西坊 直恭 院長の独自取材記事
にしぼう内科クリニック
(吹田市/吹田駅)
最終更新日:2026/04/02
JR京都線・吹田駅から旭通商店街を進み、府道14号沿いのビル1階に「にしぼう内科クリニック」はある。オレンジとライトグリーンのロゴが白い外壁に映え、院内もロゴのカラーが取り入れられた明るい空間。院長の西坊直恭先生は、京都大学卒業後に内科・神経内科・精神科と3つの領域で研鑽を積んできた医師だ。福井県や石川県の医療資源が限られた地域で、専門を問わず幅広い患者を診てきた経験から、心と体を分けずに全身を診る独自の診療スタイルを築いてきた。穏やかな語り口の中に患者への温かなまなざしが感じられ、「その場で答えが出なくても大丈夫。病気と付き合ううちにだんだん状況は落ち着いてくるんです」と大らかに語る姿が印象的な院長に、地域に根差した全人的医療への思いを聞いた。
(取材日2026年3月11日)
3つの科を経てたどり着いた、心と体をつなぐ医療
初めに、開業への思いをお聞かせいただけますか?

正直に申し上げれば、もともと開業するつもりがあったかというと、そういうわけではありませんでした。ただ、いろいろなタイミングが重なって、いざクリニックを構えるとなったとき、一つだけ強い思いがありました。患者さんの症状をバラバラにして「私が診られるのはここまで、あとは専門外なので知りません」というやり方だけはしたくなかった。自分の専門の範囲だけで完結させるのではなく、患者さんの本当の声にしっかり耳を傾ける医師でありたかったんです。体の不調はいくつもの原因が重なり合って起きることが多いですし、訴えも互いにつながっている。だからこそ一人の患者さんを全体的に診られるクリニックにしたいと考え、2025年9月に吹田駅近くのこの場所で開院しました。
開業までにどのようなご経験を積まれてきたのですか?
京都大学を卒業後、まず内科に入り、その後興味を持った神経内科へ進みました。勤務先は福井県や石川県など医療機関が限られた地域で、専門に関わらず来院された方を何でも診る日々でした。その環境が、かかりつけ医として総合的に患者さんを診る力を養ってくれたと思います。うまくいかないことがあれば学会の文献をさかのぼって徹底的に調べる、その積み重ねには自信があります。神経内科の患者さんには精神的な症状を併せ持つ方が多く、精神科を受診せざるを得ない方もいました。その先が気になり自分でも精神科を学んだ結果、心と体の両面を行き来しながら診療できるようになったのです。内科・神経内科・精神科の3領域を経験した医師は少ないようで、そこは自分の強みだと感じています。
こちらにはどのような方が来院されていますか?

当院がある吹田駅の南側は、古くから発展してきた住宅地で、周辺には活気ある商店街が今も残っています。高齢の方が非常に多い地域で、当院の患者さんも例外ではありません。80代の方が自転車で元気に通ってこられることもあり、そのお元気さにはこちらが感心するほどです。発熱の方を除けばほぼ全員がご高齢の患者さんですので、生活習慣病をはじめ複数の不調を抱えていらっしゃる方が自然と多くなります。当院は外壁のオレンジとライトグリーンのクリニックロゴが目印になっており、幹線道路沿いですので見つけやすいかと思います。私が大切にしている言葉に「一隅を照らす」というものがあるのですが、クリニックロゴにもその思いを込めて表現しました。院内は各部屋への移動がしやすい動線を意識し、足腰に不安のある方にも通いやすい設計にしています。
生活習慣病から認知症まで、一つの窓口で心身を支える
日々の診療で力を入れていることを教えてください。

