な痛みの根本改善をめざす
膝や股関節はもちろん、肩、腰、首などの痛みも生活習慣と密接な関わりがあります。まず患者さんのライフスタイルをよく聞き取り、一人ひとりに合わせた生活習慣のアドバイスをするようにしています。中でも大切なのは姿勢です。腰痛がある場合の望ましい座り方、寝方などをまとめたプリントを作ってお渡しするようにもしています。デスクワークの時間が長いなら、時々立ち歩くようにお伝えすることもあります。最近は立ったままで作業ができるデスクもあるので導入してみるのもよいでしょう。先進的な企業は歩きながらのミーティングを実施しているとも聞きますが、できることから一つずつ一緒に始めてみませんか。