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水田 志 院長の独自取材記事

芦屋こころクリニック

(芦屋市/芦屋駅)

最終更新日:2025/10/15

水田志院長 芦屋こころクリニック main

芦屋駅から徒歩3分、ろうそくの灯りをモチーフにしたロゴが印象的な「芦屋こころクリニック」。水田志院長は「志」と書いて「こころ」と読む名前のとおり、心の医療に真摯に向き合う精神科医だ。香川大学時代には緩和ケアチームに所属し、患者と家族のケアを経験。「支える人を支える」という独自の診療理念を培った。「支える人を支える」という理念を培った背景には、父を若くして亡くした経験や、不妊治療や産後の苦しみを経てきた自身の歩みもある。そんな院長は「0歳から100歳まで全世代をカバーしたい」と語り、赤ちゃんの夜泣きから認知症まで幅広く対応。院内は森と海をイメージし、温かい雰囲気づくりにもこだわる。「こんなことでも相談していいの?という方にこそ来てほしい」と優しくほほ笑む水田院長に、診療への思いを聞いた。

(取材日2025年9月22日)

経験から生まれた「支える人を支える」という視点

開業までの経緯を教えてください。

水田志院長 芦屋こころクリニック1

もともと開業しようとは思っていなかったんですよ。というのも、大学病院が好きだったので、臨床や教育に携わりながらずっといるつもりでした。でも、夫が麻酔科医で忙しかったこともあり、出産後、仕事復帰してからがとても大変で……。香川から生まれ育った神戸に戻ることになって、夫が「開業したら? 向いてると思うよ」と背中を押してくれたんです。たまたま出合った場所が家から近く、子育てとも両立できる環境だったので、ご縁が重なって開業を決意しました。亡くなった父がつけてくれた「志」と書いて「こころ」という名前に込められた願いに応えられるよう、精神科医として真摯に歩んでいきたいと思っています。

精神科を選んだ理由と、勤務医時代の経験について聞かせてください。

大学3年生で父が病気で亡くなった時には、すでに精神科に興味を持っていましたね。亡くなる前に手紙を残すことがあると思うんですが、父は言葉も何も残さない人で。それはなぜだったんだろう?と深く考えたのを覚えています。そういった経験もあって、医師になってからは香川大学医学部附属病の緩和ケアチームにも所属し、患者さんとそのご家族、両方の心のケアに携わりました。ご家族は患者さんを支えようとするあまり、自分のことは後回しになりがちなので、そういった「支える人を支える」ことにやりがいを感じていましたし、それが私が精神科医として歩んでいる診療の軸になっています。

支える人を支えたい、というお考えがすてきですね。

水田志院長 芦屋こころクリニック2

支える人といえば、子育て中のお母さんもそうですよね。自分のことは後回しで、ストレスがたまって子どもに怒ってしまい、落ち込むこともあるでしょう。当院には、小さなお子さんを持つ方もいらっしゃいます。産後でつらい時、気丈な人ほど「なんで私が」「他のお母さんはちゃんとしているのに」と思いがちですが、決して特別なことではありません。誰にでも起こり得ることですから、一人で抱え込まずに相談していただけたらと思います。夜泣きが続く赤ちゃんと、眠れないお母さんに同じ漢方を処方する「母子同服」という方法もあります。不妊治療をきっかけに漢方と出会い、香川大学産婦人科・塩田敦子先生の指導を受けた経験が、今の診療に大きく影響しています。漢方薬なら抵抗が少ない方もいますので、治療の間口が広がったと感じています。お薬については「最小限に慎重に」を心がけています。もしやめたいと思ったら必ず相談してほしいですね。

0歳から100歳まで全世代に寄り添う診療を

温かみのある院内も、相談しやすさにつながっている気がします。

水田志院長 芦屋こころクリニック3

ありがとうございます。コンセプトは「おうちみたいな場所」。誰かのおうちに遊びに行くような感覚で来てほしいという思いを込めました。診察室は2つあって、1つは森をイメージしグリーン基調で照明も暗め、もう1つは海をイメージしブルー基調で明るめです。まぶしさが苦手な方もいるので、居心地の良いほうを選んでもらっています。家具は診察室らしくない、家にあるようなものを自分で探しました。患者さんのプライバシーを守るため、診察室の防音性を高めるとともに、声が紛れやすいジャンルのBGMを選んでいます。少しでも緊張をほぐせるよう、お子さんの好きな音楽を流しておくことも。また、キッズスペースとおむつ交換台も用意しました。お母さんとお子さんが受診しやすい環境にしたかったんです。

子育て世代以外の方もいらっしゃいますか?