来院される方の多くは高血圧症や糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病を抱えておられます。運動は高齢者に限らず30代、40代からほぼ全員に必要だと考えていますので、自治体の資料を活用しながら今の運動能力を一緒に確認するようにしています。運動に対する意識の定着につなげるために、「前より頑張っていますね」「もう少し頑張れそうですね」とお声かけするようにしています。栄養面では、食べることに興味が薄い方には好きなものを軸に改善策を考えます。例えば、極端に痩せてしまった方には好きな食べ物を起点に食事を見直す、といった具合ですね。カロリーの高い食品を別のものに置き換える提案など、ストレスの少ない方法を探っています。また、発熱のある方も断ることなく受け入れています。
認知症や精神面のケアにも取り組まれていますね。
ええ。認知症やその疑いに関するご相談は最近増えています。「どこに相談していいかわからない」という声は多く、老齢内科を掲げていることでご家族が来院されるケースも増えてきました。認知機能の確認は、内科の診察の流れの中で自然に行うなど、ご本人の尊厳を大切にしています。慢性疾患の診断を受けて不安を抱える方には、病気との付き合い方を一緒に考え、心身の不調を併せ持つケースでは精神面も含めて対応するなど、心と体をまたいだ診療も日常的に行っています。また、吹田市民病院の神経内科は初診まで約1ヵ月待ちになることがあるため、その間に問題点を整理して病院での診察がスムーズに進むよう橋渡しする役割も担っています。
診療を支える検査体制や在宅医療についても教えてください。

当院で行う検査の一つに、ABI検査という、血管の詰まりや狭窄の有無を数値で確認できる検査があります。例えば、禁煙を勧めても言葉だけでは伝わりにくいことがありますので、数字で見せて納得していただくために導入しました。今後はABI検査を健診に組み込むことも視野に入れています。エックス線検査装置は塵肺にも対応できるモードを備えています。この地域には長年現場仕事をされてきた方も多く、息切れを訴えて来院されるケースが少なくないためです。在宅医療は地域包括支援センターと連携しながら進めています。ポータブルエコーも用意しており、訪問先で発熱や腹痛があった際に胆石などの緊急性をその場で判断できるようにしています。通院が難しい場合は必要に応じてこちらから出向きますので、まずはご相談ください。
病気と向き合う人に寄り添うかかりつけ医でありたい
患者さんとの向き合い方で大切にされていることは何ですか?

まずは患者さんご自身にしっかり話していただくことを大切にしています。伝えるのがお得意でなさそうであれば、こちらからうまく呼び水となる言葉を投げかけるようにしていますね。診察室に入って来られるときの歩き方やご家族との会話の様子にも注意を払っています。ふらつきが出ていないか、ご家族との間で感情的なぶつかりがないかといった点は、診断の大切なヒントになるからです。認知症の方に対しても、病気だから何か劣っているなどとは考えません。同じ立場でお話しすることをいつも心がけています。これは皆さんに言えることですが、ご家族に自分の意見を伝えることを躊躇されている方に、安心して話していただけたら、と思っています。話しやすい空間をつくることの大切さを日々実感しているところです。
クリニックの雰囲気づくりについてお聞かせください。
開院にあたって一番こだわったのは、風通しの良い組織をつくることですね。スタッフの心理的安全性を大事にしたいと考えていますし、何か問題が生じても人のせいにしないということも大切です。そうした姿勢は患者さんにも伝わるものですからね。スタッフとは栄養指導の工夫などを日頃から共有しながら、チームとして診療にあたっています。また、明るい雰囲気になるよう、院内はオレンジとライトグリーンを基調にしました。診察室には知り合いの画家が描いてくれたイラストを飾っていまして、穏やかな雰囲気づくりに一役買ってくれています。
最後に、地域の方へメッセージをお願いします。

その場で正解が出なくても、どうか絶望しないでいただきたいと思っています。時間はかかるかもしれませんが、病気と付き合ううちに、だんだん状況が落ち着いてくることは多いものです。検査データや日々の出来事に一喜一憂するのではなく、長い目で病気と向き合っていく。私はその伴走者でありたいと考えています。ご本人はもちろん、ご家族にとっても同じことが言えます。お一人で抱え込まず、困ったときにはまず相談に来ていただけたらうれしいです。初診の方はなるべく事前にご予約いただけると助かりますが、予約なしでも対応いたします。心のことも体のことも、まとめてご相談いただけるかかりつけ医として、地域の皆さんに長く頼っていただけるよう努めてまいります。