もちろん。当院は、0歳から100歳まで全世代をカバーするクリニックでありたいと思っています。ですから、夜泣きや産後うつでお悩みのお母さんはもちろん、「子どもが学校に行けない」など子育てでお悩みの方、仕事や人間関係のストレスでお悩みの働く世代の方、さらには物忘れでお困りのシニア世代の方まで、つらいなと感じることがあれば、世代・性別問わずに来ていただけたらと思います。また、「受診が必要か迷っている」「家族の相談がしたい」などのご要望向けにオンラインでもできる医師による医療相談も導入しています。さらに、自分の性格傾向や人間関係のスタイル、ストレスや認知機能を把握するためのサポートも行っています。タブレットを使って当日中に結果の共有と、心理士のフィードバックを受けられますので、予防的な観点から今のご自身を知る一つの方法として活用していただけたらと思います。

患者さんとの信頼関係をどう築いていますか?

水田志院長 芦屋こころクリニック4

まず「何でも話していい人だ」と思ってもらえることを心がけています。精神科はプライベートな話をする場所。家庭の話や生い立ちなど、自分の根幹に関わることを話してもらえるかどうかは信頼関係次第だと思うんです。診察中に1回は笑って帰ってもらいたいと思うのは、関西人ならではかもしれません(笑)。私は患者さんの伴走者でありたいと思っています。患者さんが良くなっていくのは、ご家族や周りの方の支えがあり、きちんと通院されたご本人の努力があってこそ。患者さんがもともと持っている力を引き出せるようにサポートするのが、務めだと思っています。

ぬくもりを分かち合える場所をめざして

スタッフさんについて教えてください。

水田志院長 芦屋こころクリニック5

金曜日は橋本先生にも診察をお願いしていて、スタッフは臨床心理士2人、受付事務2人の体制です。全員が女性です。スタッフには丁寧でありながらも親しみのある接遇をお願いしていて、それを実践してくれるのでとても感謝しています。働く人たちにも元気でいてほしいですから、何でも言ってほしいし、改善したいことがあれば実現したいですね。実は、学生時代に生徒会長をしていたんですが、クリニックは小さな生徒会みたいなものなんじゃないかと。だからこそ、仲間と一緒に良くしていきたいという思いがあります。患者さんはもちろんスタッフも含め、人と人とのつながりに感謝して、これからもご縁を大切にしていきたいです。

今後の展望を聞かせてください。

メンタルヘルスに関する啓発ができたらと思います。睡眠や食事、精神疾患の基礎知識など、当院のSNSやホームページの医療コラムで発信しています。あとは、幼稚園や保育園、小・中・高校でメンタルについての授業もできたらいいなと。道徳の授業のようにメンタルの授業があってもいいと思うんです。他にも、グループホーム等への訪問診療も考えています。認知症患者さんのご家族、施設の方も対応に困ることがあると思いますので、精神科医として薬剤の調整や対応方法に関するアドバイスができたらいいですね。自身のこととしては、今後も健康な心身で患者さんと向き合えるよう生活を整えながら、仕事や家庭のこと、それぞれの「今」を大切に生きることを心がけたいですね。

読者へのメッセージをお願いします。

水田志院長 芦屋こころクリニック6

皆さまの心のよりどころでありたいので、当院に来てホッとすると思っていただけるようスタッフみんなでお迎えしたいです。自分一人じゃない、一人で頑張るのをもうやめようと思っていただけたらうれしいです。私はいろいろなつらい経験もしたからこそ患者さんに共感できる幅が広いのではと考えています。ロゴマークのろうそくの灯りのように、ぬくもりを分かち合える存在でありたいです。受診の目安は日常生活に支障が出たとき。前はできていたことができなくなったり、好きだったことが楽しめなくなったりしたら、我慢せずにご相談ください。

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